今回の統一地方選挙の結果をみて、ちょっと面白いなと思ったことがある。
たとえば東洋町(高知県)町長選。ご存じのとおり核廃棄物最終処分場誘致をめぐって注目を集めた選挙だ。結果は反対を表明している新人・沢山保太郎氏が当選、前職が進めていた建設誘致は白紙に戻った。国によって自治体への建設地公募を求められていたなか、最初に立候補したのが同町であったが、この問題を引き金に、前職がリコールされる流れのなかいったん辞任するなど住民主体の運動が展開していた結果である。
一方、米軍普天間飛行場問題を抱える宜野湾市(沖縄県)市長選では、沖縄県内への移設に反対を表明するなど早期の基地返還を訴えている現職の伊波洋一氏が、自創推薦の新人候補を破り当選している。これなど、国政に直接的に関わってくる結果であろう。
いずれも国によって推進されつつある政策に異義を表明した内容である。もちろん、こうした結果だけから大勢を判断するわけにはいかないにせよ、政権による独裁状態が続いているこの国のなかでも、異論がきちんとまとまる可能性があることの証明にはなろう。もっとも、一方では放射性廃棄物最終処分場誘致を推進する現職が3選した鯵ヶ沢町(青森県)のような例もあるのだが……。
たとえば東洋町(高知県)町長選。ご存じのとおり核廃棄物最終処分場誘致をめぐって注目を集めた選挙だ。結果は反対を表明している新人・沢山保太郎氏が当選、前職が進めていた建設誘致は白紙に戻った。国によって自治体への建設地公募を求められていたなか、最初に立候補したのが同町であったが、この問題を引き金に、前職がリコールされる流れのなかいったん辞任するなど住民主体の運動が展開していた結果である。
一方、米軍普天間飛行場問題を抱える宜野湾市(沖縄県)市長選では、沖縄県内への移設に反対を表明するなど早期の基地返還を訴えている現職の伊波洋一氏が、自創推薦の新人候補を破り当選している。これなど、国政に直接的に関わってくる結果であろう。
いずれも国によって推進されつつある政策に異義を表明した内容である。もちろん、こうした結果だけから大勢を判断するわけにはいかないにせよ、政権による独裁状態が続いているこの国のなかでも、異論がきちんとまとまる可能性があることの証明にはなろう。もっとも、一方では放射性廃棄物最終処分場誘致を推進する現職が3選した鯵ヶ沢町(青森県)のような例もあるのだが……。
また、前半戦を振り返れば、滋賀県における自民惨敗という結果が、栗東市の新幹線新駅建設問題に大きく影響している。すなわち、建設中止を訴えている「対話でつなごう滋賀の会」の候補12人(立候補は19人・議会定数は47)が当選する一方で、自民の当選は候補24人中16人にとどまったのである。このため、推進派の会派「自民党・湖翔クラブ」は、これまでの「推進」から「凍結」へと政策を転換せざるを得なくなったのだという。もちろんこんな転換などは表向きのポーズであり、単なる風見鶏であろう。なにしろ、滋賀県民に支持の高い嘉田由紀子知事と対立したままでは、夏の参院選を戦えないと判断したというのであるから、ようは選挙対策にすぎないことがわかる。だが、少なくともここでは有権者の勝ちであるということはいえる。
滋賀県での選挙にあたって、新駅建設を推進する側の自民は推進する立場をきちんと表面せず、その部分に触れないようにして戦っていたという。しかし論点を隠し逸らしたつもりなのだろうけれど、そうは問屋が卸さなかったのであった。痛快な結果ではある。しかし、この論点隠しこそが自民のやり方であることを考えると、この滋賀県での結果はじつは多大なものがあるとみる。
沖縄において、宜野湾市で破れた自民は、参院補選では辛くも逃げ切っている。ここでは珍しく共産を含む野党勢力が選挙協力を敷いたにも拘わらずという結果だったが、ここでなされた自民の戦術をみれば、やはり論点隠しに徹しているさまがわかるのであった。
アベのオボッチャンが2度にわたって沖縄入りするなどの力をいれた自民がおもに訴えたのは空港の拡充などを含む沖縄振興策や生活向上であったという。国民投票法案や米軍再編特措法案の衆院通過という重大事が踵を接してあり、沖縄戦における「集団自決」について旧日本軍関与をめぐる教科書の記述が検定意見で修正されたなど沖縄の歴史に直接的に関係する問題もあったにも拘わらず、そうした問題には極力触れずにやりすごしたのである。もちろん憲法についても争点にはしていない。いざ国会になれば、あれほど熱心に改憲手続きを進めているというのに、だ。
こうした一連の姿勢を、「東京新聞」は「首相が“地金”を隠して」(23日社説)と表現しているが、沖縄補選での結果はそのものはとにかくとして、部分的には地金が剥がされつつあるようにも感じられる。それが宜野湾市での結果であり、滋賀県での趨勢にも現れてはいないだろうか。つまり、自民は自らが訴え、進めている政策では選挙に勝てないと認めているのであり、そのうえで選挙に勝ちさえすればなにをやってもいいというおおよそ民主主義とはかけ離れたセンスの持ち主であることを堂々と認めているのであった。
本当に自分が正しいと思うのであれば、真っ向から主張して戦えばいい。それをコソコソと有権者をケムリに巻くようなやり方を続けるのであれば、やがて賛同者からもソッポを向かれるときがくるであろう(さっさとそうなってもらいだいものだが)。
しかし、そうなるためにはジャーナリズムの力が必要なのはいうまでもない。この国で、いまなにが進められているのか、やがてどのようになろうとしているのか、その問題点はなんなのか……。なんにしても、現状をきちんと理解できなければどうしようもないのだから。
あれだけ無茶を続けている自創政権。自民流地金隠しが通用する背景には、おおよそジャーナリズムとは無縁なマスメディアの姿勢が大いに貢献している。そんなメディアも同様に、大衆からソッポを向かれないように気をつけるべきであろう。
*記事紹介:
若干の関連ということで、目を引いた記事をひとつリンクしておきたい。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-04-23/2007042301_02_0.html
滋賀県での選挙にあたって、新駅建設を推進する側の自民は推進する立場をきちんと表面せず、その部分に触れないようにして戦っていたという。しかし論点を隠し逸らしたつもりなのだろうけれど、そうは問屋が卸さなかったのであった。痛快な結果ではある。しかし、この論点隠しこそが自民のやり方であることを考えると、この滋賀県での結果はじつは多大なものがあるとみる。
沖縄において、宜野湾市で破れた自民は、参院補選では辛くも逃げ切っている。ここでは珍しく共産を含む野党勢力が選挙協力を敷いたにも拘わらずという結果だったが、ここでなされた自民の戦術をみれば、やはり論点隠しに徹しているさまがわかるのであった。
アベのオボッチャンが2度にわたって沖縄入りするなどの力をいれた自民がおもに訴えたのは空港の拡充などを含む沖縄振興策や生活向上であったという。国民投票法案や米軍再編特措法案の衆院通過という重大事が踵を接してあり、沖縄戦における「集団自決」について旧日本軍関与をめぐる教科書の記述が検定意見で修正されたなど沖縄の歴史に直接的に関係する問題もあったにも拘わらず、そうした問題には極力触れずにやりすごしたのである。もちろん憲法についても争点にはしていない。いざ国会になれば、あれほど熱心に改憲手続きを進めているというのに、だ。
こうした一連の姿勢を、「東京新聞」は「首相が“地金”を隠して」(23日社説)と表現しているが、沖縄補選での結果はそのものはとにかくとして、部分的には地金が剥がされつつあるようにも感じられる。それが宜野湾市での結果であり、滋賀県での趨勢にも現れてはいないだろうか。つまり、自民は自らが訴え、進めている政策では選挙に勝てないと認めているのであり、そのうえで選挙に勝ちさえすればなにをやってもいいというおおよそ民主主義とはかけ離れたセンスの持ち主であることを堂々と認めているのであった。
本当に自分が正しいと思うのであれば、真っ向から主張して戦えばいい。それをコソコソと有権者をケムリに巻くようなやり方を続けるのであれば、やがて賛同者からもソッポを向かれるときがくるであろう(さっさとそうなってもらいだいものだが)。
しかし、そうなるためにはジャーナリズムの力が必要なのはいうまでもない。この国で、いまなにが進められているのか、やがてどのようになろうとしているのか、その問題点はなんなのか……。なんにしても、現状をきちんと理解できなければどうしようもないのだから。
あれだけ無茶を続けている自創政権。自民流地金隠しが通用する背景には、おおよそジャーナリズムとは無縁なマスメディアの姿勢が大いに貢献している。そんなメディアも同様に、大衆からソッポを向かれないように気をつけるべきであろう。
*記事紹介:
若干の関連ということで、目を引いた記事をひとつリンクしておきたい。
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