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猫池罵詈雑言雑記帳
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 6月6日、共産党がとんでもないスクープをスッパ抜いた。
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-06-07/2007060701_01_0.html
 自衛隊が市民運動等に関わったり自衛隊イラク派兵反対の意見を発した団体や個人を組織的に監視しているという自衛隊の内部資料を同党が入手、国会で告発したのである。

※関連記事:
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007060790080916.html

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2007/20070606_shii_jieitai.html#_01(共産党が入手した内部資料がPDF48.1MBおよびエクセルファイルで公開されています)



 軍隊というのは国民を守るための組織ではないという見方がある。あくまで国家体制を保持することこそが軍隊の役割であり、権力者の“私兵”にすぎないという考えかたである。そして、それはけっして極論の類ではない。
 たとえば、現在進行形で侵略行為を続けている米軍やそれに加担しているわが国の自衛隊を含む軍事組織(*注1)が“防衛”せんとしているのが自国他国を問わず国民(大衆)の生命や利益ではないことは明らかであろう(災害救助などミクロな部分には例外が多数あるが、マクロ的に組織を捉えればそうなる)。仮に他国による軍事的侵略行為を受けたような場合、国家を守るために応戦した軍隊が、結果として国民をも守るということはあるにせよ、防衛の主眼がどこにあるのかについては疑問を挟む余地はある。中国や北朝鮮などでは自国民に対する弾圧に軍隊が出動することは日常茶飯であろうし、歴史をみてみればむしろスタンダードな事実だといってもいい。「国を守る」としている軍隊および軍事組織は、「国家のために」自国民に対して武力を行使する可能性があるのである(注2)。

 天木直人氏は氏のブログ「日本の動きを伝えたい」のなかでこの件について触れたことがある。
『「海上自衛隊の艦船が辺野古沖に向かって横須賀港を出港した」というニュース』
 同記事は、海上自衛隊の艦船が普天間飛行場移設先である辺野古沖に向けて横須賀港を出港したことや、それが事実上の警護である点を認めた久間章生防衛相らの発言を取り上げ、自衛隊の行動およびその背景には地元住民に対する自衛隊による威圧効果があり、「場合によっては自衛隊による自国民への武力行使につながりかねない深刻な問題」と断じている。
 まさに軍隊という組織の正体を的確に掴んでいるといえるが、今回明らかにされた事実も、そうした自衛隊の任務、それを司る政権の正体を見事に暴露してみせたといっていいだろう。

 共産党が入手したという自衛隊内部資料は、A4判で166ページというボリュームを持つものだ。詳細はリンク記事をご覧いただきたいが、市ヶ谷(東京都)にある情報保全隊本部へ定期的に提出されていることを窺わせるなど、自衛隊という組織を挙げての諜報活動だということが示唆されている。
 おもだった監視対象は自衛隊のイラク派兵に反対する活動だが、「医療費負担増の凍結・見直し」の運動をはじめ「年金改悪反対」、「消費税増税反対」、「国民春闘」などが網の目にかけられている。イラク派兵は自衛隊に直接関わる問題には違いないが、ここに挙げたその他の運動の類のどこに自衛隊が関わる必要があるというのだろうか。「小林多喜二展」についても監視が行なわれてことが記載されており、自衛隊という軍事組織が国民全般にわたる動きについて、ようは思想信条に踏み込んだ形での監視活動を日常業務として実施しているわけである。

 さらに、リンク記事にあるPDF書類をみると、「P」や「S」などの記号が窺えるが、これは情報保全隊が監視・収集した国民の運動を運動団体を「カテゴライズ」して集約したものである。

・「P」:日本共産党および「日本共産党系」と区分された労働運動・市民運動など。
・「S」:社会民主党および「社会民主党系」と区分された労働運動・市民運動など。
・「GL」:民主党および連合系労働組合、それに関連すると区分された市民運動など。
・「CV」:上記に区分されない市民運動など。
・「その他」:市民運動、個人、地方議会の動向など。
・「NL」:「新左翼等」と区分された運動など。
(リンク記事http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-06-07/2007060703_01_0.htmlから抜粋)

 しかも、文書には個人名住所・所在地や参加者をとらえた写真までが掲載されているという。個人のプライバシーを侵害し(いうまでもなく、監視されている側は犯罪者の類ではない。こんなことが許されるとすれば、もはや共謀罪どころの話ではなくなってしまう)、マスコミを監視し、地方議会を監視し、政党を監視し、宗教団体を監視しているのが自衛隊であり、日本という国家なのである(ついでながら財源はもちろん税金だ)。

「東京新聞」は『自衛隊が「市民」監視』との見出しで1面に取り上げ(7日朝刊)、2面では「政権に新たな打撃」として「イラク派遣延長」審議などへの影響を示唆している。また、社会面でも多くの行数を割いて詳報、『無気味な「反戦監視」』『民主主義への挑戦』と強烈な見出しで問題点を伝える。同日の「解説」欄では「自衛隊が国民から乖離して独り歩きを始めたのではないか、との強い危惧を抱かせる。“軍部”が国民を敵視して監視下に置くとは、戦前の憲兵隊をほうふつとさせる。」とし、中国における天安門事件(1989年)を例に、武力による市民弾圧の狙いを解く。
 民主主義とはほどとおい中国共産党の実態と“美しい国”づくりの安倍政権との無気味な符合はどうか。天安門事件はいうまでもなく最悪ともいえる市民弾圧事件だったが、わが国もまた、その道に向けてひた走っているようにみえる。

 さて、このスッパ抜きを受けて発言した防衛省の守屋武昌事務次官のコメントがケッサクだ。いわく、
「イラクに派遣される隊員が不安に感じ、家族が動揺することのないようにさまざまな調査を行ない、文書にまとめた事実はあった。自衛隊には任務を遂行するための調査活動は認められており、このこと事態に問題はないと考えている」
 というのだが、さて、調査項目との関連性やいかに?
 そもそも隊員やその家族らに不安があるとすれば、それはおもに現地での危険に対するものであろう(反派兵の集会等は、派遣された自衛官個々について糾弾するものではなく、あくまで組織としての自衛隊と国の政策を問題視している。それとも現地の実態がジャーナリストらによって明らかにされることを怖れているのだろうか?)。なにしろ激しい戦闘がいまなお続き、環境も文化も異なる世界でこれまで体験したことにない実戦に巻き込まれる可能性があるのである(しかも日本の防衛とはなんら関係のない任務だ)。まずもって筋違いの発言であるうえに、問題がないという解釈そのものが政府の役人として不適格だということを自ら認めているようなものだ。こんな発言が公式にでてくること自体が、おそらく憲法についてもほとんど理解できていないのであろう。

 この問題はまだはじまったばかりであり、わが国の国会やメディア、国民が正常ならば今後大きく掘り下げられているハズだ。このブログでもまた取り上げる可能性があるが、さしあたり、どのメディアがそれぞれどのような取り上げ方をしてゆくか、そんなところも“監視”してゆく必要があるのではないだろうか。格好の「リトマス紙」である。  


*注1:
 自衛隊は軍事組織ではあるが、ここでは軍隊とはしない。これは現政権が狙っている改憲問題にも関わる解釈であり、仮に彼らの目論みどおりの改憲が実施されたとした場合、隊員個々の人権を含めて、いまとは大きくことなる軍事組織としての日本軍に改変される可能性があることを慮ったうえでそうした。

*注2:
 この点は、日米安保にもいえることであろう。日本がアメリカ合州国の子飼いとして家畜国家となっているうちはいいが、そうじゃなくなったと彼らに目されたときにその銃口が日本に向けられる可能性はある。
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