2011May/05 東京都流のユーモア精神．．．の巻。人権云々を流布する以前になすべきことがあるでしょうよ？

　クルマでなんとなくラジオ（ＴＢＳ）をつけていたら、妙な“ユーモア”満点のコマーシャルに遭遇して、思わずのけぞってしまった。
　ざっと聞き流しただけだが、大雑把にはつぎのような内容である。曰く……。

・身体や精神の障害などで差別を受けていることはありませんか？
・出身地などで差別を受けていることはありませんか？ ・（あるいは）男女差別・・・ｅｔｃ.。

　広告主は東京都である。
　詳しい内容を知りたいと思ったので、東京都の公式サイトを覗いてみたが、該当すると思われる項目はなく、代わりにつぎのような案内があった。

「WEB広報東京都[平成22年12月/みんなで築こう　人権の世紀]」

＊女性の人権を守ろう ＊子どもの人権を守ろう ＊高齢者を大切にする心を育てよう ＊障害のある人の完全参加と平等を実現しよう ＊部落差別をなくそう ＊外国人の人権を尊重しよう ＊HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見をなくそう ＊刑を終えて出所した人に対する偏見をなくそう ＊犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう ＊ホームレスに対する偏見をなくそう ＊性的指向を理由とする差別をなくそう ＊性同一性障害を理由とする差別をなくそう ──リンク記事より抜粋

　なにが言いたいか？　大方の読者にとってはもうおわかりかと思うが、いちおうオマケをつけておこう。いうまでもなく「──」以降は東京都知事であらせられる石原慎太郎（敬称略）の発言である。

＊女性の人権を守ろう──女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です（ 「女は閉経してしまったら子供を生む能力はない。そんな人間が（中略）生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」とも）。 ＊子どもの人権を守ろう──予告して自殺するバカはいない。やるならさっさとやれっていうの（いじめ関連の子どもの自殺問題にさいしての発言。「一生どこへ行ってもイジメられるんじゃないの」とも）。 ＊高齢者を大切にする心を育てよう──前頭葉の退化した60、70の老人に政治を任せる時代は終わったんじゃないの（まだ若かりし1975年の発言。とはいえ、とうのご本人もすでに80を目前としているワケだが、お元気にてなによりではある）。 ＊障害のある人の完全参加と平等を実現しよう──ああいう人ってのは人格あるのかね（障害者施設を視察したさいの発言）。 ＊外国人の人権を尊重しよう──犯罪者予備軍の支那、朝鮮人をこれ以上増やすなどあってはなりません（「三国人」云々と得意がった放言も有名ですなァ）。 ＊性同一性障害を理由とする差別をなくそう──ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする（「テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になりすぎている」とも）ｅｔｃ.ｅｔｃ.……。 「黙って聞け、この野郎！」 ──リンク記事に知事発言を付加

　お題目のなかでは、「ホームレスに対する偏見をなくそう」あたりも、とうの東京都の施策をみていると口ではあぁだけど腹んなかは……と、とみじみ思わざるを得ないがいかがなものか。ブラックユーモア（というのは、ときに黒人差別に解釈されるムキもあるようだが）……ようはそういうものであろう。他人にとやかく言う（しかも上段から）前に、てめぇのフリこそ見直したらいかがだろうかという恰好の見本というワケだ。こういうのを厚顔無恥ともいう。