裁判員制度の第1号が実施された。じつは、いまだきちんと考えをまとめていないこともあってアップが後送りになってきたのだが、あれこれ疑問の多いスタートであることには違いがない。そもそもが、なぜ刑事事件のみが該当するのか? 極刑を含む刑罰を扱いうるのかという点については制度が議論されてきた当初から指摘されていることだが、いかなる説明を受けようとも理解し難いシロモノだとはいえる。刑事事件であっても、経済事犯(政治家などの汚職を大いに含む)ならばまだしも、今回の第1号のような突発的(である可能性のある)殺人事件に、どうして法のシロウト(参加された方々には申し訳ない表現だが、ここでは国家資格を含む専門的知識の有無を問題としている)が参加できようか。本件の量刑は懲役5年から死刑である。現場検証の類もきちんとできず、前例すらマトモに洗い直せず、いったいぜんたいどうやって他人を法に則って裁けるというのだろう。まったくもって理解の範疇を超えている。
呆れたのは裁判員の最終選考で、なんだかんだと一方的に市民を呼びつけておいた挙げ句にパソコンによるくじ引きとはねぇ。場当たりであり、社会的な常識から逸脱した愚かなシステムといえるだろう。バカ丸出しだと素直に思った。
さて、とはいえ裁判そのものが国民に開かれることそのものについては必ずしも反対しているわけではなく、いましばらくは成りゆきを監視してゆきたいと考えている。さしあたりここで記しておきたいのは裁判員制度第1号裁判を伝えるNHKの姿勢である。
タマタマ朝からテレビをみる機会があったのだが、これがもう“嬉々として”実況中継やらその予告やらをタレ流しているのであった。ほぼ1日中こればっか。北朝鮮のミサイル(人工衛星と自称されていたが)のときの騒ぎと似たり寄ったりのレベルである。いや、わが国の裁判制度にあってある種画期的なできごとではあろうから、実際の流れを詳細に伝えることは必要かもしれない。しかし、その姿勢たるや、まったくの大本営発表モノであり、国がほぼ一方的に設えた制度に対しなんら疑問を挟むことなくダラダラと繰り返しているだけなのはどうか。インターネット上では、たとえば共同通信がジャーナリストの斉藤貴男氏らによる記者会見を簡単にではあるが配信していたものだが、NHK総合では裁判員制度に反対するデモがあった旨をスポット扱いでアリバイ的に挿み込んだだけで、疑問の声は申し訳ていどにあったかないかに終始していた。皮肉にも、最終選考のクジ引きでハズレた候補者が、記者会見で自身の考えとしてこの制度そのものに疑問を持っているという旨を語っているのが流されたが、そのほかはまるで小学生向けの社会科ビデオよろしく制度の解説をするばかりであった。
だが、じつはそんなことよりも(単なるニュースであれば初回ということで許容できなくもないこともあるので)違和感を覚えたのは裁判の案件となっている事件の解説にあった。
報道によれば、東京都内で起きた殺人事件とのことで、年輩の女性をやはり年輩の男性が殺害した事件だという。事件の詳細はわからないし割愛するが、これを解説するNHKの被害者および加害者に対する呼称が引っ掛かったのである。すなわち、「被害者の女性」であり、「加害者の男」である。あるいはこうしたケースでの内規があって、刑事事件等の容疑者に対しては「女性・男性」ではなく「女・男」としているのかもしれないが、こんなささいな表現ひとつが心証に影響するということはないのだろうか。この場合、被告が殺人の事実そのものを認めているため有罪かどうかではなく量刑を争うと伝えられているが、それだって容疑者の段階では“推定無罪”という原則だってあるハズだ。これがいままでどおりに法律のプロだけによって裁判が進行するのであればこんな引っ掛かりは覚えなかったに違いない。そうではなく、シロウトの一市民が参加するからこそ、こうした先入観を与えるような表現に対し十二分に気を遣わなければならないと思うのである。きわめて大本営発表モノらしい姿勢といったところではあるがいかがだろうか。
さて、とはいえ裁判そのものが国民に開かれることそのものについては必ずしも反対しているわけではなく、いましばらくは成りゆきを監視してゆきたいと考えている。さしあたりここで記しておきたいのは裁判員制度第1号裁判を伝えるNHKの姿勢である。
タマタマ朝からテレビをみる機会があったのだが、これがもう“嬉々として”実況中継やらその予告やらをタレ流しているのであった。ほぼ1日中こればっか。北朝鮮のミサイル(人工衛星と自称されていたが)のときの騒ぎと似たり寄ったりのレベルである。いや、わが国の裁判制度にあってある種画期的なできごとではあろうから、実際の流れを詳細に伝えることは必要かもしれない。しかし、その姿勢たるや、まったくの大本営発表モノであり、国がほぼ一方的に設えた制度に対しなんら疑問を挟むことなくダラダラと繰り返しているだけなのはどうか。インターネット上では、たとえば共同通信がジャーナリストの斉藤貴男氏らによる記者会見を簡単にではあるが配信していたものだが、NHK総合では裁判員制度に反対するデモがあった旨をスポット扱いでアリバイ的に挿み込んだだけで、疑問の声は申し訳ていどにあったかないかに終始していた。皮肉にも、最終選考のクジ引きでハズレた候補者が、記者会見で自身の考えとしてこの制度そのものに疑問を持っているという旨を語っているのが流されたが、そのほかはまるで小学生向けの社会科ビデオよろしく制度の解説をするばかりであった。
だが、じつはそんなことよりも(単なるニュースであれば初回ということで許容できなくもないこともあるので)違和感を覚えたのは裁判の案件となっている事件の解説にあった。
報道によれば、東京都内で起きた殺人事件とのことで、年輩の女性をやはり年輩の男性が殺害した事件だという。事件の詳細はわからないし割愛するが、これを解説するNHKの被害者および加害者に対する呼称が引っ掛かったのである。すなわち、「被害者の女性」であり、「加害者の男」である。あるいはこうしたケースでの内規があって、刑事事件等の容疑者に対しては「女性・男性」ではなく「女・男」としているのかもしれないが、こんなささいな表現ひとつが心証に影響するということはないのだろうか。この場合、被告が殺人の事実そのものを認めているため有罪かどうかではなく量刑を争うと伝えられているが、それだって容疑者の段階では“推定無罪”という原則だってあるハズだ。これがいままでどおりに法律のプロだけによって裁判が進行するのであればこんな引っ掛かりは覚えなかったに違いない。そうではなく、シロウトの一市民が参加するからこそ、こうした先入観を与えるような表現に対し十二分に気を遣わなければならないと思うのである。きわめて大本営発表モノらしい姿勢といったところではあるがいかがだろうか。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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