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猫池罵詈雑言雑記帳
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「気違いは抹殺されなければならない。
 もし私が父親なら、単身日本にやってきて、必ず彼を絞殺する。やせてまずそうだから食いたくはない。しかし食わないと異常者扱いされない。異常者扱いされないと無実にならないから泣く泣く食う、いや食ったフリをする」石堂淑明

「こいつは気違い。気違いに言い分を与えるなんて絶対におかしい。天下の大道をいけしゃぁしゃぁと歩いているのもマスコミが原因だ。やんなっちゃうよ。それを議論すること自体、世の中が間違っている証拠。気違いに自由なんて、とても大人とは思えない。そんなことがわからないのか。地獄の競争に勝つたけに、マスコミはルールとマナーとエチケットを忘れている。
 私は石堂君に全面賛成だね。」西部邁

『電氣菩薩 豚小屋発犬小屋行きの宇宙オデッセイ(上)』(根本敬・径書房/158ページ)

 以上、著名人によるふたつの発言は、「パリ人肉事件」として一般に知られている事件の当事者に対し述べられたものだ。共通しているのは、このお二方が右翼の「論壇」で長年にわたりもてはやされてきたことと、特定の個人を指して「気違い」と言い切っていること(「気違い呼ばわりともレベルが異なる)、さらに「気違い」だから殺してしまえというところにある。

  事件の当事者である佐川一政氏の「コレクション」からの引用だというこれらの発言集には、ほかに大岡昌平、加賀乙彦、福島章、矢崎泰久、中野肇各氏のコメントが列記されている。(当然ながら)いずれも手厳しい論であり、ことにあれだけの陰惨な事件をしでかしながら不起訴になった点などにも疑問が提起されている。だが、あとに挙げた5氏はさきのお二方とは異なり「気違い」といった言葉は一切使っていないばかりか、事件や当事者についてそんな安易な単純化はしていない(あるていどの知性があれば当然の話だが)。いわんや、「気違い」だから「抹殺」せよなどと安直な態度も示していない(石堂のおとっつぁんときたら、具体的に「絞殺する」とまで言い切っている。恐ろしいことだ)。

 こんな話を取り出してきたのは、いうまでもなく相模原で起きた大量殺人事件の容疑者の発言(あくまでマスコミを通したものだが)を目にして、「どこかで同じ言説を目にしたことがあるぞ」と思ったからである。
 同じなのだ。相模原事件の容疑者と右翼論壇の著名人お二方とが。

 断っておくが、「ハンディキャパ(*注)」と「気違い」とを同列視しているのではない。また、具体的に犯罪を犯した佐川氏となんら罪のない「ハンディキャパ」とはまったく異なる。ここでは、あくまで石堂・西部という個人(それも影響力のある著名人)が堂々と「●●だから殺していいのだ」という趣旨の発言をしていること、また、ここで記した「●●だから」がいつなんどきだれに向けられるか知れたものでないという恐怖感から「同じ」としている。

 同時にあの石原のおとっつぁん(小説家崩れの元政治家)も類似の発言を何度もしているので、その詳細を確認すべくネットで「石原 障害者」で検索してみたら、出るわ出るわ。相模原事件と石原とを結びつけたひとびとがこんなにもたくさんいるのかとやや救われる思いもしたが、この石原も先のお二方と本質的に同じである。
 このあたりについ触れた記事をふたつリンクしておこう。

障がい者抹殺思想は相模原事件の容疑者だけじゃない! 石原慎太郎も「安楽死」発言、ネットでは「障がい者不要論」が跋扈(リテラ)


「障がい者を殺せば税金が浮く」植松容疑者の狂気は自民党政権の障がい者切り捨て、新自由主主義政策と地続きだ(リテラ)


 リンク記事によれば、石堂西部石原植松予備軍がわが国にはことのほか多く顕在しているようだ。なんというか、いったいぜんたいどうしてこんな祖国を心から愛することができようか!?
 心の底から悲しくて恥ずかしい……。


●おまけ:
 あの「サンケイ」がミュンヘン事件容疑者がナチスに傾倒していたらしいという「雑報」を配信しているが、ここはぜひとも相模原事件容疑者と「アベニズム(即席造語)」との親和性についても記事にしてもらいたい(できもしないだろうが・嘲)。

■都知事選について
 先週は数日間日本を離れていたが、出発前にアップする間がなかったネタに、都知事選をめぐり、文春・新潮あたりがなにかをやらかすのではないかという推測コラムがあった。出発直前まで本業で往生していたため、そのままになってしまったが、帰ってきたら「あらビックリ!」。想像をしのぐ騒ぎになっているではないか。
 この騒ぎについては、白川勝彦氏が言うところの「白色テロ」という言葉がふさわしいとオレも考えるが、いまひとつは懸念していた部分が露見したのではないかという思いも捨てきれない。
 じつは、オレ個人は鳥越氏をいまひとつ評価していないのである。これは氏のプライベートでどうのという話ではなく、ジャーナリストに対する個人的評価であり、「大丈夫なんだろうか?」と思っていたなかで起きた騒動なのであった(長くなるので詳細は省くが)。
 もっといえば「さもありなん」。だが、だとしても鳥越氏にはがんばってもらわなければならない。いまの日本がそれほどの危機にあるからだ。足らない部分があるとすれば、周囲でフォローすればいい。先の4氏に並ぶような極右女史だのアベの子分だのに席をくれてやってはならない。まずはその1点で結束し、この短期決戦を勝ち抜くことこそが必須だと考える。
*注:「障害者」を「障がい者」とする風潮が昨今にあり、この「害」の字が問題視されているというのだが、では「障=さしさわり」の字はどうなんだろうという疑問を早い時期から抱いてきた。こんなのは偽善なのではないのか? しかしながら、現に障害を抱えたひとびとが「害」の字を充ててほしくないと考えている可能性もあり、個人的にはカタカナ語のハイディキャパを用いるようにしている。安易にエイゴなど使いたくはないだが。

 なお、一般的に「気違い」だの「キチガイ」の類が「放送禁止用語」の類にされている。いくつかの文献などによれば、精神的な障害を背負ったひとに対する差別にあたるからという説があるようだが、そんな発想こそが差別的だとオレは思う。両者は全然別ものではないか。本質的「気違い」というのは、「気違いだから抹殺しろ」などといけしゃぁしゃぁと抜かす──飲み屋などでのごく内輪の与太話ならともかく──連中のことを指すのでは?
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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