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猫池罵詈雑言雑記帳
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 ひさびさに『金正日 隠された戦争 金日成の死と大量餓死の謎を解く』(萩原遼・文藝春秋)を再読。
 本書は、1990年代に北朝鮮で発生した大量餓死事件を中心に、それに踵を接して起きた金成日の死去や現在なおつづく北朝鮮の核問題などを綿密な取材をベースに考察したものである。著者の萩原氏は「赤旗(現・しんぶん赤旗)」記者時代に平壌での駐在経験を持ち、一貫してあの国をめぐる事実、そしてわが国との関係などをえぐりだしてきた。本書の中心となった大量餓死事件は、氏の前著『ソウルと平壌』(同)などと合わせて読むと著者がつづけている取材の道のりをより深く理解することができるのではないかと思うが、本書の内容はよりショッキングかつ示唆に富んでいる。
 あの300万人規模ともいわれる大量餓死事件が、金正日によって巧みに仕組まれた虐殺であるという指摘は、十二分な説得力を伴って読者に迫ってくるだろう。すなわち、配給でしか食糧の調達が事実上できない北朝鮮市民。わずかな自家栽培ていどは認められているようだが、それを含めた自主流通がまったくの違法となり、ややもすればそれを根拠に監獄(いわゆる強制収容所を含む)送りにされかねない社会にあって、配給が断たれるということは、まさに死に直結する。つまり、そのシステムを逆手にとって気に食わない層と規定された住民を武力によらずに弾圧・虐殺したというのが、件の大量餓死の真相ではないかと著者は指摘しているわけだ。まさに戦慄のルポルタージュである。


 本書のなかにつぎのくだりがある(とある脱北者と著者との対談部分)。


──金正日が「600万人残れば国は再建できるといったと97年ごろ日本の新聞で報じられましたが、そんなことを言ったのですか。
「わたしは金正日のこんな話を聞いたことがあります。『ペクソン(一般市民─萩原)はいくらでも出てくる。そんな者は放っておいてよい』。一般市民の食糧を与えても意味がない、重要な者にやればよいのだというのが金正日の考えです。かれの考える重要な者とは150万の軍隊(中略)、これらを合わせたら大体5、600万人ですね」(本書240ページ。原典は漢数字)

 本題はここからである。
 このくだりを読んで思った。なんと現・自公政権に似ていることかと。アベとイケダのホンネというのは、形や背景は異なれど、まさにこういうシロモノなのではないのか?
 背景が異なるというのは、金正日がもっぱら自らの身の安全を核に据えていたのに対し、自公政権──少なくとも自民側は──は特定の個人の安定を前提にしていないだろうということである。もっとも、特定の宗教法人や企業(および企業集団)のおよび階層の安定をもっぱら慮っているであろうことは否定しづらいかもしれないが。
 先の選挙を勝手に“白紙委任”と規定し、彼らがなにをやっているか? NHKを筆頭に一般の御用マスメディアの類がほとんどまともに報じないので、萩原氏がかつて在籍(*注)していた「しんぶん赤旗」のウェブサイトからここ1週間の見出しを引用させてもらおう。
・15年度予算案で最終調整 軍事費4.98兆円 過去最大/生活犠牲 財源を還流(1月8日)
・子どもの貧困対策/政府の姿勢が逆立ちしている(同)
・安倍政権 翁長知事と面会拒否/これが政府のやることか/沖縄振興費 一方的に減額(9日)
・飛べるがたたかえない…? 米戦闘機F35/日本も6機分予算案計上 重大欠陥 価格高騰も(同)
・医療 介護 生活保護/選挙終われば安倍暴走 大改悪/「充実図る」(公約)どころか(10日)
・辺野古に資材搬入強行 夜陰に乗じる卑劣な手法再び/民意無視 安倍政権に怒り(12日)
・切り捨て 負担増続々 財務相と厚労相折衝/介護報酬 2.27%下げ決定/実質2回連続 制度危機に拍車(同)
・戦後70年談話/「核心」を引き継がない首相/アジア諸国との関係壊れる
・etc.

 民意の無視どころか、あからさまにバカにした態度。国家財政の危機を謳いながらの軍事費の突出(北朝鮮に近づいてきたか?)。それとは裏腹に──社会保障充実のために消費税増税などとぬかしながら──さっそくの社会福祉の切捨て。まさに「政権と財界にとって(?)不要な層はさっさとくたばれ」とでもいわんがごとしではないか。
 なかには、生活保護の不正受給問題などを指摘するムキもあろうし、それを無視しろとまではいわないが、介護を含めたそうしたセーフティーネットが、じつは現役世代にも大いに役立っているのだということを知るべきである。年老いたオヤ(あるいは病を得た家族)を介護などによって守るという仕組みが、現代社会において現役世代にとってのそうした“負担”を軽減しているからだ。


 生活保護という点では、知人との間でこんなやりとりがあった。
「生活保護をもらいながらペットを飼ってるひとがいるんですってね」
 思わず、
「ヨミウリはそんなことまで敵視しているんですかっ?」
 と答えたら「い、いえ、」と否定していたけれども、訊くまでもなく大方のニュースソースの想像はつく(その知人は善良なヨミウリ読者である)。
 たとえば、生活保護を得ているひとがネコの1匹と暮らしている。ギリギリまで生活費を切り詰めながら唯一の“家族”である。そんなことまでがダメというのかどうかどうは読者の判断に任せる。だが、いくつか直に話を聞いた範疇では、生活保護は、ごく一部の金持ちを除けばいつだれにでも必要になる可能性のある守りだと考えるようになった。


 増大する雇用不安。出口のみえない不景気(株価がどうのと喧伝されているが、金利はどうなっていますかな?)。十二分な資産や必ず助けてくれる家族や親族がいればいい。しかし、そうでない状況で、たとえばきちんと働いている現役世代が突然の病に倒れることは珍しいことではないだろう。それを原因に職を失い、収入が断たれる。回復して再び職を得ようとしても困難であり、乏しいたくわえはたちまちのうちの底をつく。これはリスペクトする弁護士・白川勝彦氏が著書『金儲け弁護士の自己破産ビジネス』(幻冬社メディアコンサルティング)に記したことではあるが、そうしたときに行政によるサポート(生活保護など)を受け職をみつけるための一時的なベースとする(まさか、それまで──病気で倒れる前から──飼っていたペットを棄てろなどとは言うまいな?)。これは、オレを含めて多くのひとに関わりうる可能性のあるシナリオであるハズだ(断っておくが、明らかな不正受給は弾劾されるべきである。しかし、YだのSだのが、ことさらにそうしたコモノに刃を向けたがるその根拠はなんだ?)。

 ちょっと話が飛んでしまったが、昨今の御用メディアやそれほど露骨でないマスメディアらのザマと合わせてみれば、わが祖国と北朝鮮との間に濃密な親和性があることを自覚しないワケにはいかないだろう。北朝鮮(金王朝)が崩壊するとみているひとはけっして少なくはないようではあるが……。
*注:ただし、萩原氏はその後に日本共産党から一方的な除籍処分を受けた。氏は長年の共産党員として著書などを通じて同党に対する建設的意見を述べてきたが、それらを誹謗・中傷と曲解したのだろうか。こういう除籍処分を断行するなどという体質が払拭されれば、同党は貴重な民主政党として支持を増やすだろうに……愚かなことである。もっともほかの政党でもシッポ切り的なモノを含めたこのテの所業はみられるが。


*おまけ:そういえば、猪木新党や小沢・山本新党の駆け込み増員を政党助成金目的(国会議員5名以上などが受給要件。どうせならこういうのを問題視しろよ、YだのSだのマスメディアの諸君よ・笑)とすっぱ抜いているのは「しんぶん赤旗」のイイところのひとつかも。本稿とは無関係な小間物だが。
*補足:じつは、紹介書にいまひとつわが国と北朝鮮との面白い類似性を認めた部分があったのだが、あえて触れないでおく(前掲書~金正日~・230ページ)。


*おしらせ:使っているブログの投稿システムが著しく使いづらいため、当ブログを移転する可能性があります(期日未定)。
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表現者表紙

 石橋凌自伝『表現者 我 語る 魂こがして』(カンゼン刊)が発売になった。個人的にはARBのイメージがイコールに近い石橋だが、本書に触れてみて、その俳優としての魅力を再発見することができた。松田優作との出会いから役者としての苦悩と発見の日々、アメリカ合州国での挑戦からみえてきた“表現者”としての人生……。生きることへの問いかけに満ちたその語りが、迫真のエネルギーをもって迫ってくる。石橋ファンはもちろん、「万人にお薦めしたい1冊」だ。
kankokutetudou

 拙著『とっておきの出会い方シリーズ 韓国×鉄道』(情報センター出版局刊)が来週9月25日に発売になります。
 累計400万部突破という人気シリーズ「旅の指さし会話帳」の新シリーズとして企画されたその第1弾で、初心者からちょいマニア系まで楽しめるような徹底ガイドを目指しました。シリーズのウリである「指さし会話」は鉄道場面を中心に取り入れ、旅先でも活用できるように構成してあります。文庫本サイズなので持ち運びにも便利! 旅の机上プランから余韻まで、お役立ていただければ幸いです(ISBN978-4-7958-4253-3 880円+税。ちょっとだけ詳しい内容はコチラ)。


 単行本『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍刊/鉄道写真家・佐々倉実氏との共著)がこのほど発売となりました。すでに「つれなのふりや」上ではお知らせしておりましたが、あらためまして報告および宣伝をさせていただきます。
 日本各地の鉄道路線を季節ごとにピックアップし、その旅の魅力を佐々倉氏のカメラワークを中心に、拙文を添えつつ1冊にまとめたものであります。おもな内容につきましては紹介ページを設けました。
 書店等でおみかけのおりにはお手に取っていただければ幸いです。  


 力の入ったルポルタージュを読むのはいい刺激になる。
 たまたまネットでめぐりあった『笑撃! これが小人プロレスだ』(高部雨市著/現代書館刊)もそんな1冊だ。
 著者と小人プロレスとの邂逅から、選手や彼らをめぐるひとびととの対話を通じて、この現代ニッポンから意識的に忘れ去られた世界を描き出す。差別とはなにか? 生きたひとびとを隠蔽するかのような社会に生きるわれわれとは、そもそもがなにものなのか? 著者の葛藤は同時に読者の葛藤でもある……。
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自己紹介:
 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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