2011Oct/16 東電は訴訟を起こせ！．．．の巻。ただしともにドロをかぶる覚悟で。

　前回の「だがための原発かの巻」で、東京電力（ほかの国策電力会社も横並びだが）および政府への責任追求は当然のこととして、いまひとつは原発メーカーの責任を忘れてはならないことを少しだけ触れておいた。東電を中心とする責任追求の陰に隠れるようにして大儲けをしてきた（最大の受益者）原発メーカーこそがじつは今般の事態を生み出した本丸ではないかとすら思う部分のあるワケだが、とすれば、東電は“善意の被害者”よろしく彼ら原発メーカーを相手に損害賠償訴訟に踏み切ってみたらどうか。

　いうまでもなく、国民に対し安全だのクリーンだのといった嘘八百を繰り返してきたのが東電をはじめとする電力会社であり日本政府だが（政権からしていまなお安全だのとウソぶいている）、そのお墨つきを与えたのがまず原発メーカーではなかったのか？　同時に御用学者らの“権威”だの“信用”といった装飾も大いに関係してくるのだろうが、開発者であり製造元であり納品元であり保守や修繕に関わってくるのが彼らである。当然のこととして「わが社の原発は絶対安全にしてクリーン」なことを「保証」するぐらいなセールストークがあって然りであろう（文書としてどうなっているかまでは調べていないが）。
　とすれば、「お前ら、絶対安全だっていってウチに納品したのではないのか？」と疑問を呈することも可能なハズだ。現に会社としても重大な損害を蒙っているのだから、そのていどの主張はあってもいいのではないか。しかも件の福島第１原子力発電所ににしろ、いまのところ重篤な事故は起きていないかもしれないが浜岡原発にしろ、本来の設計やその基準からすれば“手抜き”に匹敵しかねない建造物であったことも指摘されている。なにしろデタラメなのだ。しからば東電サンよ、ここはひとつ原発メーカーからの賠償をもって、本当の被害者を救済するための原資の万全化を期すぐらいのことをやってみたらいかがか？

　かといって、ほぼ間違いなく世論からの支持は得られないだろう。逆にさらなる批判の嵐が起こるだろう。だが、少なくとも受益者の本丸たる原発メーカーにも世間の目を向けさせることぐらいはできるのではないか。そういう意味でも、さらなるドロまみれの覚悟を決めていただきたいと思うのではあるけれど、現実に起きたとしても、これほどの茶番劇も珍しいってことになるんだろうなァ……。

　あえて断言は避けるけれど、原発による受益（儲け）やらそのための惹句としての「安全」だの「クリーン」だのというのは、この３者（政府・電力会社・原発メーカー）のいずれかがつくりあげた虚像などではなく、三位一体の演出によるフィクションであろうからだ。したがって、仮にそうした裁判になったとしてなにが起こるかといえば、これはもう三つどもえの責任なすりつけ合戦ということになってしまいかねない。するとそんな泥試合が繰り広げられるとともに３者それぞれのウソが暴かれ、儲けが暴かれ、癒着構造が露になり、いずれにしてもともに無傷でいられることは、少なくともマトモな法治国家であればありえないだろう。もとより、こんなのは単なる思いつきの与太噺にすぎないのだが……。