久々に恩師を訪ねた。
「韓国では、鉄道の時刻は正確なのかね?」
「いぇ、近ごろでは5分、10分程度の遅れが常態化しているように思えますね。以前よりも遅れるケースによく出会います」
「仮に、あんたの感じているとおりだとよくないなぁ。そういうの(この場合は列車の遅れ)に鉄道会社が慣れてしまって、悪循環に陥る」
ネットでヘッドラインをチェックしていたら、つぎの記事が目に留まった。
「JR駅員が危険すぎる!ホームでビニール袋を踏んで転倒しかけた女性を無視、袋も拾わず
Business Journal?/ 2016年6月18日」
※http://biz-journal.jp/2016/06/post_15529.html
> 5月初旬、東京・JR新宿駅から中央快速線を利用した30代女性は、次のような光景を目撃したという。
「電車の到着を待つため、ホームには大勢の人が並んでいたのですが、ホーム際を歩いていた年配の女性が転びそうになって声を上げたのに気付きました。見ると、女性は足元に落ちていた白いビニール袋に気付かずに踏んでしまい、滑ったようでした。幸いにも女性は転倒を免れて去って行き、そこへすぐ後ろから駅員が歩いてきたのです。当然、ビニール袋を拾って行くだろうと安心していたのですが、なんとスルーして通り過ぎて行ってしまいました」(リンク記事)
じつは、もっと酷い例をJR東日本の千葉県内某駅で目撃している。
夜のラッシュアワー。その某駅を降りたひとは多い。ホーム半ばでカーブしているからだろう、駅係員が「お立ち台」に立って監視している。と、その目の前(数メートル視線の先)で、列車から降りてきた男子高校生のひとりが転んで、その片足が列車とホームとの間(内輪差で広くなっている)に落ちた。一緒に降りてきた仲間が手を貸して、ほどなくピンチを脱したが、「お立ち台」に立つ駅員は微動だにせず(後姿なので表情まではいざ知らすだが)、なにごともなかったかのように発車合図を送り、列車は駅を後に、駅員もまたホームから立ち去ってしまった。
件の駅員からすれば、大丈夫だと(独自に?)判断したのかもしれない。そこで手を貸すなり発車を待機させれば列車遅延が起きてしまう。であれば、この程度の事故未遂は“ささいな事案”として見なかったことにしてしまえばいいのだ。現に無事だったのだからそれでいいではないか……(あるいは、業務報告ぐらいはしたかもしれないが、これらはあくまで推測である)。
恩師が指摘した(韓国鉄道における)列車遅延への慣れ。駅における危険状況への慣れ(?)。慣れという部分の根っこは一緒である。オレにはどうも、つぎなる致命的大事故は、この会社が起こすのではないかという気がしてならないのだ。個人的に「世界一」だと考えている日本の鉄道が心配でならない……。
閑話休題。
参議院選挙である。
争点はさまざまだと思うが、国民の暮らしという点で、経済政策が非常に需要案件であることは否定できないハズだ。そもそもが、政治の根幹のひとつはカネの分配である。たとえば、税金という形で納められた国民のカネを、いかに国民のために生かしていくか? どういう使い道にどれだけのカネを用いるのか? そしてその根拠はなにか。こんなものはイデオロギーでもなんでもなく、まったくの基本だと思うのだがどうだろうか。
もちろん、与党もそれはよ~くわかっている。したがってアピールもする。だが、たとえそこによかれと考える経済政策をいかに主張しようとも、それと“セット販売”されるブツを知ってしまえば、これはもう全否定であたるしかないわけだ。
すなわち、改憲である。
ここで、その理由はどうあれ、与党を支持するということは、ほぼイコールで改憲へと結びつく。仮にオレ自身があの「アベノミクス」(あんなもの、対症療法にもならないインチキサプリメントの類だとオレは考えているが、ともども騙されているひとは存外に多い)を支持していたとしても、改憲に反対である以上は与党に票を投じてはならなくなってしまったに違いない。
言い換えると、選挙の争点を否応なしに変えてしまったのがアベであり与党なのである。改憲問題云々として論争を仕掛けているのは野党ではなく、紛れもなく与党ではないか。野党が改憲問題をチラつかせて争点へと仕立て上げたのではなく、与党こそが改憲への下馴らしを強行し続けているがゆえに、野党としても参院選の最重要案件にせざるをえなくなってしまったのだ。先に仕掛けたのはアベ側であり、野党や護憲団体の類ではないよ。
「アベノミクスを信じる」でも「ほかに適任が見あたらない」でも「民進・共産が嫌いだから」でもなんでもいいが、ここで与党を後押しするということは、改憲への第一歩どころか死刑台に登るようなものである。
イデーオロギー? 政策の違い? 野合?(もっとも、それをいうなら自民・公明タッグはどうなんだよ・笑。逆にいえば、巨大新興宗教団体と手を組まなければ、現政権は維持できないってこったろ?) そんなことで争っている場合でないことを理解しているからこそ、あの野党共闘だと考える。はたして有権者がそこを見抜いているのかどうか? せめて絶望だけはさせてもらいたくないが……。
●おまけ:
知人の善良なるヨミウリ読者が、「最近の若い連中はダメだから(そうだともオレは思わないんだが)、徴兵でもして自衛隊に入れて鍛えればいいんだ」と会うたびにのたまう。先だって彼のお孫さんたちを目にしたばかりだったのだが、「あのかわいらしいお孫さんも自衛隊に入れてしまうということでしょうか?」と訊きたいのをグっとこらえたオレであった……。もっともこのヒト、自衛隊と軍隊との区別ひとつついていない。さすが長年のヨミウリ読者だと感心するほかはなかった。でも、これはけっして笑いごでは済ませられませんね。
「コトが起きれば、友人やオヤにさえ銃を向けることさえ命令され、遂行せざるをえない。それが軍隊だと思うんですけど」
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