2011Apr/04 原子力利用について思うこと．．．の巻（追伸）。人類はいまだ利用の権限を得ていない

　いやぁいまさらだけどぶったまげた！
「日刊ベリタ」にリンクされたつぎの動画……。

※「「今日はプルトニウムの本当の話を聞いてください」〜PR映像「頼れる仲間プルト君〜プルトニウム物語」〜」

　誤魔化し満載のご都合内容。木をみせて森をみせない。あくまでたとえだが、たったひとつの事実を根拠に残りの99までも事実として正当化するかのごとし。すごいですね。こんなシロモノに騙されるなど、いまどきよほどのおひとよしか無知か家畜人ぐらいものであろうが、わが国の原子力開発・実用がこんなセンスに乗っかって運営されていたとは、冗談でなしにいますぐにでも逃げ出したくなってくる。あえてハッキリいえばキチガイによるプロパガンダである。それも血税を使った。

　　まぁ、まずもって思ったのは、東京電力の会長なり社長なりようは同社（だけでないが）幹部サラリーマンの諸君、さらに「よくわからない」クセに推進をあおってきた石原慎太郎だのといった連中に、動画の内容の「正しさ」を身をもって証明していただきたいということだ（動画サイトのコメントに「トップの東電社長がプルトニウム飲むCM作らないかな。」とあるけど、まさに同感だ）。かつて、大腸菌騒動のさいに当時厚生大臣だった菅直人氏が（汚染を疑われた）カイワレを食ってみせて話題になったが、さすがに菅サンにこんな自殺行為をしてくれなどとはいえない。が、この動画をプロデュースた連中は、ここはぜひ自らの主張の正しさを、文字どおり身体をはって証明してもらいたいものだと思う。

　それにして、も。
「吸い込まなければ」あるいは「血液に入らなければ」安全だって？　コレを主張する御仁、生き物の身体についてせめて小学生ていどの知識をはたして持っているのだろうか。あるいは「人体に影響を与えることは考えられません」との断言。飲んでもほとんど排出される？　医者はどう思うだろうなぁ。
　　仮に、「飲んでも安全」というのが事実だとしても、体内といわず体表といわずごく微細なレベルを含めまったく傷口の類がないハズがない。動画では呼吸により体内に取り込まれることにより被爆することが語られている（スケーブゴート的に害を認めている？）が、「飲む」と「呼吸する」とを完全にわけることなどそもそもできると思っているのだろうか。動画では「手洗い」でさも有害物質が除去できるかのようにぶっている。これが本当としても、どうかみなさん手なり足なり、ご自分の身体を観察してみていただきたい。オレの手をざっとみただけでも、指の数本に小さなささくれがあり、傷としてはふさがっているようにみえるけれど、手の甲に小さなキズがある。こういうことがあるからこそ、前回たとえに挙げたバイオハザードにせよ、一般的な医療行為にせよ、感染症防止などのために医療用手袋の着用や、場合によっては厳重な実験室が要求されているのである（たとえばエボラウィルスは、目にみえないようなごく微細な傷口を通じての感染の可能性すら低くないという。くわえて、目にみえないだけで鼻腔などを含めた体内のキズだってある）。医学の分野ではかくのごとく厳重かつ慎重なのに、原子力分野ではあのていたらく、か。いったん事故が起きるや「個体および地域社会に対する高い危険度」であることを否定できはしまいに（「安全」だっていうなら、会社や推進組織の幹部連中は現地に常駐して直接の指揮を取れ！　洗えばＯＫだってんだから、防護服の類なども使わずいつもの背広にネクタイで望むように）。

　まぁ、繰り返せば「人体に影響を与えることは考えられません」とのご高説について、責任をもって証明するというのがスジというものだ。なかには、この混乱のさなかにこんな責任追及をしても仕方がないというムキもあるかもしれない。だが、わが国の未来のことを慮るのであれば、なおのこと徹底的に追求してゆく必要があると考える。こんな余計な混乱や悪夢を繰り返さないためにだ。
　ドイツをはじめとするヨーロッパにおけるナチスおよびナチズムの清算。そんな決意でもって望むべしというのも、あながち大袈裟ではないと思う。

　今日から１週間ほど留守にいたします。