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猫池罵詈雑言雑記帳
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 憲法改定を前提とするその手続きとしての国民投票法案が衆議院本会議で可決に向かい、成立へ向けて詰めの段階にある(12日)。
 そんな切迫したなかにも拘わらずごく一部を例外とする大半の“報道”は、あたかもあらすじがすでに決まっているかのごとく表向きのできごとを伝えるのみで、国家……国民にとっての一大事を目前にして、無気味なまでに淡々としたものばかりが目につく。いわく、あの話はこれこれになりましたのごとく、どこか他人ごととも感じられるお知らせが。NHKが大リーグに移籍した松坂大輔投手の番組宣伝に過大な枠を割き(松坂に限らず、これはオレも気になっていた)、どこぞのカン違いした男が苦言の類を呈したらしいが、そんな介入もどきの話は別としても、本来ならば最低でもNHKの松坂と同程度以上には報道されてしかるべき大問題だということを、報道する側のみならず国民の側が気がつくべきである。

 そういう乏しい広報あるいは不完全実況中継の類によれば、国会のほうは、いちおうは紛糾しているムキもあるという。自創組がこしらえた与党案に対して、本質的にはどこが違うのかさっぱりわからない民主党案とやらを持ち出し“抵抗”している民主。対案は結構だけれど、前提となるのが同じく改憲であり、しかも9条がねらい撃ちされているあたり、与党と同じ方向を向いて“審議”にあたっている民主というのは、なんとも摩訶不思議な存在だといえよう。護憲を是としている共産・社民の両党が数のうえで著しく力を落としている現状からすれば、そんな民主であろうともすがりたくなるのかもしれないけれど、ちょっとでも冷静にみてみれば、同じ意見の者同士がなにをやってるんだということに気づかされてしまう。結果のみえたお粗末きわまる茶番といっていい。そんなものでもないよりはマシという状態こそ、じつは嘆かわしいのであるが。



 しかし、憲法を守ろうという声は大きく拡がっている。
 一般的なマスメディア、いわゆる大手新聞やテレビ、雑誌などでほとんど報道されていないだけで、「9条の会」をはじめとする大小のグループの活動は活発化しているし、そうした組織に直接関わっていなくとも、護憲の立場をとるひとはけっして少なくない。知らないひとがいるとすれば、その主たる原因は知らされていないところにある。

 ヤボを承知で、ひとりだけ例を挙げよう。
 オレがいまもっとも愛好する音楽家のひとり、クレイジーケンバンドの横山剣氏だ。楽しくエンタテイメント性の強い音楽を創作し、ショウを演ずるこの一流のミュージシャンが、改憲に対して異論を唱えていることはファンの間では知られたことだが、あるいはご存じのない方も少なくないかもしれない。
 個人的に、たとえばPANTA氏のようなメッセージ性の強い音楽は好きだが、だからといって必ずしもそうしたことを音楽に求めるものではない。だから、内心はとにかくとして表向きこうした問題に対してなんら触れなくとも、それはそれでいいと考える……というか、そればかりでは息苦しくなるってものだ(もちろん、あからさまに「改憲へGo!」などとやられたらガッカリするだろうが)。しかし、彼(あるいは彼ら)はあえて自分の気持ちを形にしたのである。きわめて自然に。

 まぁ、オレのささやかな楽しみをあえて生臭い話題と結びつけたいとも思わないけれど、ぜひ知ってもらいたいので、ひとつだけ紹介しておく。
 オリジナルTシャツ「憲法第九条」
(剣さん着用率No1らしい。オレも愛用しています。トップページはココ

 さて、「日刊ベリタ」によれば、改憲手続法案に関する公聴会において、異例ともいえる124名ものひとびとが公述人に応募、その大半が与党・民主案とも両案に反対の立場を表明したという。
 http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200704032103382
 もちろん、改憲を阻止する側のほうがこの問題に関して関心度が高いからということもいえるかもしれないが、じつは逆もいえるのである。賛成者が応募しても、もちろん構わないからだ。これは一面にはすぎないとはいえ、少なくとも改憲に対して熱心なのがどのような層にいるのかを示す例ということもできそうだ(それにしても、同記事の見出し「憲法審議ってば、今どうなってるの?」というのが、ある種の皮肉をこめたものかもしれないということを、しつこいようだが怠け者のマスメディアの諸君は自覚する必要がある。こういう事実を報道したマスメディアがどれだけあったというのだろう?)。

 状況は楽観できないかもしれないが、絶望的ではないのだ。むしろ本当の戦い(抵抗)はこれからだといっていい。
 そんな気持ちでいたところ、天木直人氏が爽快なコラムを氏のブログにアップしていたので紹介したい(ただし、こうした氏の表明は以前からなされていた)。

 「国民投票法案の強行採決を前にして」

 詳しくはリンク記事をお読みいただきたい。さしあたり、いくつかのキーになる言葉を抜き出してみる。


「改憲は戦後最大の政治課題であり、国の将来、国民の運命を決める問題」
「護憲派にとっては腕の見せどころはこれから来る」
「改憲の試みは国民の一票によって挫かれねばならない。それは大袈裟に言えば日本人が初めて自らの手で国のあり方を決めると言うことだ。日本の歴史上初めての民主革命である」
「今改憲するという事は米国のテロとの戦いに付き合わされるという事(中略)日本の国や国民を守るという本来の防衛とは何の関係もない、米国の戦争(中略)である」
「護憲派は強行採決を前にうろたえる必要はない。その後の事態の進展はその誤りを厳しく責めていくことになる。国民はやがて改憲の愚かさに気づく。護憲派が行うべき仕事はむしろこれからである」


 然り!

 いまと、そしてこれからを示す見方であり指針といえるだろう(ついでながら、前回嘆いてみせた東京都の問題に通ずる姿勢もここには示されている)。
 天木氏が記すとおり、本格的な戦いはここからである。そしてそれは、大方の無関心とも思える国民を目覚めさせるチャンスでもある。ジャーナリズムはもとより、気がついたひとりひとりが、少しずつでもいいから声を出すことであろう。なにも、デモに参加せよとか、だれかれに構わず意見をぶつけよというこではなしに、自分が思う方法やレベルで一歩ずつ進めていけばいいのではないだろうか。そんなことをあらためて思う。

『様々な思考過程を経て、最後は「憲法9条を一字一句変えてはいけない」という最強の護憲論者にたどり着いた私はあらゆる手段を講じても改憲は阻止さるべきと考えている。』(天木直人氏・リンク記事)   

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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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