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猫池罵詈雑言雑記帳
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「まっ、いいんじゃありませんか?」
 失礼ながら、岩国市長選挙の速報で当確が出たときにそう思った。
 選挙の詳細については割愛するが、確認のために記しておくと、「きちんとした話し合いに応じよ」とする井原勝介前市長に対して、事実上政権の傀儡である福田良彦候補(前自民党衆院議員)が立候補し、傀儡側が激戦を制したというものである。投票率76・26%に対してわずか1700余票差(47081:45299)。


 この戦いに関しては、選挙以前からさまざまな論評がなされてきたし、この国がきわめて前近代的なシロモノであるかがだいぶ明らかにされてきた。補助金の打切りなどはそのひとつである。そうしたもろもろの“施策”に右往左往させられた市民が分断させられているという報道もあった。素朴に涌いたのは怒りである。この国の正体について。
 前市長が僅差で敗北したことの意味はいずれ明らかになるだろう。それが僅差であることが意味を持つのか、それとも敗北したことが意味を持つのかはわからないが。いずれにしても、岩国市という一地方の問題ではなく、日本という“独立国家”その存亡にすら関わってくるその意味が、だ。

 オレは思ったのだ。しかしひょっとすると、これはヤマト人が通らねばならない通過儀礼のようなものではないかと。
 ごく一部の例外を除き他国から侵略を受けた経験を持たないヤマト人。原爆を自国民の頭上に落とされたという事実にでさえ「しょうがない」と開き直るヤマト人。ここいらで徹底的な侵略を体験し、平和とは、民族の誇り、自主独立とはなんなのかについて学んでいけばいい。
 補助金カットの“兵糧攻め”などをめぐり、「アメとムチ」という言葉がメディアで使われてきた。だが、これは侵略者の常套手段ではないか。ヤマト人がアイヌに施した「アメとムチ」をみるがいい。ヨーロッパからの“移民”がアメリカ大陸で先住民に施した「アメとムチ」を知るがいい。ときにははした金をバラまき、ときには酒をバラまき、そして軍隊を送り込み直接的な虐殺に及ぶその歴史。旧満州をはじめとして、つくられては消えた傀儡国。岩国とまったく同じではないか。侵略する側が自分たちの国であるという点を除いて。直接的な虐殺こそ起こっていないかもしれないが、岩国でいままさに起こっていることがかつてアイヌモシリ(北海道)や南北アメリカなどで繰り広げられた侵略と同じであるのを知る必要がある。

 強姦されたものの気持ちは、強姦されたものにしかわからない。いまここで福田氏に投票した有権者を責めるつもりはまったくない。しかし、彼らをして、いずれ自分たちがまさに強姦されている事実に気づく可能性はある。そのときに、岩国に限らずこの国のひとびとがなににどう気づいて行動につながってゆくのか? むしろいまはそれに期待したい気持ちである。



*おまけ:
「東京新聞」2月11日づけ。山口二郎氏(北海道大教授)による連載「本音のコラム」が、選挙戦の結果前の原稿でだが辛辣な意見を述べている。
「民主主義や地方自治に思いを寄せる者にとり、岩国市長選挙はきわめて重大な意味を持っている」ではじまるこのコラム、本当は全文を引用したいものだがそういうわけにもいかないので、ご興味のある方はぜひ探してお読みいただきたい。ひとつユニークに思えたのが、大阪府知事と抱合せて論じている点だ。なにしろ見出しが「大阪に基地移転せよ」だ。すなわち、橋下徹知事が福田氏を応援し、そのさいに「防衛問題には地方自治体は一切口出しすべきでない」と発言しており、山口氏の表現を借りれば「悪代官の横暴に卑屈に従え」というそのものなのである。このツテでいけば、口出しをしないと表明し、話し合いの労力を省ける知事を戴く大阪府に「面倒な基地」のすべてを移せばいいという山口氏の論評は正鵠を得ているといえる。この“傀儡国家”の国策にもピッタリ。「橋下知事は喜んで迎えるだろう」(同コラム)。
 大阪府民よ、いかに考えるか?

*なお、本文上で「ヤマト人」としたのは、「日本人」で括ることに対して抵抗があるからです。国籍としての日本人のなかには、いうまでもなく侵略された結果の「日本人」がいることを忘れてはなりません。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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