9月1日、JR西日本が三江線(江津~三次間)の廃止を表明した。同線は全長108.1kmに及ぶ長大ローカル線で、区間運転(全線走破スジは下り2本上り1本にすぎないが)を含めても上下合計17本にすぎない閑散線区である。だいぶ前に1度だけ乗りとおしたことがあるが、たった1両の小型ディーゼルカーが満席になった区間は皆無で、少ない乗客のうちふたり(オレを含む。ひとりは推測)は「三江線に乗るのが目的」で乗っていたのだからなにをかいわんやの状況ではあった。
一方、JR北海道が今年12月を最後に留萌本線の留萌~増毛間を廃止、さらに石勝線の“夕張支線”(新夕張~夕張)間の廃止を夕張市に申請している。また、新幹線開業との引き換えではあるけれど、北陸本線の金沢~直江津間と信越本線の長野~直江津間、江差線(五稜郭~木古内)、鹿児島本線の八代~川内間、さらに東北本線北部などの第3セクター移管は、鉄道路線としての存続はしているものの、母体であるハズのJRから切り捨てられたという点で、広義の廃止に準ずるという見方ができるかもしれない。
ここにきて、なんとなく「冬の時代」というものを予感する。このままいくと、廃止を含む路線切捨てに歯止めがかからなくなるのではないかという気もしてきた。
ここからはまったくの個人的推理だが、彼ら(JR)がつぎに画策しているのは幹線を含む在来線の分社化ではあるまいか?
たとえば、新幹線整備法に関連して3セク移管された線区がある一方で、その埒外にある東海道本線や東北本線の盛岡以南などはJRの路線として存続している。長距離優等列車が新幹線に移行したぶん、東京圏など大都市圏では生活路線としてより重要度が増している面もあるものの、長い区間のなかには経営(数字)的にみて厳しい部分もあるに違いない。とずれば、そんな儲からない路線はどうにかして切り捨てたいというのが経営側のホンネではないのか。
「●●線は新幹線開業のおかげでまんまと破棄できたんだがなァ。●●線もどうになからんのか?」
というワケだ。まぁ、穿った見方であることは承知しているけれども。
とはいえ、完全に自社と分離するには不都合な点もあるだろう。
そんな推理で浮かび上がってきたのが、子会社の設立である。つまり、新幹線を含む儲かる路線をJRオリジナルで引き続き経営、そうでない路線・線区を新たに設立する子会社の管轄としてしまうのだ。この場合、3セク化などとは異なり、あくまでJRグループとして存続することになるハズで、当面は利用者にとって目にみえる不都合はないかもしれない(ICカード乗車券の類は共通利用できるのだろうが、運賃計算がどうなるかは想像の範疇外)。
だが、従業員はほぼ完全に分離されるだろう。役員クラスなど一部には出向という形でJR本体の人間が配置されるのだろうが、現場を含む大半の従業員はそのまま子会社の社員という立場に置き換えられる。線路や駅などの関連施設の保持・分配については、分社を原則とする手段やオリジナルが子会社に貸し出すプランなどが思い浮かぶ(後者の場合、子会社が第2種鉄道事業者となる)。
これは経営側からみれば意味のあることで、たとえば人件費(給与や賞与などもろもろ)についてだけみても、JRオリジナルと子会社との差が歴然とするに違いない。言い換えると、たとえば新幹線や一部大都市路線による儲けをより株主への配当や内部留保にまわしやすくなるのではないのか?
仮にそんな事態が進行したとしたら、世界に誇れるわが国の優秀な鉄道網がどうなるか。おヒマな方はぜひ鉄道地図上などでシミュレーションしてみていただきたい(廃止路線もお忘れなく)。
じつはこの推理(妄想であってほしいが・笑)にはちょっとしたヒントがある。
航空である。
たとえばわが国では最大手2社によって「JALグループ」と「ANAグループ」がいくつもの航空会社を傘下にして、地方路線などの運行を実施している(前者では日本トランスオーシャン航空やJALエクスプレスなど、後者ではANAウィングス)。これは外国の航空会社でも同様で、コードシェアによって大手会社便になっていても、実際の運行は子会社などがあたっているケースは常識になりつつある。
さすれば、カネモウケ小児病(とオレは勝手に思っている)のJRが「オレも(「オレたちも」ではないんだな、この場合)」と考えるのは当然のなりゆきのように思うのだがどうだろう。
まっ、せっかくだからさらに発展させて、JRの路線上を第2種鉄道事業者が活発に営業できるようにしたらどうかと思いますがね。ヨーロッパの鉄道路線で盛んなように。こんなのはまぁお遊びの部類ではあるけれど、JR東日本とJR西日本が「JR九州に続け」とばかりに投入する予定の超高額遊覧列車の類なんてのは、むしろそういう方式のほうが利用者のためになるだろう。「ファーストクラス的」なサービスなど、鉄道会社よりはむしろ航空会社のほうが得意なハズだし、現にヨーロッパでは航空会社が航空便として運行する列車だってあるわけだからねぇ。
図体のでかさの割にあまりにせこい鉄道会社。
どうもそんな偏見を抱かずにはいられない昨今である(われながら悲しいことだ)。
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