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猫池罵詈雑言雑記帳
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 なにやらプロボクシング界がちょっとしたホームラン的興業で盛り上がっているようである。ひとつ、ここでも乗せられてみよう。いうまでもなく亀田某をめぐるにわか人気の話だ。
 以前にもなにかの折りに記したことがあるが、ボクシングの試合を観戦するのはわりと好きで、以前は──といってもタイトルマッチのテレビ中継などごく限られるけれど──は時間を割いてエキサイトしたものである。もっとも、このごろはほとんどみる機会もなくなってしまい、日本人の世界タイトル保持状況がどうなっているのかさえ覚束ない始末。まぁ、そのせいかどうかはとにかくとして、11日に開催された世界タイトルマッチそのものも当日の朝刊かなにかでたまたま知ったにすぎず、チャンピオン・内藤大助選手についても、ほんの名前を聞いたことがあるていどの知識であった。相手? 亀田? ああそうか、きわめてビジネス色の濃いマッチメイクなんだろうにゃ……。それが試合があることを知ってチラっと思ったことである。  


 が、世間一般(一般の定義はさておき)はやや異なったらしく、試合中継をしたTBSは視聴率40パーセントだかなんだかを稼いだという報道もあるので、相当以上に注目された試合だったようである。理由をあまり単純化しすぎてはいけないと思うが、その大きな面を占めるのが挑戦者の亀田大毅選手とその周辺の悪役的役回りにあったことは間違いないだろう。対戦するチャンピオンに対して「ゴキブリ」呼ばわりするなど、いかにショウビジネスとはいえちょっと常軌を逸した発言などもあったようで、このことは試合後の報道で知った。しかしそんな一連のパフォーマンスも試合という名のショウを注目させる要素であろう。果たして、王者・内藤がいかに悪役・亀田をやっつけるか? そんなことに期待を寄せてテレビ中継に臨んだひとも少なくなかったらしい。まぁ、気持ちはよくわかりますがね。

 試合のほうはかなりお粗末だったようだ。最終ラウンドでは挑戦者がチャンピオンを担ぎあげてプロレスのスープレックスのごとく投げ技を披露したなんていうのはすでにボクシングでもなんでもない状態にあったといえるが、対戦中にベロを出して相手を挑発するなど、あまりにボクシングというスポーツをバカにしているといっていい。しかしとうの亀田選手も問題だが、よりによって世界タイトルマッチでそんなことを許している興業関係者の認識にも甘さが目立つ。実際問題、投げ技以前にお下劣挑発の段階で失格ないし大量減点にしてもいいのではないか。「本来なら失格負けにしてもいい試合だった」(東日本ボクシング協会大橋秀行会長)というコメントもあるが、本来もクソもなく失格負けにすべき試合であろう。それに、本来がそうなら、あれはいったいなんだったといいたいのだろう? そんなことを許容するあたりが、やはりあれは試合という名のショウなのだ。
 そのくっだらないショウのさなか、セコンドについていた亀田選手の実父や現役ボクサーの兄らが試合中に反則を指示したことも明らかになってきた。まぁ、あの“一家”のこれまでの行動をみていけばさもありないである。しかし、それも悪役を徹底的に演じる──それもプロの仕事ではある──という役回りにあっては十分にあり得ることであろう。が、ボクシングはプロレスではない。したがって、その後に取り沙汰されている亀田サイドへの厳重処分というのはあって当然、ライセンス停止など甘っちょろいレベルではなく永久追放にしてもいいぐらいである。
 ……というのがまずどうでもいい類の所感である。

 ところで、この亀田一家というのはビジネス的には人気悪役、常識的にはバカ、好意に捉えるとやんちゃといったふうにみえるが、記者会見などでイキがったパフォーマンスをするていどのことは、じつはオレはけっしてキライではないのだ。ましてや今回の場合、登り坂(らしい)18歳のボクサーである。その実力についてはクエスチョンマークが踊っているともいうけれど、それがたとえビジネス的な要素が相当以上に強かったとしても、世界タイトルに挑戦するというのはやはり華がある。
 試合中の過度の挑発やお下劣な行動は別問題として、いくらかの“バカ”を本人がやるぐらいは許されてもいいかもしれないとも思う。だが、あのコーチだという父親はどうか? あおりにあおって視聴率をかせいだテレビ局はどうか? 事後処理に右往左往しつつ、事前に強権のひとつも発動しなかったボウシングコミッションらはどうか? 多少のパフォーマンスはいい。しかしたかだか18歳の若造に対して、きちんとしたプロの態度ひとつたしなめず、放置し、増長させる結果となった周囲のおとなたちの責任は極めて重い。前段で永久追放にしてもいいと記したが、仮にそのとおりになったとき、とうの本人(正誤の判断もつけられないガキ)だけでなく、周囲はどうやって将来があるハズのボクサーに対して責任がとれるというのだろう。

 亀田戦をなんどか放映してきたTBSは、試合中継以外でも亀田一家をさんざん持ち上げてきていた。試合中継にあたっても、ゴングの前に延々とメロドラマふう“亀田一家ものがたり”のようなドキュメンタリータッチの映像を流し続けて、そんなあたりも視聴者にとっては「亀田がノックアウトされるところをみたい」という欲求にもつながっているのではないかと思うが、なんにしても若者を食い物にして大いに儲けてきたに違いない。今後どうするのかはわからないが、きちんと責任をとるべきである。

 亀田サイドについては取りあえずだが、いまひとつ記しておくべきことがある。
 試合後にチャンピオンの内藤選手が「国民の期待に応えられたのではないかと思います」といった類のコメントを発した。虫酸が走るとはことことだ。
 第1。内藤勝利を期待していたひとはいると思うが、それはファンあるいはにわか観戦者の一部であって、「国民の期待」などではない。あえていえば「ファンの期待」である。みる側の立場としては、オレも亀田ノックアウトがあれば痛快かもぐらいには思ったものだが、そんなレベルの感情を、よもや「国民の期待」と思い上がったのだとは思いたくはないものだ。第2。あのお粗末な結果でもって「期待に応える」とは、そんなことをチャンピオンに言ってもらってもねぇ……。大差の判定勝ちは立派な勝利に違いないとはいえ、相手の未熟さとお粗末さに助けられた面はどれほどあるのだろうという疑問も湧く。そもそも亀田同様、内藤とはそんなに強い選手なのか?(あの歳で世界チャンピオンというのは素晴らしいことではあるが)

 なにはともあれ、ボクシングそのものはもっと注目されていい競技だと思っているので、本当の意味での人気回復を期待したいものである。……こんな大袈裟なショウは放っておいて、試合場に脚を運んで、地味だけれど熱のこもった戦いでも観戦に行こうかなぁ。。。



*おまけ:
 そういやぁ、セコンドから反則を指示を出したかどで問題を大きくした亀田父と亀田兄だが、証拠をつきつけられて槍玉にあげられたとたん、
「大毅の反則行為は故意ではありません。大毅の若さ、精神的な未熟さが出た結果だと思います」
 とか、
「ただこれも闘志の表れであって、結果として反則行為となってしまったことをご理解していただきたい」(父・史郎氏)
 さらに、
「あれは亀田家のボクシング用語で誤解されてるようなもんやない。あれはヒジを上げてしっかりガードして、目の位置を狙えいう意味。亀田スタイルの基本や」(兄・興毅選手:コメントは「夕刊フジ」10月13日から引用)
 と宣ったそうな。
 心底情けない。自民党の面々をみているのと同じぐらい情けない。同じ日本人として恥ずかしくなる。あそこまで煽ったんだ。徹底的に開き直ってみやがれってんだ。これまで伝わっている言動などからみれば「なにが悪い」と逆ギレしてもよさそうな場面なハズなんだけど、このていたらく。とりわけ興毅の情けなさが目立つが、それよりも言い訳にもならない言い訳でもって実の父親が取り繕う姿は、息子たちにどのように映ったのだろうか。「すべてわたしの責任。指導を含めて父としてコーチとして責任をまっとうします」ぐらいウソでもいいから言えないものなのかと思う。息子のフンドシでスモウをとるバカオヤ。あまりにくだらなくて情けない。選手(亀田家ご令息一同)にはいくらか今後の奮起とやらを期待しないでもないけれど、アンタは消えていいよ(笑)。追伸。幸いにしてオレは未経験だが、開腹手術を受けたひとの話を聞くかぎりでは、切腹ってのは最低最悪に苦しいシロモノのようなので、間違っても早まらないことを祈る。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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