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猫池罵詈雑言雑記帳
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 以前、なにかの折りに触れたことがあるけれど、プロレス(ここではジャイアント馬場やアニトニオ猪木が第一線で活躍していたいわゆる“昭和プロレス”をさす)のチャンピオンの一部はその地位を守りやすいルールによって庇護されていた。いうまでもなく、プロレスの勝敗は「3カウントのフォール」か「ノックアウト(ギブアップを含む)」、「リングアウト」、「反則行為」・・・によっておもに決するが、挑戦者がタイトルマッチで勝利しても、肝心のタイトルが移動しないルールがまかり通っていたのである。
 すなわち、リングアウト勝ちと反則勝ちでは勝ちとは認められてもチャンピオンベルトを獲ることができないため、事実上の負けとなる。挑戦者が勝つためにはチャンピオンをノックアウトするか押さえ込んだうえで3カウントをレフェリーに打たせるしかないことになってしまうのだ。勝ちは勝ちなのにと思うだろうけれど、ようはチャンピオンの防衛を延ばすための施策であり、そのほうが興行的なメリットがあると考えられていたのであろう。
 だが、そんなルールのため、なかには故意とみられる「リングアウト負け」や「反則負け」が少なくなかった。挑戦者有利とみるや、チャンピオンが倒れたフリをしてリング外で伸びてしまうのである。あるいは興奮を装って反則を続けたりひどい場合にはレフェリーに手を出す例もあった。しかしこうした「負け」であれば肝心のベルトはそのままというきまりなので、ある種の戦術として半ば公認されていたといっていい。キツイ言い方をすれば“合法的八百長”としてもいいだろう。仮にボクシングのタイトルマッチにおいて、判定勝ちやTKO勝ちでのタイトル移動がなかったとしたらと考えれば、そのおかしさは本当ならだれでもわかるハズである(ホームタウンデシジョンという問題もあるにはあるようだが)。  



 さて、3月27日、与党によって「国民投票法案」(改憲手続き法案)の修正案が国会に提出された。アベノオボッチャンが音頭をとる「今国会での成立」をにらんでの提出だが、「ここまでなりふり構わずに……?」と怒りを通り越して哀れになってきた。こんな政権を許す日本国民が。

 ごく簡単にいえば、よくもまぁ改憲勢力にとって有利なアイデアを盛り込んだなというところであり、“合法的八百長”法案としてなかなかに秀逸な内容であろう。
 すなわち、最低投票率を設けないうえで、有効投票数の過半数を得れば狙いどおり改憲ができる(いうまでもなく、与党案では「憲法改正に限定」と明記されている)内容であり、極端な数字を想定すれば、有権者の1〜2割ていどの賛成でも改憲が実施される可能性があることになる。これは原案と大差のあるものではないが、法案の根幹をなす部分でもあり、ここにこだわることで与党の姿勢をわかりやすく表わしているといっていい。
 また、公務員や教育者の地位利用について、原案では「禁止して罰則を設ける」としていたものを「禁止して罰則は設けない」と改めた。わかるようなわからないような話だが、同法案上では罰則がなくとも、公務員法違反としてアゲられる可能性はあり、考えようによってはそのアヤフヤさゆえに、より悪質な規定案と指摘してもいいかもしれない。当局のサジ加減によって、いくらでも摘発もできるし、逆に手心を加えることだって可能なのではないか?

 さらに悪質なのは、有料広告が撤廃されていないところではないだろうか。原案で「投票期日前7日間は禁止」としていたものを「2週間」に拡大はしているけれど、そもそもがこんなものを認めるところからして平等という原則が崩壊している。いうまでもなくこんなものを認めるということはカネが潤沢にある側が有利であり、それはすなわちトップグループに改憲派を擁している財界が好きなように自らの主張を流し、それだけでなくパブリシティーなど一見広告の体裁をとらないような形でさまざまに意見を出すことができることになる。政党単位でみれば、国民の税金を財源とする「政党助成金」も使われ、改憲広告がさまざまに打たれるのであろう(反対勢力側政党では、社民は細々と受取っているが、共産は受取り拒否を続けている)。これはすでにカネがある側にとってだけ有利なルールであり、いわんや国民の声をマトモに反映するものだとはとても言い難い。さらに、大手の広告代理店をどの勢力が握っているのかを考えれば、ゾっとするような一方的事態すら想像できる。無料広告に関しても、「各政党に賛否平等に割り当て」とあり、“賛否平等”の解釈の不透明さもさることながら、改憲政党が大半を占めるなか、これもまた結果のみえやすい方策といえよう。
 マラソンにたとえれば、正規のラインからスタート(いやそれ以下?)する護憲勢力と、折り返し地点ていどから悠々と走り出す改憲勢力というぐらいの差がある。こうした事実を、どれだけの国民が知っていてなおかつ興味を持って接しているのだろうか。

 28日の「東京新聞」では、『与党原案の「二十歳以上」から「原則十八歳以上」に引き下げることが柱」としているが、これは修正前の原案とそれほどの差があるわけでもないことを示唆しているのかもしれない(それはそれとして“原則十八歳”ってなんでしょうね?)。しかしそれよりも気をつけなければならないのは、野党であるハズの民主が出している“対案”とやらもまた、与党と大差がないことであろう(最大の違いはさしあたり改憲に限定していないところか)。しかも無料広告に関しては「議席数を基準に各政党に割り当て」という与党原案と一緒。まぁ、最大の問題は野党を謳っていながらもそれは選挙をにらんだポーズでしかなく、この問題を含んでその実態は与党とまったくかわらないというところにある。勢力争いということから、いくぶんのやりとりはあるにせよ、目指すところが同じではなにをかいわんやという民主党である。

 八百長も、合法ならば八百長ではなくなる。そんな国づくりへの、これはその手続きである。そして、その成立が、今国会に目論まれている。

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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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