このところ味つけが濃い目の取材やら足の速い入稿に追われており、じっくりと新聞やネット界隈に目を通すことが難しい。そんなさなかイヤでも目に入ってくるのが防衛省をめぐる疑獄事件についてである。事件そのものについては明らかにされていない部分があまりにも多いし、自分自身もきちんと把握しているわけではないので割愛する。ただし、事件というか事件をめぐる動きをみるうえで、その見方のひとつを記してみたいと思う。
さる29日には疑惑の中心にある守屋武昌前防衛事務次官に対する証人喚問が行なわれた。あいにく取材先で右往左往している最中だったこともあってテレビ中継の類をみる余裕もなかったが、その内容たるやおおよその想像がつくというものだ。
本ブログでもなんどか紹介している白川勝彦氏(弁護士・元衆議院議員)は、ご自身のサイトのなかでこの件に触れ、政権側の欺瞞ぶりについて不快感を示している。
「 自公“合体”政権の質問妨害」
すなわち、「全体の質問時間が2時間30分足らすなのに、その内の1時間20分余を自民党と公明党で費やしていた。野党に与えられた質問時間は1時間ちょっとに過ぎない」という実態。
「(略)ひとつだけ必要なことがある。それは質問の時間が十分に確保されるということである。十分な質問時間を確保されないで、〜(略)」
である。
これはなにも守屋疑惑だけではなく常にやられている茶番的作法だから、白川氏も最初から予想していた事態ではあろう。が、じつはたいへん重要なことがらであることも確かではないだろうか。白川氏が指摘するとおり、自・公には守屋疑惑を解明するつもりはさらさらないのではないか。それどころか明らかにされてしまっては大いに困るに違いない。「守屋疑惑が大きくなれば新テロ特措法にとって明らかにマイナスである」と読む白川氏の論評にはきちんとした説得力がある。そんな一派に対して貴重な質問時間の3分の2をとらせる……。まさに“妨害”であり、民意を否定するナメきった暴挙の類であろう。
もうひとつ。かりに自・公側から追求の動きが現れたとしても、それは別勢力が自らの利益を狙ってのことであろうことも予想しておく必要がある。かつてロッキード疑獄で追求された田中角栄氏とそれを追い落とした勢力はどうだったか。ここにはもちろん大衆の怒りもあったとはいえ、田中失墜がだれの利益に結びついたのかということを反芻しておくのもムダな作業ではありますまい。
*おまけ:
そんなわけで、白川氏のサイトは日々チェックしているのだが、ぜひお読みいただきたいのはこの記事の最終段落である。
「財務省職員の集団強姦事件!?」
戦後の民主化をとらえる目として、ここまで簡潔かつ正確に記すとは。かつて自民党の中枢にあった政治家の言葉として、ある種の驚きとともに非常に重みを実感せざるをえない。わが国の言論は、まだまだ棄てたものではない!
*おまけ2(海賊報道の不思議):
このところ、たてつづいてソマリア沖での海賊事件が報じられた。最初は日本船であり、つぎは北朝鮮船である。ソマリアでは事実上の無政府状態が続いており、そんななかで沿岸を航行する船舶がたびたび海賊による襲撃を受けているということぐらいは知識として知っていたので、最初に記事を目にしたとき、じつは「あぁ、またか」と思ったていどであったが、日本船が犠牲になったことを考えれば、報道する必要はあるだろうなとも感じた。しかし、海賊被害がもっとも多いのはインドネシアなど東南アジア地域といわれる一方、ソマリアもいわば海賊の巣なのである(07年だけで未遂を含めてすでに26件が報告されているらしい)。それが、なぜいまこのタイミングで続々と? と、そんな違和感を覚えたのも事実である。
世界中で山ほど報じるべきできごとがあるなかで、ことさら今回の海賊事件をクローズアップする理由とはなにか? 断定はできないが、ここにテロ特措法などとの結びつきを推理することも可能であろう。いくつかのニュースをご覧いただければおわかりのとおり、海賊による襲撃の事実よりは、むしろ“救出”にあたったアメリカ合州国海軍の動きのほうが主役になっているのである。結果として海賊(悪者)を退治した米海軍(正義の味方)という図式ができあがった。それもアメリカ合州国にとって“悪の枢軸”でさえある北朝鮮の船まで“救助”したという人道的なできごととして……。
たしかに事実を事実として報道することは大切だが、ニュースの選択という部分で、各報道機関やネット上でのヘッドラインの方向性に気をつける必要はある。こうした報道の裏で無視された事実も含めて。
本ブログでもなんどか紹介している白川勝彦氏(弁護士・元衆議院議員)は、ご自身のサイトのなかでこの件に触れ、政権側の欺瞞ぶりについて不快感を示している。
「 自公“合体”政権の質問妨害」
すなわち、「全体の質問時間が2時間30分足らすなのに、その内の1時間20分余を自民党と公明党で費やしていた。野党に与えられた質問時間は1時間ちょっとに過ぎない」という実態。
「(略)ひとつだけ必要なことがある。それは質問の時間が十分に確保されるということである。十分な質問時間を確保されないで、〜(略)」
である。
これはなにも守屋疑惑だけではなく常にやられている茶番的作法だから、白川氏も最初から予想していた事態ではあろう。が、じつはたいへん重要なことがらであることも確かではないだろうか。白川氏が指摘するとおり、自・公には守屋疑惑を解明するつもりはさらさらないのではないか。それどころか明らかにされてしまっては大いに困るに違いない。「守屋疑惑が大きくなれば新テロ特措法にとって明らかにマイナスである」と読む白川氏の論評にはきちんとした説得力がある。そんな一派に対して貴重な質問時間の3分の2をとらせる……。まさに“妨害”であり、民意を否定するナメきった暴挙の類であろう。
もうひとつ。かりに自・公側から追求の動きが現れたとしても、それは別勢力が自らの利益を狙ってのことであろうことも予想しておく必要がある。かつてロッキード疑獄で追求された田中角栄氏とそれを追い落とした勢力はどうだったか。ここにはもちろん大衆の怒りもあったとはいえ、田中失墜がだれの利益に結びついたのかということを反芻しておくのもムダな作業ではありますまい。
*おまけ:
そんなわけで、白川氏のサイトは日々チェックしているのだが、ぜひお読みいただきたいのはこの記事の最終段落である。
「財務省職員の集団強姦事件!?」
戦後の民主化をとらえる目として、ここまで簡潔かつ正確に記すとは。かつて自民党の中枢にあった政治家の言葉として、ある種の驚きとともに非常に重みを実感せざるをえない。わが国の言論は、まだまだ棄てたものではない!
*おまけ2(海賊報道の不思議):
このところ、たてつづいてソマリア沖での海賊事件が報じられた。最初は日本船であり、つぎは北朝鮮船である。ソマリアでは事実上の無政府状態が続いており、そんななかで沿岸を航行する船舶がたびたび海賊による襲撃を受けているということぐらいは知識として知っていたので、最初に記事を目にしたとき、じつは「あぁ、またか」と思ったていどであったが、日本船が犠牲になったことを考えれば、報道する必要はあるだろうなとも感じた。しかし、海賊被害がもっとも多いのはインドネシアなど東南アジア地域といわれる一方、ソマリアもいわば海賊の巣なのである(07年だけで未遂を含めてすでに26件が報告されているらしい)。それが、なぜいまこのタイミングで続々と? と、そんな違和感を覚えたのも事実である。
世界中で山ほど報じるべきできごとがあるなかで、ことさら今回の海賊事件をクローズアップする理由とはなにか? 断定はできないが、ここにテロ特措法などとの結びつきを推理することも可能であろう。いくつかのニュースをご覧いただければおわかりのとおり、海賊による襲撃の事実よりは、むしろ“救出”にあたったアメリカ合州国海軍の動きのほうが主役になっているのである。結果として海賊(悪者)を退治した米海軍(正義の味方)という図式ができあがった。それもアメリカ合州国にとって“悪の枢軸”でさえある北朝鮮の船まで“救助”したという人道的なできごととして……。
たしかに事実を事実として報道することは大切だが、ニュースの選択という部分で、各報道機関やネット上でのヘッドラインの方向性に気をつける必要はある。こうした報道の裏で無視された事実も含めて。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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