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猫池罵詈雑言雑記帳
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 今日は一杯ひっかけつつちょっとゆるネタを。
 以前にも触れたような気がするが、「水戸黄門」シリーズが打ち切られたことにより、わが国伝統の時代劇がその存亡すら危ういという見方があるという。シロウト目にもそれは大いにありうるなと、その話を目にしたときに思ったものだ。つまり、時代劇に要求される演技。殺陣。メイクや装束。大道具や小道具。もちろん台本や演出だってそうだが、ようはそれらもろもろ。長年にわたり培ってきたこれらの技術やセンスを活かす場が失われかねないということであり、それはすなわち後継者が死に絶えることつながるのではないかということである。

 これらのなかでなにがもっとも重篤な状態にあるのだろうか。ときおりテレビドラマを目にして思うのは、あまりに役者が育っていないのではないか。これは、いまや貴重な連続時代劇である大河ドラマも含まれるが、時代劇でありながら時代劇の芝居ができているとは思えない出演者がどうにも目立つのである。

 実名を挙げるのは控えておくけれど、数多くの時代劇をこなしてきたベテランとそのテの出演者とが同じカットに現われると、なんだかみてはいけないモノをみてしまったような気分にさえさせられてしまう。芝居と芝居もどきとが同じ舞台に乗っちゃっているのだ。乱暴な言い方をすれば、プロの芝居と学芸会とをミックスし、学芸会側をもムリヤリに作品(商品)として仕立て上げているようなものであろう。いや、上等のカレーにクソを混ぜてるようなものかな?
 この不満というか驚きの原因には、彼らの表情や立ち居振る舞いがということもあるのだが、とりわけシラケさせられるのが発声だ。時代劇のそれどころか、芝居の発声がまるでできていないように思えるのだがどうだろうか。もちろん舞台のそれとテレビドラマ、あるいは映画などにおける違いもあるだろうし、ジャンルや役柄による使い分けもあるのだろう。しかしここで言いたいのはそんなレベルの話ではなく、ようはプロのエンタテイナーとしての基準点に達しているとはとても思えない出演者があまりに目立つということなのである。

 その最大の問題点が、彼らから飛び出す地声である。いや、地声の芝居だってあってもいいが、たとえば「水戸黄門」で紋所を出すさいにスッカスカの地声で「ヒカエオロウ!」などとぶたれてもなんら迫力もないし、せっかくの見せどころなのにこれではふにゃふにゃになってしまう(悪いけれど、晩年はそのまんまだったと思う)。ベテラン扮する武士なり悪代官なりが野太い声で構えているのに、相対する若武者が普段着に飾りをつけたような地声では、これはもう時代劇とは呼べないのではないか? 近ごろは歌舞伎役者の出演も増えたけれど、これはひょっとして彼らに頼らざるをえないほど役者が育っていないことの裏返しなのではないだろうか。
 仕事を含め役者に会うこともときおりあるが、常に目の当たりにさせられるのは、芝居(モデルの役づくりを含む)に入った瞬間の緊張感であり、表情や声色がつくりだすオーラである。さりげにしゃべっているようでも、その声には底力がある! ホントにかっこいいなぁと憧れてしまう。

 しかるにスカスカの芝居もどき。学生のころ、だれだったかが入手したエロビデオ(当時はいろいろな意味でお宝扱いされたものだ)を仲間でうちで一杯やりながら眺めていたときのことだ。男女が和気あいあいと過ごしているところに拳銃強盗が押し入って……という筋書きつきのエロ作品だったのだが、手足をしばられた男が、女に手を出す強盗に向かって抗議するんですよ。
「や、やめろよー」「やめろっ!」
 でまぁ、これが真直ぐな棒読みなのはいいとして、そのとき集まった面々が揃って大爆笑した挙げ句、しばらく仲間うちでの流行語になってしまったのだ。「や、やめろよー」ってのが。
 なにを言いたいかといえば、ようはそんなレベルにみえる(聞こえる)ってことだ。つくっているほうは当の本人を含めて大変なんだろうなぁと想像こそするけれど、みる側の勝手な放言をしてみれば、あれはそれほどにひどい……。

 しかしこれは時代劇だけの現象ではない。むしろそんなのばかりのような気さえする。彼らに共通するのは、その力のない発声に加えて、自然と醸し出される「ふれくされたような演技(もどき)」である。ふだんから地が出ているのかなというのは大きなお世話だが、そういうのだけはリアルなんだなァ。目の前でクソガキがふてくされているような。いうまでもなく、みていて気分がいいハズがない。それが必要な場面ならばいざしらず。

 友人の音楽家によれば、ダンスを含めた立ち居振る舞いは比較的容易に訓練できるそうだ。反面、歌を含む発声についてはダメなヤツはなにをしてもダメで、それがわかっている供給側は、ハナっからマトモな発声など期待しないものらしい──まぁ、そんなあたりから幼稚園児レベルにしかみえないちーちーぱっぱアイドル(ときおり千葉テレビをつけると、幼稚園だか保育園だかで遊ぶ子どもたちが出てきて標語みたいなのを「わーわー」やってるスポットCMがあるが、オレにはまったく同類にみえる)製造法の一端が想像できる。が、その結果できあがるシロモノを、はたしてエンタテイメントと呼べるのだろうか。子どもの学芸会は微笑ましいものだけれど、あれはあくまで学芸会である。まぁ、そういうのがあってはいけないなどとはこれっぽちも思わないし、お子さま向けとしては悪くないと思うんですが、だがしかし……。

 もとより、イイなぁと感じる役者だって大勢いる。問題は、基本的な訓練ひとつできていない役者志望を重宝する側のセンスと肚の内とにあろう。こんなんでは、わが国のテレビドラマは衰退する一方なのではないかと思うのだが、どうだろうか。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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