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猫池罵詈雑言雑記帳
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 21日から北海道へ取材旅行にでかけ、さきほど戻ってきた。北海道旅行というとだいぶ楽しいように感じるかもしれないが、日程のほとんどを取材に費やすことになったため、北海道に行ったというより北海道の鉄道とバスに乗りに行ったといったところだ。北海道までの往復も陸路である。帰路は取材の最終地点の某駅を出て自宅にたどり着くまでにほぼ24時間がかかった。さすがにくたびれたけれど、地をゆく道ゆきには空路にはない味わいがあっていい。

 ちなみに、気温はだいぶ高めなようにも思えた。積雪のほうは例年よりやや多めな地域もあったが、本州内の線路周辺はほぼ無雪状態であり、やはり暖冬なのかとも思う。
 あれこれちょっとした所感もあるが、これはいずれアップしていきたい。


■脱法はただしいか?
 1月12日に「夕刊フジ」が配信した記事『「2ちゃんねる」閉鎖か 仮差し押さえ請求、再来週にも強制執行』は、とうの「2ちゃんねる」内だけでなく、ネット上のあちらこちらでちょっとした話題になっている。「2ちゃんねる」そのものにはたいして興味のないので、ネット上の配信記事を拾い読みするていどにすごしてきたが、知人から「どう思うか?」と訊ねられたこともあり、ここでちょっとだけ触れてみたい。

 いくつかの関連記事によれば、「2ちゃんねる」上で匿名による書き込みによって誹謗中傷された男性が、掲示板管理者の西村博之氏を相手どり、書き込み者の情報開示を求める申し立てを東京地裁に提出、裁判所からは開示を命じる仮処分が出たにも拘わらず、西村氏が一切の対応を故意にしなかったという事件が発端になっている。掲示板では男性自身や家族の実名や住所までがさらされたうえで悪意のある暴言が書き込まれた模様で、管理者としてはきちんとした処理をすべき事案といえよう。少なくとも求めに応じない正当な理由などはないハズだ。  



 いうまでもなく「2ちゃんねる」は匿名による自由な発言やネット上でのやりとりを重視した掲示板群だ。これまで公にはほとんど発言の機会を持てなかったひとびとにとって自らの主張を表明できる場となったばかりでなく、匿名者同士による意見や情報の交換などある種のコミュニケーションの形が顕われたなど、この種の情報様式としてはエポック的な一面を持つ。しかし、その一方でここで問題となったような誹謗中傷ばかりでなく、脅迫事件に通ずる刑事事件すら多発する土壌ともなっている。そうしたことはもちろん「2ちゃんねる」そのものが引き起こしているわけではないし、テーマが多岐にわたる同掲示板のなかにあってごく限られた事例にすぎないということにせよ、そのほとんどが書き込み者にとって姿を隠せる「匿名」だからこそという面は否定できず、掲示板のシステムからすれば起こるべくして起こっているということもいえる。しかし、システムはシステムとして、結局は人間が関わっている以上は、起こるべき諸問題に対応することはいくらでもできるハズだ。にも拘わらず管理者が情報開示(いざこざへの対処要求)に対して故意に応じないということは、システムをよりどころとしつつ責任を放棄したとそしられても仕方のないことであろう。
 今回の件を含めて、問題となっている一連の匿名による誹謗中傷の類をひとことで言い表わすのならば、卑怯もののなすことであり、藤原新也氏の弁を借りれば「姿を隠して猥褻行為を働く痴漢と似ている」ということある(06年11月28日のTalk)。もちろん書き込まれた内容の“善悪”の問題ではない。

 こうした掲示板などでの匿名の是非については、賛成できる部分もあるしよくない部分もあるというのがオレ自身のいまのところの考えであり、ようはにわかには判断ができない。賛成できるという点において少なくともいえるのは、仮にああした掲示板の類にまで一切の匿名性が認められないようになるとしたら、なんとも窮屈かつおそろしい社会だということだ。したがって、とうの「2ちゃんねる」にも、権力や権力的なものからの不当な働きかけには大いに対立してもらいたいものだとも思うが(しかし現実には権力側に利用されているのではいかと思われるフシがある)、法律やらきまりやら以前の問題として、ひととしてのモラルというものはある。今回の件はもちろんモラルだけで判断できる問題ではないが、事件化するしないを別としても、残念ながらモラルが欠如しているとしか思えない書き込みが多数みられるのも事実である(もちろんそうでないものもあるし、匿名にあって真剣なやりとりも多数みられるが)。それはネットだからとか匿名だからとか息抜きだからとかそういうことで見逃していい問題ではもちろんない。モラルを守って参加しているひとびとにとっても大きな迷惑というものであろう。

 ところで、「祭り」という現象がある。「2ちゃんねる」に限らずネットの掲示板をみているひとならたいていはどういうものかがわかると思うが、このところ話題になる「ブログの炎上」と近しい特定のスレッドやテーマへの書き込みラッシュである。「夕刊フジ」はこの点についても批判記事を載せ、それが「2ちゃんねる」上で「祭り」を煽る状態になっているらしい。なかには「祭りといっても悪いものといいものもある」といった主旨の意見も書き込まされいるようだが、悪いけれどこんなものにいいことなど、本当はないのだと考える。
 オレがダイッキライなことのひとつに、付和雷同がある。まわりがやっているからとか、だれかがやりはじめたからとか、ようは便乗の集団心理である。
 盛り場などで数人のチンピラに囲まれて足げにされている男。道ゆくひとはだぁれも助けない。見て見ぬフリ。そこへ腕に覚えのあるひとりの男がやってきて、チンピラを叩きのめしてしまう。するとどうしたことだろう。見物人たちが倒されたチンピラを蹴飛ばしたり罵声を浴びせたりしているではないか。そんな彼らに向かって男は言う。「卑怯なマネはやめろ!」
 とまぁ、こんなのはマンガにもありがちな紋切り型の小話に過ぎない。しかしすべてとまではいわないけれど、「祭り」ってのはこういうふうな一面がありませんか? これを姿もみせずに匿名でやりあうとしたら、これもまた痴漢と変わらぬ行為ということがいえるのではないだろうか。よってたかって「祭り」に便乗するひとびとよ、書き込みをする前にちょっと立ち止まってはみませんか?(まぁ、これもエロネタとかそんなゴラクの範疇でならいいかもネ。あたりまえのことだが念のため……ある種の力に対抗するために組合や訴訟団などの組織をつくるというのはこれとは別問題。)

 さて、この短文はべつに「2ちゃんねる」の是非を問うとかそういうことを書きたいのではない。「夕刊フジ」(1月12日)にあったつぎの西村氏の発言。
「子供の養育費の踏み倒しと同じ。賠償金を払わせる方法はこれ以上ない。イヤなら法律をつくればいい」
 これは06年11月にあった西村氏の講演会での発言だということで、今回の問題をおそらくは含む、掲示板管理者・西村氏をめぐって起きている一連の賠償請求に対する彼のスタンスであろう。虫酸の走るようなとはことのことだなというオレの所感の根拠のひとつとして、以前からなんどか引用してきた秋月岩魚氏(写真家)の発言を載せよう。
「ルールで生きてゆくのか? それともモラルで生きてゆくのか?」
 イヤなら法律をつくれというこうした斜に構えた西村氏の態度こそがじつは権力が好むものであり、自分たちの社会を窮屈なものにしていくことだということをもっと知ってゆく必要がある。今回もっとも言いたかったのはこのことである。

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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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