大韓民国についてよく言われることのひとつに「お年寄りを大切にする国」という類のことがある。これは一面では事実らしく、たとえばときおり渡韓する知人(年寄りではないが還暦を超えている)は「あっちでは地下鉄のなかなどでごく自然に席を譲ってくれる。若いヤツが年寄りを目の前にしてふんぞり返ってるなんてのはみかけない」と感心している。これをもって年輩者を大切にしているかどうかは別として、先日瞥見したソウル市内の地下鉄では、若いひとが優先座席(シルバーシート)に腰掛けているのをみなかったし、ほかの座席が埋まっていてもそこだけに空席があるのもみている。そんなのはタマタマだったかもしれないし、そのていどのことをもって断言は避けるけれど、モラルという点でなにかしら感じるものはあった。しかし、日本に帰ってからちらっと調べてみると、そういう気づかいがある反面、社会保障の整備に立ち後れがみられるともいい、国による福祉という点で「お年寄りを大切にする国」という見方が必ずしもできるのだろうかと疑問を持った。はたして実態はどうなのだろうか。むろんそれはまだわかりようがないが、こうした点を含めて──あの国とひとびとに対して俄然興味を抱いてしまったので、今後に向けてあれこれ自分の目でみてゆこうと思う。さしあたりはいろいろな町を楽しみながら歩いてみようと考えているが、さっそく今日から5日間ほどの散策にでかけることにした。
さて、外国の実態はとにかくとして、日本の社会保障は案外優れている面が大きい。たとえば健康保険は公的制度によって原則的には皆保険であるし、本来的には年金制度だって広く国民生活を支える先進的制度なのである。もちろん、充実度をみれば上には上があるというものだが、超先進国であるアメリカ合州国あたりと比較してもわが国のそうした制度が劣っているとは思えない。これは、憲法9条と並ぶ「世界に誇れる制度」といってもいいのではないか?
さて、外国の実態はとにかくとして、日本の社会保障は案外優れている面が大きい。たとえば健康保険は公的制度によって原則的には皆保険であるし、本来的には年金制度だって広く国民生活を支える先進的制度なのである。もちろん、充実度をみれば上には上があるというものだが、超先進国であるアメリカ合州国あたりと比較してもわが国のそうした制度が劣っているとは思えない。これは、憲法9条と並ぶ「世界に誇れる制度」といってもいいのではないか?
ところが、(十分ではないけれど)この世界に誇れる福祉を後退させようというのが昨今の日本である。たとえば、健康保険の窓口負担の増額はもとより、最近ではその保険証を行政が取り上げてしまう例も増えてきているという。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-01-12/2008011201_02_0.html
保険料を払わないのではなく払えないひとが保険証を奪われ、病気をこじらせてた例は関係者から直に聞いている。また、本来なら働き盛りとしてそれなりの収入があるハズの社会人が正規雇用を得られず、マトモにやっていても生活が破綻しかねない、そうした流れのなかに健康保険の問題も横たわっているのだ。
一方で一連の年金問題などで暴露されつつある役所のデタラメぶり。引きもきらない汚職の数々。いい加減、このおひとよしの国民のなかにも怒りが蓄積してきているのではないかと思うが、さらに恥じるべき悪制度が試行直前にあることを知らないひとびとは案外多いようだ。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-15/2008031501_01_0.html
「後期高齢者医療制度」というのがそれだ。
満75歳以上を“後期高齢者”と一方的に国家が規定し、それまで加入してきた医療保険から独立して加入しなおさせるというものである(障害者や人工透析患者は65歳以上!)。どういうことか? 現行では若年層を含めて幅広く保険料を徴収し、世代や健康状態に関わらず相互にカバーしあっているものが、満75歳以上についてはそれを切り離すというものだ。収入も支出も別にしましょうというのである。しかし、いうまでもなく、人間というのは歳を重ねれば重ねるほど健康に関するリスクは高くなる。それを比較的リスクの少ない層を含めた制度で幅広くフォローしようというのが本来の社会保険制度であるハズなのに、これを分離してしまったらこの層の財政がより厳しくなるのがみえみえではないか。
保険料額は自治体によって異なるが、政府の試算では月6000円前後(これで本当に賄えるのだろうか? ダメなときにはどうなるのか?)。それに介護保険料のおよそ4000円(全国平均)が加わり、それがただでさえ乏しい年金から天引きされる。窓口負担は現行どおり1割(現役並所得者は3割)だが、診療報酬に格差をつけることも狙われており、医療機関側もその対応を迫られることになる。そんな制度である。そしてそのココロとはなにか? これが「治療に時間も手間もかかる・認知症も多い・いずれ死を迎える」という3点を“後期高齢者”の“特性”と捉えて国が制度にしようとしているのだからぶったまげるというものではないか。ようは、75歳以上の“後期高齢者”はいずれくたばるんだから差別してしかるべきという発想なのである。くだばるヤツには余分なカネをかけるな。むしろとれるモノをもっとむしりとれ。単純化すればそういうことにほかならない。「いずれ死を迎える」なんていうものは大きなお世話ってものだが、これほどまでに人間の生命、その尊厳を軽視した先進国がこの現代にあったとは。まぁ、アメリカ合州国もそれなり以上のカネがない層にとって実態は似たようなものらしいが、「いずれ死を迎える」なんていうのを表明し差別する国家とは、これじゃぁ北朝鮮やら中国やらのことも批判できませんな(ついでに、国政上では民主党が反対の立場をとっているようだが、わが郷土・千葉県議会では賛成している。デタラメもいいところであろう)。
そして、加えて愚かしいのがこの制度そのものが国民にほとんど知らされていないことである。ココロは理解できる。こんなものが広く知られてしまったら、その反対の声が大きくなりすぎて手に負えなくなるからであろう。それに手を貸しているメディアもメディアである。三浦和義氏事件の半分でもいいから時間と手間とをかけてきちんと報道してみろっていうんだ。ぁあ、こうしてこの国はバカになっていくんだろうなァ。しかしバカも利口も無事に生きていればやがては“後期高齢者”になる。オヤだってそうなる。だれしもが「いずれ死を迎える」のだ。そんなことすら理解できないバカの集まりなんだろうか、この国を動かしている連中ってのは・・・?
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-01-12/2008011201_02_0.html
保険料を払わないのではなく払えないひとが保険証を奪われ、病気をこじらせてた例は関係者から直に聞いている。また、本来なら働き盛りとしてそれなりの収入があるハズの社会人が正規雇用を得られず、マトモにやっていても生活が破綻しかねない、そうした流れのなかに健康保険の問題も横たわっているのだ。
一方で一連の年金問題などで暴露されつつある役所のデタラメぶり。引きもきらない汚職の数々。いい加減、このおひとよしの国民のなかにも怒りが蓄積してきているのではないかと思うが、さらに恥じるべき悪制度が試行直前にあることを知らないひとびとは案外多いようだ。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-15/2008031501_01_0.html
「後期高齢者医療制度」というのがそれだ。
満75歳以上を“後期高齢者”と一方的に国家が規定し、それまで加入してきた医療保険から独立して加入しなおさせるというものである(障害者や人工透析患者は65歳以上!)。どういうことか? 現行では若年層を含めて幅広く保険料を徴収し、世代や健康状態に関わらず相互にカバーしあっているものが、満75歳以上についてはそれを切り離すというものだ。収入も支出も別にしましょうというのである。しかし、いうまでもなく、人間というのは歳を重ねれば重ねるほど健康に関するリスクは高くなる。それを比較的リスクの少ない層を含めた制度で幅広くフォローしようというのが本来の社会保険制度であるハズなのに、これを分離してしまったらこの層の財政がより厳しくなるのがみえみえではないか。
保険料額は自治体によって異なるが、政府の試算では月6000円前後(これで本当に賄えるのだろうか? ダメなときにはどうなるのか?)。それに介護保険料のおよそ4000円(全国平均)が加わり、それがただでさえ乏しい年金から天引きされる。窓口負担は現行どおり1割(現役並所得者は3割)だが、診療報酬に格差をつけることも狙われており、医療機関側もその対応を迫られることになる。そんな制度である。そしてそのココロとはなにか? これが「治療に時間も手間もかかる・認知症も多い・いずれ死を迎える」という3点を“後期高齢者”の“特性”と捉えて国が制度にしようとしているのだからぶったまげるというものではないか。ようは、75歳以上の“後期高齢者”はいずれくたばるんだから差別してしかるべきという発想なのである。くだばるヤツには余分なカネをかけるな。むしろとれるモノをもっとむしりとれ。単純化すればそういうことにほかならない。「いずれ死を迎える」なんていうものは大きなお世話ってものだが、これほどまでに人間の生命、その尊厳を軽視した先進国がこの現代にあったとは。まぁ、アメリカ合州国もそれなり以上のカネがない層にとって実態は似たようなものらしいが、「いずれ死を迎える」なんていうのを表明し差別する国家とは、これじゃぁ北朝鮮やら中国やらのことも批判できませんな(ついでに、国政上では民主党が反対の立場をとっているようだが、わが郷土・千葉県議会では賛成している。デタラメもいいところであろう)。
そして、加えて愚かしいのがこの制度そのものが国民にほとんど知らされていないことである。ココロは理解できる。こんなものが広く知られてしまったら、その反対の声が大きくなりすぎて手に負えなくなるからであろう。それに手を貸しているメディアもメディアである。三浦和義氏事件の半分でもいいから時間と手間とをかけてきちんと報道してみろっていうんだ。ぁあ、こうしてこの国はバカになっていくんだろうなァ。しかしバカも利口も無事に生きていればやがては“後期高齢者”になる。オヤだってそうなる。だれしもが「いずれ死を迎える」のだ。そんなことすら理解できないバカの集まりなんだろうか、この国を動かしている連中ってのは・・・?
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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