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猫池罵詈雑言雑記帳
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 アイヌ民族に対する差別などを是正すべく、学校教育の場などでの指導を改めるべしという「有識者懇報告書」が国宛に提出されたという。報道によれば、文書中では「日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族」とアイヌ民族を“認定”したうえで、近代化とともに生活の場を狭められ、独自の文化を禁止・同化を迫られた結果「文化に深刻な打撃を受けた」と指摘、「国は文化の復興に配慮すべき強い責任がある」という旨が明記されているという。“認定”という言葉にはたいへんなひっかかりを覚えるし、「近代化とともに」というのもまったくもって侵略者側の見方ではないかと思うのだが、こんなあたりまえのことがやっとこさとはいえ公の俎上に揚げられたという点については評価できるのかもしれない。
 しかし、はたして文化を蹂躙され、虐げられた民族に対する本当の意味での理解というものが、大勢の日本人(倭人)にできうるのかという点については、やはり疑念を抱かざるをえない。

 以前、白老にあるアイヌ民族のコタン(観光施設とされている面もあるが、さまざまな資料などに触れることもできる)を訪問したさいのできごと。民俗楽器の演奏や織物の実演などを見学させているコーナーがあるのだが、そこで実演をしていた老婆に向かってこんなことを抜かしているバカがいたのである。

「おばさんさ、アイヌっていっても完全な純血ってのはもういないでしょ?」

 背広にネクタイというごくふつうの身なりをした50がらみのオッサンである。中っ腹になって睨みつけてやったけど、とうのオッサンは気づかずに、変わりにおばあさんがこちらに向けて力のない視線を送ってきた。怒りなのか。諦めなのか。あるいは哀れんでいるのか。きっともっと複雑な思いが視線に込められていたのかもしれないが、冷たく表情に乏しい目にみえた。その目に遇わなかったら、おそらくそのオヤジの胸ぐらにつかみかかっていたに違いない。「そういうお前こそ何人なのだ!?」と。
 おそらく、とうのオッサンにしても悪気などはありますまい。だが、身にしみ込んだ差別のセンスは、きっとくたばるまで失うことなく、仮に殴られたとしてもなんらその理由を理解することなどできないに違いない。すでに10年近くが経っているけれど、いまなお思いだすとなぜあのときに殴り掛かってやらなかったのかぐらいに怒りがわき上がってくる。アイヌがどうのという話ではなく、同じ人間として、同じ日本語を話す人間として、そのオッサンが許せないのだ。
 だがしかし、そんなところでオレが憤ったところで、現実に差別されている側のひとびとにとっては、「おまえが怒ることか?」ということなのかもしれない。その瞬間に怒りが湧いたとしても、本質的な部分での差別や蹂躙を、受ける側として体験していない以上、むなしい感情にすぎないともいえるからだ。

 残念ながら、その差別や蹂躙の実態については肌で知ることなく過ごしてきてしまったが、たとえば本多勝一氏が指摘するように、民族語を蹂躙され失いつつあるという点には、あるていどの感受性ぐらいは持っているつもりである。
 たとえば、昨今は幼児期からの英語教育がどうのと言われており、小学校段階で英語の授業がはじめられるというのが実態のようではあるが、じゃぁわれわれの母語である日本語についての教育はどうなのかと疑問に感じ続けている。英語に限らず外国語に早いうちから親しむことそのものには反対しないし、仮に徹底的に使えるようにしたいというのであれば、それはそれであろう。だが、十把ひとからげに、それも数知れない外国語のなかからとりたてて英語を教えるという点についてはどうか。そもそもが言葉などというものは日常的に使っていないときちんとは身につかないものであろう。教科書をチーチーパッパで読み書きしてもさっぱりなのは、ようは授業のなかだけの、あるいは試験対策としてたけの言語だからであって、もし自由に使いこなせるようにしたいのであれば、英語なり韓国語なり(なんでも結構だが)を母語とする社会のなかで過ごすほかはないのではないか(*注)。さらに、どうにかして英語を使えるようになったとしても、肝心の母語がお粗末ならば、その英語をもってしても相手に対し十分にモノを伝えることなどできないだろう。ときおり、とんでもない“翻訳”書にぶつかることがあるが、訳者はたしかに外国語はできるのかもしれなくとも、それだけでは翻訳の資格があるなどといえはしない。はたして、英語を教えてなにをやらせたいというのだろうか?

 さて、英語の話はじつはオマケで、われわれ“倭人”というのが文化的蹂躙に対していかに抵抗力がないかとあらためて思ったのは、ある地名についてであった。
 現在進めている本がいよいよ最終段階に入ったところなのだが、その校正の段階で北海道の「後方羊蹄山」の表記が小さな問題になった。オレ自身はあくまで「後方羊蹄山」とし、ルビを「しりべしざん」としたところ、編集サイドで「羊蹄山(ようていざん)」ではないかと疑問を出してきたのである。たしかにそうも呼ばれていることは知っているし、現地の観光マップなどを開くと「羊蹄山」と記されているから、それそのものが誤りとはいえないかもしれない。しかし、あの山は、たとえあとからやってきた倭人による命名だとしても「後方羊蹄山(しりべしざん)」というのが正式名称だったハズで、ことによるとあの円錐形の流麗な姿を指して「ヒツジのヒヅメの形を思わせるので“羊蹄山”と呼ばれる」などと抜かすバカがいるかもしれんなどと日ごろから想像していることもあって断固再訂正をしようとしたのである。
 しかし、ひょっとすると行政上などではこちらが正式名称となっている可能性を考え、念のためネットで調べてみたところ、驚愕の事実が判明した。「Wikipedia」によれば、国土地理院発行の地形図では「羊蹄山」が採用されているというのである。それならば編集サイドの疑問もわかるというものだ。だが、驚いたのはその背景であった。

『陸地測量部の大正9年発行の5万分の1地形図「留寿都」では後方羊蹄山(蝦夷富士)と記載されていた。しかし難読であったことから地元の倶知安町が羊蹄山への変更を求め、国土地理院の昭和44年11月発行の地形図から羊蹄山と書き換えられた。このため現在の羊蹄山の名が定着することとなった。』(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8A%E8%B9%84%E5%B1%B1から引用)

 難読だからなどというそんなくっだらない理由であの個性的な山名をあっさりと捨て去るセンス。「Wikipedia」にはときにとんでもない思い違いの類がアップされていることもあるから誤りだと思いたいけれど、たとえば“平成の大合併”のさいに誕生したお粗末地名(例は差し控える)の数々をみてみれば十分にあり得ることである(もともと暮らしてきたアイヌ民族にしてみれば「勝手にすりゃいいだろ」ということかもしれないが)。
 じつは、まさにこうした事実こそが、文化を守るということに対する無頓着あるいは抵抗力のなさを顕わしているのだ。後方羊蹄山の件は、正式名称に対してつっぱっても仕方のないことなので「羊蹄山」としたが、なんとも暗澹たる気分になってしまった。

 話は飛躍しているかもしれないけれど、そうしたセンスのもと、アイヌ民族や韓国・朝鮮、あるいは中国など近隣の国々に対しての侵略やそれに伴う“同化政策”がとられてきて、いまなおその失敗に対して反省するという発想すら湧かない連中がいるのかもしれんなどと考えてしまう。自らの文化に対しそこまで無頓着であれば、他民族の文化のことなどまったくの理解の外というものであろうから(ついでにいえば、そんな無頓着で外国語を覚えたとしても、マトモに外国人と相対できるかは疑問である)。


*注:
 そういう意味では、たとえ短期のブツ切り旅行だとしても、身近に外国語に接せられる韓国取材は楽しい。韓国に限らず、ときおりカタコト(以前)の英会話に及ぶこともあるが、そんなレベルであっても、生きた言葉として使う体験からはさまざまに学べることがあるものだ。
 そういえば、いまでも覚えているのが中学校1年のときの英語の授業のひとコマだ。学校の教科書のほか、NHKラジオの「基礎英語」を副読本としていたが、「do」から入る教科書に対してハナっから「be動詞」の会話が展開する「基礎英語」との違いもさることながら、ケッサクだったのはつぎの例であった。
 No it isn't.
「基礎英語」の外国人講師の発音をカタカナで再現すれば「ノー イティズントゥ」に近かったハズ。ところが同じテキストを読ませられた生徒たちは、これを「のー いっと いずんと!」と読むわけだ。ラジオを真面目に聞いていなかったこともあってか、オレは大いにアセった。発音がまったく違うじゃねぇかよ? と(笑)。その後になればそういうことだったのかと理解できたけれど、どうして英語のセンセは教えてくれなかったんでしょうねぇ??? そういうたったひとつの理解があるだけだって、英語(外国語)への興味ってのが変わってくると思うのだが、そんな低レベルでアセってたのはオレだけだったのだろうか(笑)。
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