24日、障害者自立支援法をめぐる裁判で、原告と被告(国)との間に初の「和解」が成立した。
これは、同法が定める「福祉サービス利用料の原則1割負担」を「生存権を侵害して違憲」した訴えで、今回の「和解」は埼玉県内に住む12人の原告から負担廃止などが求められていたものだ。原告側と被告側とは、法を廃止することで1月に基本合意ができており、全国の地裁13カ所で進められている裁判も、4月までに和解が成立する見通しだという。
これは、同法が定める「福祉サービス利用料の原則1割負担」を「生存権を侵害して違憲」した訴えで、今回の「和解」は埼玉県内に住む12人の原告から負担廃止などが求められていたものだ。原告側と被告側とは、法を廃止することで1月に基本合意ができており、全国の地裁13カ所で進められている裁判も、4月までに和解が成立する見通しだという。
この法律については、以前に別館の「つれなのふりや・破壊的法律の成立の巻」で触れたことがあるが、小泉政権下で仕立て上げられた悪法のひとつである。なにしろ、収入に応じて福祉サービス利用料を支払う“応能負担”の仕組みを障害が重いほど負担が増す“応益負担”に差し換えるという逆立ちした法律なのだから、いかにもコイズミだのタケナカだののツラが浮かんできそうではないか。
たとえば、一般企業などでの労働の場を得られないひとが福祉作業所などで働くということは、彼らが社会参加をするための重要な要素のひとつであろう。労働の対価としてわずかながらおカネが支給されるが、これは生活の糧であると同時に、社会参加の証しだということもいえると思うからだ。ところが、この悪法はそうした社会参加にさいして参加者からカネを徴収するという愚挙を実現したのである。それも、より障害が重く、一般的な労働が困難な可能性の高いひとびとにこそ高負担を要求するというのだから、これはもう「おまえらは社会参加をするな!」と門扉を閉ざしたようなものであろう。単に収入という面からみた場合、仮に福祉施設での労働により月あたり5万円が支給されるとして、ところがその“労働”をするために月ごとに2万円を払えというケースを想像してみれば、そのおろかしさがわかろうというものだ。
今回の和解が実現した背景には、政権交代という前進があった。すなわち昨年9月、政権交代後早々と長妻昭厚生労働相が法の廃止を表明、原告および弁護団と被告(国)との間に基本合意を締結されるに至ったからである。これを報じる夕方のテレビニュースをみていて、コイズミだのタケナカだのマスゾエだのの感想ないし反論でも聞きたいものだと思ったものだったが、少なくともそうした悪法の数々があの政権下で成立ないし浮上(たとえば「共謀罪」だっていつ息を吹き返すか知れたものではない)したことを、われわれ大衆は忘れてはならないだろう(アメリカ合州国流に法律に成立者の名前でも刻んでやればいいのだが)。
多くの報道によれば、その新政権たる鳩山政権は、目下のところ世論からの評判や期待感を大幅に失しているようだ。自分自身はそうした政権に対して必ずしも支持を決め込んでいるわけではないが、少なくともこうした前進については認め、後押しをしてゆく必要があるだろうと思う。それがやっとこさ悪辣政権を下野させた世の中を育ててゆくことにつながると考えるからだ。だが、一方で「腰砕け」とも揶揄される政権の失策(ないし無能)が続発している。きたる参院選がどうとかそうしたレベルの問題ではなく、新しい政権を選んだ国民にとって危険な状況が迫っているのである。今回の「和解」が「早すぎた和解」にならないように、政権に対し厳しい(しかし「前向きだ」)視線を向けてゆくことが必要なのではないだろうか。
*補足:
こうして社会的立場の弱いひとびとに負担を強いる一方で、世界一の大国であるアメリカ合州国に多額のカネをめぐんでやったり、世界トップレベルの大企業の税を優遇したりというのだから、この国を動かす連中ってのはどこを向いているのかとあらためて思う。これはなにも福祉にばかりカネをつぎ込めというのではなく、いますこし手厚くするていどのカネはあるだろうということである。政治の根幹のひとつは、限られたカネ(税収)をいかに配分し国民の生活に役立てるかというところにあるのではないか?
たとえば、一般企業などでの労働の場を得られないひとが福祉作業所などで働くということは、彼らが社会参加をするための重要な要素のひとつであろう。労働の対価としてわずかながらおカネが支給されるが、これは生活の糧であると同時に、社会参加の証しだということもいえると思うからだ。ところが、この悪法はそうした社会参加にさいして参加者からカネを徴収するという愚挙を実現したのである。それも、より障害が重く、一般的な労働が困難な可能性の高いひとびとにこそ高負担を要求するというのだから、これはもう「おまえらは社会参加をするな!」と門扉を閉ざしたようなものであろう。単に収入という面からみた場合、仮に福祉施設での労働により月あたり5万円が支給されるとして、ところがその“労働”をするために月ごとに2万円を払えというケースを想像してみれば、そのおろかしさがわかろうというものだ。
今回の和解が実現した背景には、政権交代という前進があった。すなわち昨年9月、政権交代後早々と長妻昭厚生労働相が法の廃止を表明、原告および弁護団と被告(国)との間に基本合意を締結されるに至ったからである。これを報じる夕方のテレビニュースをみていて、コイズミだのタケナカだのマスゾエだのの感想ないし反論でも聞きたいものだと思ったものだったが、少なくともそうした悪法の数々があの政権下で成立ないし浮上(たとえば「共謀罪」だっていつ息を吹き返すか知れたものではない)したことを、われわれ大衆は忘れてはならないだろう(アメリカ合州国流に法律に成立者の名前でも刻んでやればいいのだが)。
多くの報道によれば、その新政権たる鳩山政権は、目下のところ世論からの評判や期待感を大幅に失しているようだ。自分自身はそうした政権に対して必ずしも支持を決め込んでいるわけではないが、少なくともこうした前進については認め、後押しをしてゆく必要があるだろうと思う。それがやっとこさ悪辣政権を下野させた世の中を育ててゆくことにつながると考えるからだ。だが、一方で「腰砕け」とも揶揄される政権の失策(ないし無能)が続発している。きたる参院選がどうとかそうしたレベルの問題ではなく、新しい政権を選んだ国民にとって危険な状況が迫っているのである。今回の「和解」が「早すぎた和解」にならないように、政権に対し厳しい(しかし「前向きだ」)視線を向けてゆくことが必要なのではないだろうか。
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こうして社会的立場の弱いひとびとに負担を強いる一方で、世界一の大国であるアメリカ合州国に多額のカネをめぐんでやったり、世界トップレベルの大企業の税を優遇したりというのだから、この国を動かす連中ってのはどこを向いているのかとあらためて思う。これはなにも福祉にばかりカネをつぎ込めというのではなく、いますこし手厚くするていどのカネはあるだろうということである。政治の根幹のひとつは、限られたカネ(税収)をいかに配分し国民の生活に役立てるかというところにあるのではないか?
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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