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猫池罵詈雑言雑記帳
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 とどのつまりは1年ももたなかった。予想どおりの鳩山由紀夫氏の首相辞任。コイズミスネオ時代に混沌状態と化したわが国の政治のありさまを物語るひとつのできごとといえよう。報道によれば、鳩山氏は辞任会見にあたって「残念なことに政権与党のしっかりとした仕事が国民の心に映っていません」と語ったという。だが、氏のいう“しっかりとした仕事”とはなんなのだろうか。これではあたかもその仕事とやらを中絶する責任が国民の側だけにあるかのようなモノ言いだが、問題の根幹は、その志しがどれだけ国民の側に立ったものだったのかということであり、ようはそうでない事実が国民に見抜かれただけの話なのではないか? 発足当初の勢いはいざしらず、最後の最後まで空疎な政権であった、その当然の結末のように感じられてならない。

 とはいえ、コイズミスネオを含む自民党政権こそがあまりにも悪辣であり、そういう対比では民主党政権に期待すべき点はある(*注)。あるいはより国民の側に立った志しが、少なくとも発足当初にはあったとみることができるかもしれない。そうしたなかには、官財およびその手先である自民党や大手マスメディアによる“妨害キャンペーン”の矢面にさらされてきたものもあるだろう。ひょっとすると、米軍問題にしてもそうした圧力のなか、路線変更を余儀なくされたという見方だってできるかもしれない。だが、たとえそうだとしても、その責任はやはり民主党自身にある。なぜか?
 たとえば米軍問題では地元の沖縄のみならず全国的に国民からの声がわき上がっている。ヨミウリやサンケイといった自民党と財界の御用聞きメディアでさえ、大規模な反対集会や地元の声を無視できなかった(ただし、そうした動きが民主党批判の材料として利用されている面も無視してはならない)ことの意味は大きい。澎湃として起こった動きは、とうのアメリカ合州国に向けられたメッセージであるばかりでなく、同時に政権に対する“願い”であり、捉え方によってはエールですらあるハズだ。ところがせっかくの声を、政権自らが聞き入れなかった(聞き入れる能力がない?)のだからやはり責任は政権自体に帰趨してしまうのである。本気で問題を前進させるつもりがあるのであれば、これが民意ともっと強硬に迫れただろうに。

 この件に関し、漫画原作者の雁屋哲氏は、氏のブログのなかで「鳩山由紀夫氏が戦後の日本の首相として初めてアメリカと戦おうとしているのに、日本人は一致協力するどころか、鳩山氏の足を引っ張った」と語っている。いわく「日本人は、自分たちの敵を間違えている」。だがしかし、少なくとも氏が取り上げている米軍問題に関する限りは、一致協力とまではいかないまでも異例なまでに協力しているとみることも可能なのではないか。「後ろにはわれわれ国民がついている。鳩山さんよ、思う存分戦ってくれ!」。ようはそういう“サポーター”的うねりがわき上がっているのだ。これをさして仮に鳩山政権が国民から「足を引っ張」られたと捉えていたのであればとんだお門違いというものだが。「基地問題に於いて、日本人が戦うべき相手はアメリカである」はまさに同感だが、鳩山氏(ら)が「アメリカと戦おうとしている」かとうかについても大いに疑問があろう。写真家の藤原新也氏は「戦後六十五年目にして、独立国家となるべく、その端緒となる絶好の機会を逸してしまった」と氏のブログで語っているが、ようは政権にも官僚にも独立への意志や覚悟がないということなのかもしれない。
 もっとも、理由はどうであれ民主党を見限りはじめた有権者が、自民党支持に流れているらしいという世論調査結果をみると、民主党政権に対しひとかどの弁護でもしたくなってくる。なるほど、民主党政権には問題が多々あるにしても、だからといってさらにどうしようもない自民党に回帰することもなかろうに(笑)。とりわけ財界は大喜びであろう。自覚に乏しい家畜人の右往左往をみるにつけ。

■木をみせ森をみさせない
 ところで、藤原氏が興味深い新聞記事を紹介している。雁屋氏曰くの「足を引っ張」るの一例である。
「トークの削除に関して」の下部参照。

 当ブログでも、軍用地をめぐる利権について少しだけ触れたことがあるが、米軍の在留によって利益を得る者の一例として、なぜ大手メディアがそれを取り上げないのかが兼ねてからの疑問であった。したがって、氏が紹介した「産経新聞」の記事は極めて異例といえる。だが、よくよく目を通してみると、いかにもサンケイらしいプロパガンダ含みであることに気がつく。


「軍用地とは、自衛隊と米軍が基地として使用している土地のこと。県内では、こうした軍用地は資産とみなされており、売買が頻繁に行われているのです」
 米軍基地は、すべて国有地と思われがちだが、実はその3分の1が個人の私有地。国が毎年、使用料として軍用地料を地権者に支払っている。
──リンク記事

 はまさに事実である。軍用地については拙著『いつかは海辺の家で暮らす』の取材過程においても調べたことがあり、それがある一面で重要な収入源になっていることを知ることになった。ところが、サンケイの記事を読むと[県内最大の大地主は「年間約18億5000万円の軍用地料を得ている」(事情通)]とする一方で、県外資本の実態が無視されているのだ。この記事だけを読めば、沖縄県民は米軍基地によって利益を得ているではないかとなり、それなのになんで基地に文句をつけるのかとなりかねないのではないか。当該記事の狙いはそんなところにもあるのではないかと推察するが、これがまさに「足を引っ張る」言論の好例なのである。具体的な数字については、以前入手した軍用地関連の資料が埋もれてしまっているためにいずれ改めたいと思うが、なんのことはない、実際にオオモウケしているのは“本土”の大資本なのである。サンケイの記事だって、いみじくも漏らしているではないか。「県外の投資家たちは同県内の基地に熱い視線を向けている。価格上昇を続ける「軍用地」が投資先として人気を集めている」……。こんなことはいまにはじまったことではなく、インサイダー的出来レースとして脈々と続いてきたことなのである。

 これにからめて、もうひとつ記事を紹介しておきたい。
『<記事紹介>「徳之島の土地を買った防衛族の意図」(『社会新報』6月2日号)』

 リンクしたジャーナリストの山岡俊介氏の記事によれば、社民党の機関紙『社会新報』が徳之島の土地を“あの”久間章生元防衛相が購入、それに関連してインサイダー取引の疑いがある旨を報じているという。軍用地と関連して、なんともキナ臭い情報といえよう。
 当ブログでは、かねてから沖縄問題は米軍問題であるとしてきているが、さらに分解してゆけば、ようはカネ(利権)の問題であることにゆきつく。問題の本質を明らかにするうえでも重要な事実が浮かび上がってきたわけだ。


*注:
 八ッ場ダムをめぐる当初の意思表示や、ようやくにして前進がみられた諫早湾問題などは、自民党を政権からたたき落としたからこその動きであり、大いなる成果になる可能性を持つ。
 それにしても。テレビだの新聞だのをみていると、米軍問題がイコール政局がらみのショウと化しており、これもまた木をみせて森をみせない世論誘導なのだなぁとの感を強く持つ。踊らされるほうもほうであるが。また、あたかも沖縄(および徳之島)に限定したかのように取り上げられることが多いが、これはわれわれ日本国民すべてにつきつけられた問題であり、地域を限定するかのような論評や報道は、ややもすると本質を見誤らせることにつながる。前出の雁屋氏のブログからもうひとこと引用しておきたい。

「沖縄の人々は怒っている。どうして、神奈川県の人間は怒らないのか。他県の人間は怒らないのか」
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