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猫池罵詈雑言雑記帳
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 桜井章一氏による連載エッセイ「我れ悪党なり」第196回(『近代麻雀』・竹書房:2008年3月15日号掲載)。いい話である。
 冒頭には「有望な社会人になるために どんな手段を使っても勝つ それが世間の常識だが……」との見出しがつけられている。寝酒をやりながら、そんなエッセイを読んでみた。

 桜井章一氏についてご存じのない方はリンクをご覧いただきたいが、若干の説明をさせていただくと、雀荘を経営するとともに「雀鬼流」という道場的な麻雀を提案し実践、後進に対して教えを施している元“裏プロ”である。
 いうまでもなく麻雀はゲームであり、ギャンブル的要素もある“勝負ごと”でもある。つまり、常に勝ち負けがあるわけで、その戦術にもさまざま。むろん「雀鬼流」にも勝ち負けがある。しかし、「雀鬼流」のオレがみたところの最大の特徴は、強さを求めることの意味が「自分さえ勝てばいい」ということでない部分にある。そのため、表面的には字牌(東南西北など数字以外の牌)の扱い方をはじめ場面場面でのさまざまな制約がり、たとえ一般的ルールにあって違反ではなくとも、プレイヤーの勝手が許されないケースが多々あるように見受けられる。勝てばいいという麻雀ではないのである。……長くなるし、それほど詳しいわけでもないので説明はこのていどにしておくけれど、氏がどこだかで語っていた「巧くなるな、強くなれ」という言葉がひとつのヒントにはなろうか。

 さて、件のエッセイには、そんな「雀鬼流」のやり方に疑問を持った若ものが登場する。すなわち、彼は「僕は父親から人を押しのけ、どんな手段を使っても勝つんだと教えられ、学んでました」であり、自らを独自ともいえるきまりごとで律する「雀鬼流」(これをストイシズムとたとえることも可能かもしれない)のようにやっていたら社会で生きていけないのではないかというのである。
 いまひとつは「大人であると思われる方」から桜井氏に届いたというメールだ。
「(前略)勝負事には卑怯も何もない。(中略)既定のルール、モラルを守っての話です」
 こうした声に対して、氏は「あなたのおっしゃるとおり」としながらも、読者に向けて静かに語って聞かせる。社会はたしかにそうかもしれない。そういう意味で、彼らの意見は正論ではある。だが、「彼は確かに他人を蹴落としてまでも頑張って、何かを得てきたのかもしれない。しかし、その反面、青白い顔に目がつり上った様相からしても、今の彼の表情に何かをつかんだという自身は一つも見つからない。逆に何かにつまずいている、迷っている、悩んでいる(後略)」というふうに氏の目には映ったのだった。そして、「勝つことが正義なら、今相撲界を騒がせている朝青龍に難癖や文句を垂れるのはおかしな話である。結果論がはびこる社会なのに、何ゆえ強い横綱に非難を浴びせるんでしょうかねぇ」である。

 大いに共感できる語りだと思うのだが、いかがだろうか。

 前回に取り上げた横浜市長はもとより、いまの社会、「勝てば官軍」的発想(新自由主義などさいたるもの)が正論としてまかり通り、人間社会に必要な他者への思いやりややさしさ(これはもちろん自分に返ってくる)をあまりにもおざなりにしてはいまいか?
 ムリもない。幼少のころから受験をはじめとする競争まみれにされ、友だちであるべき仲間を蹴落とすことを教え込まれ、気がついてみれば他人や社会を慮る余裕のない人間があまりにも多く製造されてしまっているのである。しかし、オレに言わせれば(エラそうですみません)、そんな競争も紋切り型の幻だ。“競争小児病”だ。いずれその病が癒えてほしいものだと思うのだが……。



*おまけ:
 テレビのワイドショウで人気なのが、三浦和義氏の逮捕・拉致事件である。なんでも、すでに無罪が確定した事件が蒸し返させられ、アメリカ合州国当局によってサイパンで逮捕されたというのだが、これは単純に公権力による邦人拉致事件であり、国際的に抗議すべきできごとだといっていい。オレ自身は三浦氏がかつて容疑者となった“ロス疑惑”事件そのものにはなんら興味はない。が、当時をしてほかを排してまで殺人事件の一容疑者を娯楽として追い回し続けたマスメディアのバカぶりには大いに興味があり、今回もまたなにひとつ反省することなく邦人拉致事件をエンタテイメントに仕立て上げているさもしさにアタマがクラクラしてくる。ちなみに、NHKニュースなどでは「三浦和義元社長」となっていたが、タマタマ目撃した民放では「三浦和義容疑者」であった。低俗なショウアップである。こういうのに対しては「あっぱれなバカぶり」と評してやろうと思う。もちろん民放のほうを。
 真相はなんにせよこれから明らかにされなければならない。あるいは原則を覆してまで逮捕するだけの根拠がアメリカ当局にはあるのかもしれない。しかし、そんなことよりもなによりも、待ってましたとばかりに無批判に飛びつく連中を姿をとくと拝まれるがよい。娯楽は結構だが、たとえワイドショウだとしても、もっと視聴者が知りたがっていたり、知らせるべきできごとが山積みしているハズなのだが……。案外、国内での“ヤバイ状況”を誤魔化すべく、アメリカ合州国が話題づくりに手を貸してくれたのかもしれん。そんなことすら思ってしまった。
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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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