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猫池罵詈雑言雑記帳
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 前回に続いてテレビネタである。
 ちょっと古い話になってしまうが、先月末ごろに給食費不払いについてのテレビ番組がいくつかあった。これを取材先のホテルのなかでみていたが、あれこれ思うところがあったので、遅ればせながら少し記してみたい。
 もともとは「読売」など一部の新聞が報じていたらしいし、すでにご存じの方が大半だと思うので詳細は割愛するが、全国小中学校のおよそ44%で給食費の未納が起きており、その額が22億円にのぼるというものである。
*参考:文部科学省の“お知らせ”
 テレビ番組では、この額を強調したうえで、未納の理由について「経済的にはなんら問題がないのに払うつもりがない」「義務教育なのになんで払う必要がある?」といった例を挙げ、「とんでもないことだ!」という論法が目立った。たしかに、なかには海外旅行を楽しみ、高級車に乗り回すていどの経済力を持っていながら「払わん」と居直っている例もあるといい、こういう点だけをみれば、本当にとんでもないことだといえる。給食費は1カ月あたりおおむね3000〜5000円内外だというが、仮に問題なく払えるのに払っていないとしたら、それはたしかに大問題であろう。ルール違反であり、モラルの欠如も甚だしいからだ。



 しかし、番組をみながら、本当にそれだけだろうか(たまたまみたいくつかの番組では、あとで紹介するごく一例を除き、「それだけ」であった)という疑問も湧いてくる。なかには「払いたくても払えない」あるいは「払っていてもじつは非常に苦しいのだ」という状況にある家庭もあるのではないか? 月あたり数千円が払えないとはと疑問に感ずるひともいるに違いないけれど、思わぬ失業やその後の再雇用の状況などから、日々の生活を追い込まれているひともけっして少なくないハズだ(税金などの負担も上がる一方だし)。ましてや子育てにからむ出費は給食費だけではない。もろもろのカネを含めて、厳しい状況にある家庭はあるのではないだろうかと思ったのだ。だが、みた限りにおいて、そうした家庭の声を伝えたテレビ番組はなく、払えるのに払わない、あるいはそうした“傾向”に便乗した「逃げドク的」付和雷同組の存在ばかりがクローズアップされた結果、無視されるばかりでなく完全に埋没してしまっていたのである。

 ちなみに、冒頭にリンクした文科省の発表物では、「小中学校の44%」、「児童生徒数では1%」に未納があるとしながら、その理由について挙げられているのは該当する学校側の認識であり、にも関わらず全体の33・1%が「保護者の経済的な問題」とされている(60%が「保護者としての責任感や規範意識が問題、残り6・9%は「その他「経済的かモラルか判別できず」。*複数回答)。およそ3割。ヘタをすればさらに多い割合の家庭が、「経済的な問題」で給食費すら払えない状態にあるのだと、とうの学校側でさえ認識しているのだ。なのにこれがテレビの手にかかってしまうと(新聞もそうだったかもしれないが)、「払えるのに払わないとんでもないオヤがたくさん!」と単純化されてしまい、受け手(視聴者)の印象にはそうした一面だけが焼きつけられてしまうのであった。「発掘! あるある大辞典」でのねつ造問題が騒ぎになっているが、一見“客観性”を装っているかのような「ニュース番組」でさえ、こうした恣意的な視点で番組づくりがされていることを知る、これはよい一例といえよう。
 はたして、これもごく限られた一面にすぎないけれど、大衆の反応をみてみるとこんな実態もみえてくる。
*資料:Yahoo! 掲示板
 いくつかの少数意見もあるにはあるが、ほぼすべてといっていいぐらい、マスメディアによる一元的な“報道”に踊らされたかのような意見で埋まっている。少なくとも、ここでは「払いたくても払えない」層の存在についてはほぼ無視された状態だ。そうした実態を知るでもなければなんら想像力を働かせるわけでもなく闇雲に相手を叩く。大衆の劣等感を刺激するように「気に入らない層」がつくりあげられ、彼らのガス抜き的に“弱者”がスケープゴードにされているとみることも可能であろう。たしかに、十分に払う能力がありながら払おうともしない連中に対しては早急に手を打つべきであり、場合によってはより厳しく臨むべきだとは思うけれど、これではあまりにも単純化しすぎである。

 そんななか天木直人氏が、今年に入って再スタートした氏のブログ上で、この問題に関連するひとつの見方を提示している(1月28日「閑話休題」)。
 いわく、
「給食費未納額は約22億円という。未納者は全体の1%であるということだから全額を政府が負担すれば約2200億円。これは財政赤字に悩む政府にとっては大きな額かも知れない。しかしイージス艦一隻の値段である。米軍海兵隊のグアム移転費3兆円に比べるとどうだ。官僚が無駄遣いの財源としている特別会計何百兆円の無駄遣いと比べるとどうだ。」
 であり、
「給食費が払えないが故に悲しい思いをしている国民は確かにいる。その為に予算を工面する、それが政治ではないのか。罰則を決めて強制的に取り立てればよいというのは官僚の安易な解決法だ。その役人根性を叩きつぶすのが政治家のすることではないのか。メディアの役割ではないのか。」
 である。
 まさに然り。子どもは未来にわが国を背負う大切な存在(と自称・愛国者ふうに書いておこう)。だったらこのていどの投資はして然るべきではないのかとも思う。なかには「話をそらすな」と揶揄する者も出てきそうに思うが、これは十分に比較していい事案である。
 ついでにいえば、石原“団子”都知事がひと晩で数十万円にも及ぶ豪華な会食を“公務”としてくり返している実態を忘れてはならない。あのオッサン、「なにがムダかといえば福祉」のように居直ってきたけれど、こうして痛み知らずのボンボン上がりの“豪遊”を養ってやるほうがよほどのムダというものであろう。その一方では、わずかな給食費の捻出にさえ苦慮している家庭が、必ずある。この件についてどう思うのか、ぜひ感想を訊いてみたいものだけど、まだしもウチのネコのほうがマトモな答えをしそうである。

 この問題、「未払い」あるいは「不払い」の実態や理由を問いただすだけではもちろん解決はしないうえ、実態は数字にみえる以上に複雑な背景がある可能性もあって、一元的な方法ではとうてい解決はしえないかもしれない。しかし、一方ではこんな例もあるのだ。
 行政が給食費の負担をするという例で、北海道三笠市での取組みについて紹介した番組がひとつあった。06年度から進められているこの政策の背景には過疎化を防ぎたいという狙いもあるようだが、「たいへん助かっている。給料が4000円上がったような感じ」(抄録)といった市民の声は、とうの市民たちがまず大いに知るべきである。


*おまけ:
「共謀罪」は相変わらず燻っているばかりでなく、炎上の時期を狙い続けている。
 6日、自民党法務部会の小委員会(笹川尭委員長)で、対象の絞り込みが討議され、現在620ある対象犯罪について146にするという方針でまとまったという。さらに「共謀罪」という罪名を「テロ・組織犯罪謀議罪」に変更することを検討に入ると伝えられている。
 この法案についてはこれまでも触れているのでくり返さないが、こんなものは完全な目くらましであろう。名札がどうなろうと本質は変わらないのであり、対象犯罪数などは法が成立してしまえばいくらでも増やすことができる。消費税率の上がり方とその手続きをみてみればだれでもわかることだ。小賢しいにもほどがあるけれど、なんにしても騙されないことが肝要である。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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