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猫池罵詈雑言雑記帳
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 内閣発足早々の大臣辞任。発端は“失言”であった。
 件の発言あるいは失言に対する所感はあえて避ける。新聞やテレビをはじめとする大手メディアのそれとは異なる見方が、ここにきてなされるようになってきたと思うからだ。
 そのなかで、写真家・藤原新也氏のつぎの発言は注目されるべきであろう。

「死の町のようだった」という鉢呂経済産業大臣の発言。



この言葉のどこがおかしい。

ありのままだ。

 ここで藤原氏が指摘するのは、ありのままをみつめよということであり、コトの本質をゆがめるなということだと解釈する。指摘を受ける第1の相手はわが国のマスコミだ。

 そのマスコミが指摘するように、現実の被災者らが一連の発言や報道についてどう感じたのかは、ある意味で想像の範疇を超えている。また、責任ある立場の人間から発せられたひとことによって生じる被害(いわゆる風評被害などを含む)、とりわけ子どもたちにとってのそれの可能性を考えると、たとえ現地が「ありのまま」の状態だったとしても、言葉選びにはより慎重な姿勢が必要だったのではないかと思う。しかし、それでもなお、マスコミ主導によるあの一連の騒動に対しては疑問符をつけざるをえない。「アンタがた、どこかズレてはいませか?」という思いだ。
 現段階で藤原氏が触れていない点にひとつ言及しておけば、あの発言云々をさておいても、鉢呂吉雄経産相(衆院・北海道第4区)の政治姿勢、とりわけ辞任に関連した原発に対するそれについてどうなのかということがある。そもそもが原発の「再稼働がなければかなり厳しい」というのが大臣就任にさいしての声明である。ということは、現在のこのような状態にあってそういう人物が閣僚に任命されたという点にこそ、その追求を向けるべきであったハズなのに“失言待ち”というのがわが国のマスコミであり、それどころかこうした騒動によってより重要な論点を俎上に載せないようにしている。ここが問題なのだ。

 論点1はいうまでもなく原発問題であり、国民の重大関心事になっている再稼動や新設などについて国としてどのように取組んでゆくのかということである。マスコミの多くは鉢呂発言に“炎上的”攻撃を仕掛けた。ていどはさておきそれは必要なことであったのだろう。しかし、一方でコトの根幹たる原発問題については巧妙に言及を避けているのはどういうワケなのか(ごく一部に例外がある)。これでは、本当の問題がなんなのかさっぱりわからないではないか。「死の町のよう」にしたのはいったい何者なのか? 放射能被害やその可能性を生み出したのはいったい何者なのか? とうの鉢呂氏を含め、その点に対しはたして真剣に向き合っているといえるのだろうか。

 そして第2。じつはこのことを記したかったのだが、鉢呂発言に踵を接して重大“失言”があったことを忘れてはならない。
「自衛隊とともに活動する他国の部隊に対する急迫不正の侵害から守れるようにすべき」
 民主党の前原誠司政調会長(衆院・京都第2区)が日米同盟にからむシンポジウム(7日・アメリカ合州国ワシントン市)で語ったという。同時に「武器輸出三原則」への見直しにも言及した。かいつまんでいえば、おもに米英のために他国に対し軍事攻撃をしたいということであり、“死の商人”を合法化したいということである(「他国の部隊に対する侵害」としているところに注目。わが国や「自衛隊」に対するそれではない)。ともに狙いの根幹は財界のカネモウケである。
 いずれも現日本国憲法に関わる問題だが、前者については「『正当防衛に限』り武器使用を認める」という現政府解釈上さえ憲法違反にあたるのだから、この前原発言は国家レベルでの重大問題といえるハズ。ところが、鉢呂騒ぎに保護されるかのようにあやふやにされつつあるのはどうしたことか。国家レベルの重要案件が核心を迎えるや大局的にはどうでもいいようなできごと(たとえば「白装束」騒ぎ)をテレビ画面などに席巻させてきたのがわが国のマスコミだが、ひょっとすると鉢呂騒動もまた「これ幸い」とばかりに利用されたのではないかと疑いを持ちたくなってくる。

 それにしても。こんなのが首相になっていたらどえらいことになっていた可能性もある(同じ穴のムジナに石破自民党政調会長・衆院鳥取第1区がいる。この御仁にも“失言癖”があるようだが)が、マスコミにはなにかと助けられているということではあろう。しかし、こんなところにも以前触れた資本主義崩壊の萌芽を読み取ることが可能かもしれない。
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