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猫池罵詈雑言雑記帳
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 中国産冷凍食品の毒物混入事件は、ほかのもろもろのニュースを押し切るかのようにトップ扱いとなっているが、ヘタをすればわが国の食糧政策の根幹にも影響しかねない問題であり、その重要度は非常に高いを言わざるをえない。
 昨日アップぶんの「おまけ」にも記したが(「手作り餃子」画像入り)、オレ自身がじつはこのブツを事件発覚前日に食べており、一歩間違えば大変なことになるところであった。まぁ、報道から知る限りでは、仮にあたってたとすれば相当に激烈な症状であるらしく、アタマがぼ〜っとしたり胃薬が欲しくなったりしたていどなので、その関連を含めてどうだったのかはわからない。  

 これを記している段階ではまだ捜査そのものが緒についたばかりであり、真相についてはほとんど明らかになっていない。一部の報道では「あの工場だったらありえること」といった現地からの声が伝えられてきているが、工場設備そのものは十分に近代的に整えられていたらしく、どうも人的面の過失なりあるいは故意(31日19時のNHKニュースであるコンサルタント氏が「故意の可能性」にまで言及していたが、あり得ることだとはいえ、この段階においてこうした憶測が流されるのは異例とはいえないだろうか?)といったソフト面での不備が事件の底辺として疑われているようである。

 なにかの折に記したが、オレ自身は中国製の食品について購入を極力避けるようにしている。今回のギョウザは生活協同組合の宅配だったが、店鋪で直に選ぶさいには「原産地:中国」を外す。あれこれ伝わってくる事実をみるに、現地での薬品使用の問題などから「買わんほうがよろし」というふうに考えたからだ。とはいえ、加工食品のなかには材料に中国産があったとしても表示されていない例もあるし、外食では基本的に確かめようもいわけだから完全な排除は不可能。いちいち神経質になっていてもキリがないともいえる。これがアメリカ合州国産牛肉のようなモノであれば限定されているだけに避けようはあるのだが、野菜やら穀物やら加工食品やらあれやこれやで中国産製品が跋扈しているのだからなんともしがたい。まぁ、中国産を避ければいいという問題でもないけれど。

 ところで、19時のNHKニュースに触れたのにはもちろん意味がある。ここで言葉として使われていた“ソフト面”の問題。工場設備といった“ハード”は立派だけどそれと動かず人的部分やモラル、これがすなわち“ソフト”として取り上げられ「問題があるのではないか?」とされており、これは今回の事件に関わらずあれこれ伝わってくることから判断するにオレも賛成なのだが、さて、わが日本の“ソフト面”はどうなっているのかと思ったのである。
 報道によれば、先月の段階ですでに事件が頭角を顕わしていたといい、今月初旬に兵庫県で起きた食中毒事件では、兵庫県から扱い会社のある東京都に向けて「農薬混入の疑いアリ」の報告書が送られていたという。ところが、せっかくの兵庫県側の報告はなんら活かされることがなかった。それが直接の原因かどうかは別として、最初の中毒から1カ月以上も放置されたという現代ニッポンの抜け作ぶりを理解する格好の材料であるとはいえる。なぜ報告はうやむやにされたか? 東京都によれば送られてきた4枚組の書類は会社のある品川区にファックスで転送されたというのだが、そのうち農薬云々について触れた1枚が「送信ミス」によってほったらかされたらしい(したがって、品川区では肝心な部分を知りようがないままJTの子会社に連絡を入れている)。しかし、NHKに合わせて憶測でモノを言わせてもらえば、これは果たして「送信ミス」だったのか? ひょっとすると書類の重要性をなんら認識できない無能な東京都職員による単なる怠慢、それどころか送られてきた書類に目すら通さずにテキトーにあしらったがゆえの事件だったのではないか? それに、“ミス”とはどこまでがミスだと思っているのか?
 仮に職員の怠慢が原因だっただとすれば、危機管理能力の欠如も甚だしい大事件だ。いや、本当に“ミス”の範疇におさまるできごとだったとしても、やはりその責任は逃れ得ないのだ。だいたいにおいて、目のひとつでも通せば、その異常事態に対しての想像力がいくらかは働くハズである。ここは、ミスだろうがなんだろうが該当の職員の所属と氏名を明らかにし、組織ともどもそれ相応の懲罰なりを実施するのがスジというものであろう(ただしこんなのは瑣末なことではあるが)。
 なにがいいたいか?
 ようは、中国云々と同様に、わが国の行政もまたその“ソフト面”が丸っきりなっていないのである。あの過剰に立派な都庁。“ハード”は一見すばらしいが、その中身たるや……? そしておおよそ食品を扱う企業とは思えぬたわけぶりのJT(まぁ、中毒系製品の会社ですからにゃぁ)。

 断っておくが、だから中国側を免罪しようなんていう気持ちはさらさらない。それどころか、農水省や厚労省だけでなく外務省、いやもっといえば国全体までが本気で中国側に向けて対処すべき問題だと思う。なにしろ問題になったのは今回だけではないのだ。
 いまひとつは食糧自給率の低さ。ここにも重大な問題がある(あまりみやすいつくりではないが農水省のサイト参照)。これはなにも対中国だけの問題ではないにせよ、注意すべき状態であろう。生きていくうえでもっとも重要な食の分野、その足腰がきわめて脆弱なのである。
 相手国側は、日本の消費者を単にビジネスの材料としてみている。そこにどれだけのモラルが守られているかはわからない。もちろん輸入そのものがダメということではないにせよ、安全な食生活とはどういうことかについて、いまいちど考え直してみてもいいのではないだろうか。安くて便利だからといった類のなびきは、やがて自分たちの足元を揺るがすことになる。そんなことをあらためて思った。



*おまけ:
 大韓民国をちょこっと散歩してみて驚くのは、市場の活気である。ソウルの南大門や東大門のように日本人観光客に馴染みの深い市場だけでなく、大小の市場があちらこちらにある。そこで売られている野菜や肉、魚介類、果物……。ほんの瞥見ていどで論ずるつもりはないが、スーパーマーケットやコンビニなどでパッケージされて切り売りされている肉や魚などを見なれた目には、非常に新鮮だ。少なくとも、売られているそれらの食材には偽装の入り込む余地はないだろう(ゼロと断言するのは避ける)。牛肉アバラは牛アバラ肉、豚三枚肉は豚三枚肉、タチウオはタチウオ、タラはタラ、ライギョはライギョ、そのまんまである。少なくともここではパーチをスズキと偽って売っていたりはしない。近所にいい市場があればねぇ……と思う半田舎住人であった。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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