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猫池罵詈雑言雑記帳
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 大相撲夏場所を制覇した横綱・白鵬をめぐって、不穏な空気が漂っている。
 いくつかの報道によれば、優勝力士による場所翌日の会見を白鵬が拒否、定例となっているこの行事が取りやめとなったという。相撲協会側では千秋楽後の深夜にわたり説得をしたというが、本人の意思は覆ることがなかったらしい。

 個人的に、大相撲にはさほどの興味があるわけではないが、白鵬のような強い力士は爽快だし、新進力士らの活躍をみるのは面白い。今場所の千秋楽は、タマタマ時間があったので三役以降の取り組みをテレビ観戦をした。そのさい、ちょっと気になる場面があった。
 表彰式にさいして「君が代」が演奏された(伴奏に自衛隊の楽団を使う意図はなにか?)。法的には国歌とされているから、これも形式的なセレモニーだということは理解しているけれど、なかには複雑な気持ちになっている力士だっているかもしれない。そんなことをつらつら思っていたところ、NHKアナウンサーが実況をつけくわえた。
「(こういう場では)いつもは(君が代)を歌っている白鵬ですが、今日は口を結んだままでしたね」正確ではない抄録だが、内容的にはこんな感じだった)
 そのときはそのまま見過ごしてしまったが、いまに思えば、これもまた大横綱の抵抗だったのかもしれない。

 ここからはまったくの個人的推測である。
 白鵬の心中には、ひょっとして大相撲協会内部にいる国粋主義的差別主義者に対する怒りがあるのではないか?

Link:“昭和天皇万歳”集会で――舞の海氏が排外発言
 リンク記事(「週刊金曜日」5月22日)から一部を引用する。
 改憲を唱える政治団体が4月29日、東京・明治神宮会館で開いた「昭和の日をお祝いする集い」で、厚労政務官・高鳥修一衆院議員(自民)らを先頭に、来賓と全参加者約250人が起立し、“聖寿万歳”と称し「天皇陛下万歳」を大合唱した。
(中略)
「昭和天皇と大相撲」と題し“記念講演”をした舞の海秀平氏が「外国人力士が強くなり過ぎ、相撲を見なくなる人が多くなった。NHK解説では言えないが、蒙古襲来だ。外国人力士を排除したらいいと言う人がいる」と語ると、参加者から拍手が湧いた。(ここまで)

 いうまでもなく、白鵬はモンゴル人である。この大横綱が念頭にあったかどうかはともかく、あからさまに「蒙古」と名指しし、しかも「襲来」などと言いがかりをつけている。差別主義者ないし反動というものは、やられる側のすべてを慮るセンスをこれっぽちも持ち合わせていないのが常というものだが、こんな発言がまかり通っている事実に対し、白鵬が絶望的な怒りにかられたことは想像に難くない。
 ひょっとすると、進退についても真剣に考えているかもしれないが、その怒りは視野に入ってきた大鵬の優勝記録更新よりもはるかに重いものだということはいえる。こんなことは部外者の妄想にすぎないことを祈るのみだが・・・。

 たしかに、今般の大相撲では外国人力士の活躍が著しい。これは見方を変えれば日本人力士に対しハッパのひとつでもかけろということにもつながろうし、一方ではわが国伝統の大相撲の国際的認知・人気度がますます高まったという解釈もできるのではないかと思う。
 前者についていえば、日本人横綱が絶えて久しいことに対する不安や不満があってもおかしくはない。だが、舞の海秀平某の発言は論外である。わかりやすい言葉で言い換えれば、筋違いの八つ当たりというものであろう。情けない。わが国の恥さらしだ。

*ついでに:件の御仁がのたまった「相撲を見なくなる人が多くなった」はまったくの節穴発言。今場所は連日満員御礼だったそうではないか(笑)。たしかに、一時期その観客動員数などが減ったことはあったが、その理由が御仁ののたまうとおり「外国人力士が強くなり過ぎ」たからかどうかという点については大いに疑問がある。外国人力士の台頭は事実だが、それならば弱体化したかもしれないニッポンジン力士のほうを憂えたらどうなんだ?

 たとえば、サッカーではこうした差別発言や行動を厳しく戒めている。先だっての浦和レッズサポーターによる排外事件も然り、つい先日は愛媛を舞台に類似の事件が起き、関係者は厳しく処断されている。それに対し、イシハラシンタロー(元・文筆家)に代表される痴れ者を放置しているわが国の愚劣ぶりについては以前にアップしたが(浦和レッズ事件とニッポンの政治。。。の巻)、今回の舞の海発言もほぼ同等の愚劣事件である。
 ところが、驚くべきことにこの発言はほとんど報道されておらず、そんな事情からか、白鵬の沈黙と件の差別行動とを結びつけた考察も、(しらみつぶしに検分したわけではないが)いまのところ知る限りではみられない。件の集会が報道する価値がないとみなされたからかどうかはともかく、こうした差別発言や行動を放置しつづけるニッポンという国が祖国であることが恥ずかしくてならない。

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