とくにみたい番組があるときは別として、ふだんテレビをみる時間は30分にも満たないが、取材旅行などひとりで外泊するさいにはなんとなしにつけることも多い。旅先でその地域独自の番組に巡り会うのも興味を惹くが、コマーシャルやスポット情報の類にしても地元とは異なる世界があって、コネタ的な面白さがあるからだ。つい先日は関西方面を回ってきたのだが、滋賀県内(?)の難読地名や変読を歌にした「浮気の歌」など妙な物件(いちおうほめ言葉)に遭遇したりして、ときにはテレビをみるのも悪くないと思ってみたりもする。
そういえば、アニメ映画「風の谷のナウシカ」の放映(これは全国ネットだと思うが)があって、久々に鑑賞したのもいい時間つぶしになったけれど、挿入されるコマーシャルが自動車メーカー(一部販売チェーン)が中心で、しかも口を揃えて「減税」がどうの「補助金」がどうのと“八百長”政策に便乗した宣伝文句がつくのにヘキエキとさせられた。ニュースいわく「リーマンショック以降の経済悪化によって」(*注)自動車業界はキビシイ状況にあると繰り返されているけれど、あれは錯覚なのかな? ずいぶんと景気よく宣伝をしているとしか思えないのだが……。
それよりもあらためて感じさせられたのがハリウッド映画の貧困ぶりであった。同じ時間枠の次週やそのつぎの予告がなんどもスポットされていたのだが、そのラインナップたるや「スパイダーマン」に“地球滅亡”がどうのという特撮モノであったのだ。この2本の作品としての評価はそれぞれかもしれないが、昨年だったか遅ればせながらにテレビで鑑賞した「アウトブレイク」はSFもどきにすぎない最低最悪の駄作だったし、近ごろ輸入される“人気作”とやらもキリスト教の寓話の類を題材にした特撮系ばかりの印象が強く、そういえばとりたてて時間を割きたいほどの作品をみかけないなぁと思った次第(「華氏911」は珍しく映画館に足を運んだが、アメリカ映画の主流ではないだろう)。
昨年、韓国映画のDVDをいくつか購入して鑑賞したところ、「シルミド」の「メイキング編」で「われわれ(韓国映画)はハリウッドを抜きたいのです」といった制作者コメントがあったが、「大丈夫。あなたがたはすでに抜いていますよ」としみじみ思ったものだ(「シルミド」は同国で空前のヒットを飛ばしたノンフィクションベースの作品だが、同じタイミングでロードショウされていたのが「ロードオブザリング」だったという。まぁ、なにをもって評価するかはひとぞれぞれではありますが)。もちろん、「風の谷のナウシカ」も十分に楽しめた。
さて、本題はここからである。
ふだん、時事報道はインターネットをメインに新聞やテレビなどで入手しているが、ノートパソコンを持つ意志がいまひとつないこともあって、外出先ではどうしてもテレビニュースの類がおもな手段になる。で、ホテルにチェックインしてからNHK19時のニュースをつけたのだが、そのほとんどがオリンピック関連に費やされていて、この国や世界でこの日になにがあったのかがとんとわからない始末であった。どこかの局でほかの報道をやっているだろうとチェンネルを切り替えてみてもほぼ似通ったもので、やっとこさニュース番組に巡り会えたのがNHK教育の「手話ニュース」においてであった(帰宅してから19時のNHKニュースをみてみたところ、トップから延々18分間にわたってオリンピック一色であった)。仕方ないので(?)そのまま教育テレビをつけておいたが、おかげで福祉を題材にしたドキュメント含みの番組にステキな女性が取り上げられているのをみて(もちろん硬派な番組である)ちょっとだけ安心したものだったが……。
オリンピックは世界的催しだし、さまざまな意味で注目されているので報道するなとはいわない。だが、一日を通じて中継など関連番組が洪水のように流されるなか、一般の報道番組で大半の時間を費やすことの正当性を問わずにはいられない(たとえば、自国の選手やチームが優秀な成績をおさめたなどの話題であればまだしも理解できるが、それだってほかの番組でさんざん放映されているのだ)。帰宅後にみたさいには18分間のあとに普天間基地問題が取り上げられていたが、一般的な報道媒体として、オリンピックと普天間問題と、はたしてどちらが重要だろうか。
たとえば、とくに大きな動き(自国選手の表彰台)などがあったさいには一般ニュースのひとつとして簡単に触れ、「詳しくはこのあとの〜」といった流れて別番組に誘導すればいいだけの話であろう。それ以外にはもっとあっさりと「オリンピック関連はこのあとの〜」で十分。いわんや出場選手の出身地や地元からの応援団がどうのなど、ハナクソほどの題材にもなりはしない。言い換えれば、あそこまでオリンピックに時間を割くことの真意を疑いたくなってくるのである。
*注:
「リーマンショック以降の経済悪化によって」……これはある意味では事実であろうけれど、もはやいちいち枕詞にするほどの事実ではないのではないか? 言い換えればタレ流しのステロタイプであろう。そういうニュース原稿を耳にすると、それを書いた人物がどうにもこうにもアタマを使っているように思えないのだが。
*おまけ:
冬期オリンピックで観戦するのを好むのはスキージャンプだが、いまひとつ、フィギアスケートの浅田真央選手の演技も楽しみだ。いや、演技も楽しみだが、テレビなどで流される彼女のコメントもキレがよくて聞いていると気持ちがいい。今回、現地に向かうさいに「金メダルを取りたい」といった言葉を残したが、スカっとしたイイひとことだとうれしくなった。競技はまさに選手自身のためであり、目標も自分自身のためなのだ。彼女に限らず、こうしたアスリートには間違っても「感動を与えたい」だの「日本の代表として」だのと言ってほしくないと常日ごろから思っているが、そうした意味でも心地のよい目標でありコメントだった。自分の目標に向かって全力を発揮してほしい。観戦者としては、ただそれだけを思う。
それよりもあらためて感じさせられたのがハリウッド映画の貧困ぶりであった。同じ時間枠の次週やそのつぎの予告がなんどもスポットされていたのだが、そのラインナップたるや「スパイダーマン」に“地球滅亡”がどうのという特撮モノであったのだ。この2本の作品としての評価はそれぞれかもしれないが、昨年だったか遅ればせながらにテレビで鑑賞した「アウトブレイク」はSFもどきにすぎない最低最悪の駄作だったし、近ごろ輸入される“人気作”とやらもキリスト教の寓話の類を題材にした特撮系ばかりの印象が強く、そういえばとりたてて時間を割きたいほどの作品をみかけないなぁと思った次第(「華氏911」は珍しく映画館に足を運んだが、アメリカ映画の主流ではないだろう)。
昨年、韓国映画のDVDをいくつか購入して鑑賞したところ、「シルミド」の「メイキング編」で「われわれ(韓国映画)はハリウッドを抜きたいのです」といった制作者コメントがあったが、「大丈夫。あなたがたはすでに抜いていますよ」としみじみ思ったものだ(「シルミド」は同国で空前のヒットを飛ばしたノンフィクションベースの作品だが、同じタイミングでロードショウされていたのが「ロードオブザリング」だったという。まぁ、なにをもって評価するかはひとぞれぞれではありますが)。もちろん、「風の谷のナウシカ」も十分に楽しめた。
さて、本題はここからである。
ふだん、時事報道はインターネットをメインに新聞やテレビなどで入手しているが、ノートパソコンを持つ意志がいまひとつないこともあって、外出先ではどうしてもテレビニュースの類がおもな手段になる。で、ホテルにチェックインしてからNHK19時のニュースをつけたのだが、そのほとんどがオリンピック関連に費やされていて、この国や世界でこの日になにがあったのかがとんとわからない始末であった。どこかの局でほかの報道をやっているだろうとチェンネルを切り替えてみてもほぼ似通ったもので、やっとこさニュース番組に巡り会えたのがNHK教育の「手話ニュース」においてであった(帰宅してから19時のNHKニュースをみてみたところ、トップから延々18分間にわたってオリンピック一色であった)。仕方ないので(?)そのまま教育テレビをつけておいたが、おかげで福祉を題材にしたドキュメント含みの番組にステキな女性が取り上げられているのをみて(もちろん硬派な番組である)ちょっとだけ安心したものだったが……。
オリンピックは世界的催しだし、さまざまな意味で注目されているので報道するなとはいわない。だが、一日を通じて中継など関連番組が洪水のように流されるなか、一般の報道番組で大半の時間を費やすことの正当性を問わずにはいられない(たとえば、自国の選手やチームが優秀な成績をおさめたなどの話題であればまだしも理解できるが、それだってほかの番組でさんざん放映されているのだ)。帰宅後にみたさいには18分間のあとに普天間基地問題が取り上げられていたが、一般的な報道媒体として、オリンピックと普天間問題と、はたしてどちらが重要だろうか。
たとえば、とくに大きな動き(自国選手の表彰台)などがあったさいには一般ニュースのひとつとして簡単に触れ、「詳しくはこのあとの〜」といった流れて別番組に誘導すればいいだけの話であろう。それ以外にはもっとあっさりと「オリンピック関連はこのあとの〜」で十分。いわんや出場選手の出身地や地元からの応援団がどうのなど、ハナクソほどの題材にもなりはしない。言い換えれば、あそこまでオリンピックに時間を割くことの真意を疑いたくなってくるのである。
*注:
「リーマンショック以降の経済悪化によって」……これはある意味では事実であろうけれど、もはやいちいち枕詞にするほどの事実ではないのではないか? 言い換えればタレ流しのステロタイプであろう。そういうニュース原稿を耳にすると、それを書いた人物がどうにもこうにもアタマを使っているように思えないのだが。
*おまけ:
冬期オリンピックで観戦するのを好むのはスキージャンプだが、いまひとつ、フィギアスケートの浅田真央選手の演技も楽しみだ。いや、演技も楽しみだが、テレビなどで流される彼女のコメントもキレがよくて聞いていると気持ちがいい。今回、現地に向かうさいに「金メダルを取りたい」といった言葉を残したが、スカっとしたイイひとことだとうれしくなった。競技はまさに選手自身のためであり、目標も自分自身のためなのだ。彼女に限らず、こうしたアスリートには間違っても「感動を与えたい」だの「日本の代表として」だのと言ってほしくないと常日ごろから思っているが、そうした意味でも心地のよい目標でありコメントだった。自分の目標に向かって全力を発揮してほしい。観戦者としては、ただそれだけを思う。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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