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猫池罵詈雑言雑記帳
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 いつもと変わらぬ日々の暮らし。朝起きて軽い朝食をとって出勤、いつもの駅からいつもの電車に乗り同じ道を歩いて会社に着く。昼食は会社近くの馴染みのソバ屋で天重を食べ、午後に来客があったのでいきつけの喫茶店に誘って商談。タバコを切らせたので自販機に立寄る。残業を2時間ほどで切り上げ同僚と居酒屋で一杯。マスターが「イカのいいヤツが入ったヨ」というのでイカソウメンをつくってもらう。つい飲みすぎて気分が大きくなったのか、帰路はグリーン車を奮発してしまった。乗る前にキヨスクで夕刊紙を買ってざっと目を通す。23時30分すぎに帰宅。
 別段、なんら変わったところのない1日の風景である。しかし、こんな平和なひとコマが権力によって監視を受けているとしたらどうだろうか。あたかもストーカーよろしく、会社員某が何時何分にA駅から入場し何時何分にB駅で出場、タバコをどこそこの自販機で買い(銘柄はC)、何時何分にB駅に入場するとA駅までのグリーン券を購入、A駅には何時何分に着いた。そのさいB駅のキヨスクで夕刊紙(D紙)とアメ(銘柄はE)を買った……。もちろん会社員某については住所氏名から電話番号はもちろんその御面相までが明らかにされている。ここでは天重と喫茶店のコーヒーかなにかが抜けているけれど、ケースによってはこれだって監視されていた可能性があるし、エロDVDのレンタル記録などからその“性癖”までがインプットされているかもしれない……。
 こうして、まるで犯罪者の行動を追跡するがごとく、本人に対する断りすらなく一方的に監視されていることについては、なにかのおりに触れたことがあるが、その一端がこのほど明らかにされた。

 26日配信の共同通信社の記事によれば、タバコ自販機の「タスポ」(成人識別カード)の利用履歴情報が検察当局に任意で提供されていたという。これは、特定の個人を対象とした情報開示であり、タバコ購入の日時や自販機の特定のほか、カード発行のさいに提出される免許証など顔写真つきの身分証明書のコピーまでがカードを発行・管理する日本たばこ協会から検察側に提供されていたというものだ(当然のこととして、生年月日から住所、電話番号なども個別の了解を得ずに開示していることになる)。
 クレジットカードや携帯電話の使用履歴はすでに捜査当局に使われてきており、タスポについてもさもありなんといったところではあるが、はたして利用者側はそうした開示の事実をどこまで把握しているのだろうか。報道によれば、タスポの情報開示は刑事訴訟法に基づく照会に回答したものだといい、かつ会員規約で同意を得ているといのが日本たばこ協会側の見解らしい。その規約とは、「個人情報の収集及び利用」について「会員は協会が必要な保護措置を講じた上で利用することに同意する」というものだ。しかし、これではどのようなケースでどこに対してどういう情報を開示するのかという点が曖昧であり、利用者に対する説明が十分だとはいえないのではないか。はたして、そうしたリスクについて、肝心の利用者はきちんと理解できているのだろうか?

 報道では、検察側の使用例として「罰金未納者」の行動をタスポの利用履歴から割り出し、その所在を特定したことがあるとされている。たしかに、犯罪捜査などに対してこうした情報蓄積が役に立つことはあるのだろう。携帯電話の履歴なども簡単に開示されている(刑事ドラマや推理小説などで電話履歴情報を開示してもらえず四苦八苦するシーンがあるが、そういう事実があったにせよ、それはもはや過去のスタンダードだったようだ)というし、ようは自分の気づかぬところで監視を受けている可能性が大きいというのがいまの世の中なのである。

 自分自身にはなんらやましいことがないし、「そんな無実の人間の情報なんか集めないさ」という考えがあろう。あるいは、監視されていたとしても「潔白な自分は大丈夫」とカタをくくっているひともいるかもしれない。しかし、その監視の必要を決めるのは自分の側ではなくあくまで権力側だ。かつ潔白やら無実やらを認定するのも権力(監視)側にそのカードが握られていることを認識する必要がある。こうした事実は、社会全体が監視する側とされる側とに二分されてきたということであり、監視される側の一般市民としてそれを防ぐ手立てを打ちづらいという恐ろしさを孕む。あの具体性に欠けるタスポの規約書による“同意”など、じつはどうにでも解釈が可能であろう。
 まるで侵略者から侵略者側の論理によって一方的に“合法”とされた“条約”の類をみる思いがする。和人が“合法的”にアイヌ民族を蹂躙し、ヨーロッパからの移民が同じく“合法的”にアメリカ先住民を蹂躙してきたのと近しい構図さえありはしないか(たとえとした例には“合法的”ですらなかった事実のほうが多いが)。話が飛躍するようだけれども、そんな印象すら抱いてしまった。

 これを伝える共同通信の配信は昨夜(26日)のうちに保存し、時間ができたらブログに記してみようと考えていたのだが、一般のマスメディアで反応が早かったのが「東京新聞」であった。社会面で4段抜きの見出しをつけるとともに1面コラム「筆洗」がこの件について触れている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2009072702000145.html

 さて。以前にも少し触れたことだが、オレが「スイカ」だの「パスモ」だのの利用を固辞している最大の理由がこれなのである。今回明らかになった「タスポ」の情報開示は、単に「明らか」になっただけの話であり、こんなものは使わない前からそうした転用がされるということを疑ってかかるべきなのである(オレはタバコを吸わないが、むろんそんなレベルの話ではない)。「スイカ」のように単に電車の乗り降りなら関係ないという考えもあるし、おそらくはそのとおりなのかもしれない。だが、とうの鉄道会社だけが利用するのであればともかく、そうした情報がほかに転用される可能性がある以上は、どうしても慎重にならざるをえないのだ(誤解を避けるために添えておくと、「スイカ」などの電子カード式乗車券が「タスポ」のような転用をされているという意味ではなく、ここではあくまで個人的に疑いうる可能性だけを問題としている)。残念ながら、転用されていることが明らかにされている携帯電話やクレジットカードは社会生活を営むうえでどうしても使わざるをえないが、それだってわざわざ個人の情報を知らぬ某に対し「どうぞご覧ください」などとはたいていのひとは思いもしないであろう。ようは、そうした単純な常識を持てばいいということではないかと考えるのだが……。


*補足:
「タスポ」の例など、仮に利用者側が規約の曖昧さなどをタテに訴訟を起こしたらどうなるのかという想像もしてみるが、事実上として権力側の追認機関と化しているわが国の司法がまっとうな判断を下す可能性は極めて低いような気がする。しかし、これもまた、前回に触れたようにこんな日本国民にこそふさわしい実態なのではないか? 天下り会社がちゃっかりと国民監視に手を化すような現代ニッポン。これもまた、つきつめれば日本国民のセンスであり責任なのである。それがイヤなら、まずは立法府を国民の立場に立つ機関に変えてゆくチャンスをひとつひとつモノにする努力をすべきではないのだろうか。
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