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猫池罵詈雑言雑記帳
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 のっけから悪いけどこの黄色いカード、自分の心づもりでは2枚目である。相手はもちろん民主党政権だ。これを一発退場のレッドカードとしないのは、ひとつにはまだしも期待を寄せてもいいのではないかという議員や勢力がわずかながらあるからであり、いまひとつは12枚目のレッドカードを突きつけたいぐらいの自民党(および池田党ほか)という存在があるがゆえ。しかしふたつめの事情は、だからといって民主党が優れているとか期待を持てるとかそういう意味でないところにより重篤な悲劇がある。

 来る参院選。すでにいくつかの政策が各政党から表明されつつあるが、自民党はもとより、民意で選ばれたハズの政権党ですら国民生活の足元を掬いかねないことが明らかになってきたようだ(本質的には両者が同一に近い存在であることは繰り返し触れてきたが)。その最大の政策が消費税倍増計画であろう。まず国庫の大赤字という実態で危機感を煽り、“不景気による”税収減を追い風にした増税計画。これを福祉財源にするという大ウソは自民党政権時代からバカのひとつ覚えのように唱えられてきたお題目だが、ここにきて菅政権はこれを強調する作戦に打って出るなど、ようは相変わらずの言い訳に終始している。
 菅政権は、消費税納税ぶんの還付などを検討すると語っているが、笑止千万である。還付ひとつとっても各自治体の事務経費などを含め多額の原資が必要だが、それこそが大きなムダ遣いなのではあるまいか? また、仮に還付云々を実行したとしても、恩恵を受けられる層と生活上必要なのに受けられない層とができ、いたずらに市民同士の対立を生じさせる可能性だってある。ならばそんな還付などというまやかしではなく、単純に減税あるいは現状維持をすればいいだけではないか。そのうえで増税によって増収できる部門に取組めばいいだけの話であろう。まっ、単なる口から出任せの類なのであろうけれど(笑)。

 消費税増税について、仮に目論みどおり税率10%にしたところで、その増税ぶんと反比例するかのように法人税の減税がセットされるかぎりは、結局のところ実質的な増収にはなりはしないだろう。法人税で予定されている減税率は15%。これによる減収見込みは9兆円に及び、とどのつまりはその減収ぶんの穴埋めに消費税の増税が組み込まれるに過ぎないのだからなにをかいわんやである。これは前々回に触れた数字──消費税の累積税収224兆円に対し法人3税の減収208兆円──という事実がなによりもわかりやすく証明しているのだから致し方ない。

 にも拘わらず、国の財政が厳しい状況にあることも認めざるをえない(それにしてはかくのごとしのプラスマイナスという実態はどうか?)のではあろう。ではどうすればいいのか。基本は、消費税増税などという不公平税増強以外の策を探ることではないのか。ムダな支出(たとえば米軍にめぐんでやっている大金!)を削減することがまず第一だが、不当に優遇されている税制を抜本的に見直すことである。
 そのひとつがおもに大企業が恩恵を蒙っている合法的減税であろう。ちょうど6月24日づけの「しんぶん赤旗」がこの件に触れていたが、法人税40%というタテマエながら、実際にはその半分以上が控除されている実態がみてとれる。こうした仕組みに後押しされた結果が、200兆円超という一部大企業の内部留保に化け、抱え込まれていないカネにしても従業員の報酬よりもむしろ株主らに分配されているわけだ(もちろん正当な意味での企業努力がないとはいわないが)。大雑把にいえば、国で得られているハズの富が偏って流れてしまっているのである。
 こんな実態にあって、さらに減税をする必要がどこにあるというのか? その前に、すべてとまではいわないが、構造によって溜め込めえた利益を国民に還元してみたらどうか。半分弱の100兆円だって消費税増税どころでない増収をもたらすではないか。まずは力のある者が身銭を切ってみせたってだれもとがめはしないだろう。

 いまひとつは証券売買をはじめとする投資という名の合法博打に対する課税をすべきである。なかには庶民レベルのささやかな“財テク”という実態もあるので加減はあってしかるべきだが、なんのことはない、これだってカネのあるところにこそ利益が転がり込む仕組みになっているではないか。もちろん投資によって経済が活性化することは認めるにせよ、だからといって過剰な優遇を施す理由はまったくない(そのクセ、こんなのの失敗がらみでコケても救済されかねないとはねぇ)。
 これらは多分にシロウト考えの部分もあるけれど、どうしても増税が必須だというのならば、ほかにも消費税導入時に廃止された“ぜいたく税”を再検討したっていいかもしれない。たとえばJRグリーン車の「通行税」復活などどうだろうか。消費税増税とともに一律して運賃・料金が値上がるよりも一般的利用者の損失は軽減されるハズ。現状のグリーン車利用者にしたって、おそらく大半が社用族(通勤を含む)とお見受けする。なかにはグリーン料金だけは自腹というひともあろうけれど、こんなのはまさに受益負担である。文句を言う筋合いはないのではないか? オレ自身も荷物のあるさいなどに普通列車のグリーン車を使うことはあるが、それがある種のぜいたくだということは重々承知の介……ということだ。

 閑話休題。消費税倍増と表裏一体になった特定層に対する減税。まずは消費税増税の本当の狙いを追求すべきであり、税収の回復にはより効果的な別の策を探るしかないのではないか。ところが、民主・自民・公明・その他もろもろカストリ勢……ほぼ揃って消費税増税ありきとは。
 そこで提案したいのが、きたる参院選での投票方針である。オレはあくまで消費税増税を阻止する側に1票を投じるつもりだが、そうした勢力をさまざまな意味で支持できないひとも少なくないだろう。されど消費税増税には反対したい。ならばとるべきもうひとつの策は、民主にも自民にもほかの増税政党にも投じず、投票用紙を使って「消費税増税反対」の意志を示すことかもしれない。白票や棄権なんてもったいない。どのみち死に票になるけれど、投票用紙に「消費税増税反対」。ようは既存政党に対する不信任を突きつけではどうかというわけだ。こんな子どもじみた話でもしないではいられないぐらいの危機が、目の前に迫っているのではないだろうか?

*おまけ:
 お隣韓国では、さきの自治体首長選挙において与党が敗北した。ざまざまな事情や理由が取り沙汰されているが、それをみて感じたのは、いわゆる「危機管理能力」という意味で、かの国民のほうがわが国のそれよりもよほど長けているのではないかということである。危機管理というのは、たとえば北朝鮮がどうのとかそういった問題もあるかもしれないが、より重大なのはほかならぬ自国の政権が自分たち国民を裏切りかねないという点にこそあるように思う。敵は身内にこそあり、である。
 いうまでもなく、韓国ではごく最近まで国による圧政が続けられてきた歴史があり、それに対する抵抗運動も盛んにあった。敗戦に伴い宗主国・アメリカ合州国によってかりそめの民主主義を獲得した日本人とは異なり、自らの手で民主主義を勝ち取ったのが彼らなのである(やや大雑把にではあるが)。そうした近代史の積み重ねをさきの選挙結果にみることも、ひょっとすると可能かもしれない。
 翻ってわれわれに突きつけられた危機はどうか。消費税然り、米軍問題(独立問題)然り、これらもろもろに対しどのように対応してゆくか。そんなことを試されているともいえるのではないかと思う。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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