大相撲名古屋場所が異様な様相のなか開催されているという。会場の内外には多数の警察官が蠢き、監視カメラとともに来場者に疑いの視線を送る。「暴力団関係者入場お断り」のスローガンが張り巡らされ、あるいは鳴り響く。報道によれば、来場者間での誤解をめぐるいざこざも起きたという。せっかくの本場所を楽しみにしているひとも多いだろうに、主催者側のこのありさまをみると、客を客として扱っていないとしか思えない。
かくのごとく状態がつくりだされた要因のひとつには、いうまでもなく野球賭博発覚にはじまる角界(の一部)と暴力団との濃密なつきあいが明らかになったことがある。つまりは「われわれ(日本相撲協会)は暴力団などとは一切関係ありません」と主張したいのであろう。これ以上騒ぎが大きくなる前に、臭いモノにはフタ、あるいはパフォーマンスともって臨もうというわけだ。
しかしこれはやりすぎなのではあるまいか? 言い換えると、暴力団関係者がなぜ大相撲観戦を楽しんではいけないのかということになるが、主催者側は、その疑問に対する明確な解答を持っているのだろうかと思うのだ。
ごくあたりまえのことだが、客にはさまざまな立場の者がいる。なけなしの休暇をとって入場券を手にしたファンもいれば、企業なり団体の類から招待なり接待なりを受けて高みの見物にやってくるムキもあろう。職業だってさまざま。高利貸しの金主や経営者、性風俗店のオーナー、競馬や競輪の予想屋……。学校の教員だっているだろうし、リタイア後の楽しみでやってきたひともいるに違いない。なかにはいささか胸を張れないような仕事に手を染めている御仁だっているかもしれないが、少なくとも相撲観戦を楽しみたいと思ってやってくるひとが大半なハズだ(接待の類を仕方なく「受けてやる」といった社用族もいるのだろうが)。
そんなさまざまな来場者から「暴力団関係者」とやらをつまみ出す。これが、たとえば角界やその構成員との間になんらかの利害関係があるなどして、企業間の接待よろしく席を誂えられたというのであれば話は別かもしれない。だが、報道から伝わってくる「入場お断り」のスローガンは、来場者の事情を一切抜きにして、単に「暴力団関係者」だから門前払いを喰らわすべしというその一点である。繰り返すが、なぜ「暴力団関係者」が大相撲を観戦してはならないのか?
断っておくが、ここでなにも暴力団やその関係者を擁護しようというのではない。個人的には、ああいう組織やそれを利用する連中(つまりは暴力団本体に限らない)など大嫌いである。いかに抗弁してみせようとも、彼らが犯罪に手を染めやすい立場にあり、犯罪を誘発していることが事実だからだ(また、タテマエでは素人衆には手を出すなとか薬物は一切扱わないだのと謳われている面もあるが、そんなものは詭弁にすぎない)。
だが、だからといってああいう方法で十把一からげに締め出していいということにはならないのではないか? なかには“職業”云々をヌキにして純粋に大相撲を観戦したいというファンだっているハズである。それを、たとえば(合法的)貸し剥がしの類で融資先一家にクビを吊らせた銀行家やその雇われ人がよくて、せいぜいが盛り場でタンカを切っているていどの小物はダメだというのは間尺に合う話でもないだろう(あくまでタトエ話だが)。
おそろしいのは、日本相撲協会の論理が通るとすれば、これがほかにいかようでも転用されかねないことにもある。かつて、オウム真理教事件にさいして、単に信者の子どもというだけで転籍や入学から締め出されたなどの公的いじめがはびこったことがあるが、ケースは違えど、今回の騒ぎにそれと類似したニオイを嗅ぎとることはできるかもしれない。これは、それが犯罪組織の関係者だからとかそういうレベルではなく、いついかなるときにも応用される可能性があることに気をつけるべきなのである。そのなかには思想的差別の萌芽が含まれている可能性だってあるのだからなおさらだ。
ケースはやや異なるが、日教組の総会を「反対者による妨害があるから」と締め出したホテルや、同じく「妨害の恐れ」をタテマエに映画の上映を締め出す施設。ここでいう「妨害」には暴力的行為が大いに含まれるのであるが、暴力者そのものではなく、“推定被害者”を切り捨てるという逆立ちがまかり通っている。場所貸し側には、あるいは切実な心配があるのかもしれないが、はたしてそれがすべての理由といえるのだろうか。
大袈裟に思われるムキもあろうけれど、日本相撲協会流の「暴力団お断り」を認め、あるいは歓迎するということは、ひいてはそうしたタテマエを悪用した言論統制につながるリスクを伴うと考える。コトは暴力団云々で済む問題ではないのである。
また、大量の(?)警官までが配置されたありさまをみるにつけ、そこに集団ヒステリー的いじめ、あるいはスケープゴートづくりをみる思いだ。日本大相撲協会をめぐる一連の“不祥事”の主体を、はたして暴力団だけに求めることができるのかという問題もあろう。穿った見方をすれば、「暴力団排除」のスローガンで“暴力団を利用する”ことにより、もっと大きななにかを隠蔽したいのではいかという気さえしてくる。それも官民挙げて。
しかしこれはやりすぎなのではあるまいか? 言い換えると、暴力団関係者がなぜ大相撲観戦を楽しんではいけないのかということになるが、主催者側は、その疑問に対する明確な解答を持っているのだろうかと思うのだ。
ごくあたりまえのことだが、客にはさまざまな立場の者がいる。なけなしの休暇をとって入場券を手にしたファンもいれば、企業なり団体の類から招待なり接待なりを受けて高みの見物にやってくるムキもあろう。職業だってさまざま。高利貸しの金主や経営者、性風俗店のオーナー、競馬や競輪の予想屋……。学校の教員だっているだろうし、リタイア後の楽しみでやってきたひともいるに違いない。なかにはいささか胸を張れないような仕事に手を染めている御仁だっているかもしれないが、少なくとも相撲観戦を楽しみたいと思ってやってくるひとが大半なハズだ(接待の類を仕方なく「受けてやる」といった社用族もいるのだろうが)。
そんなさまざまな来場者から「暴力団関係者」とやらをつまみ出す。これが、たとえば角界やその構成員との間になんらかの利害関係があるなどして、企業間の接待よろしく席を誂えられたというのであれば話は別かもしれない。だが、報道から伝わってくる「入場お断り」のスローガンは、来場者の事情を一切抜きにして、単に「暴力団関係者」だから門前払いを喰らわすべしというその一点である。繰り返すが、なぜ「暴力団関係者」が大相撲を観戦してはならないのか?
断っておくが、ここでなにも暴力団やその関係者を擁護しようというのではない。個人的には、ああいう組織やそれを利用する連中(つまりは暴力団本体に限らない)など大嫌いである。いかに抗弁してみせようとも、彼らが犯罪に手を染めやすい立場にあり、犯罪を誘発していることが事実だからだ(また、タテマエでは素人衆には手を出すなとか薬物は一切扱わないだのと謳われている面もあるが、そんなものは詭弁にすぎない)。
だが、だからといってああいう方法で十把一からげに締め出していいということにはならないのではないか? なかには“職業”云々をヌキにして純粋に大相撲を観戦したいというファンだっているハズである。それを、たとえば(合法的)貸し剥がしの類で融資先一家にクビを吊らせた銀行家やその雇われ人がよくて、せいぜいが盛り場でタンカを切っているていどの小物はダメだというのは間尺に合う話でもないだろう(あくまでタトエ話だが)。
おそろしいのは、日本相撲協会の論理が通るとすれば、これがほかにいかようでも転用されかねないことにもある。かつて、オウム真理教事件にさいして、単に信者の子どもというだけで転籍や入学から締め出されたなどの公的いじめがはびこったことがあるが、ケースは違えど、今回の騒ぎにそれと類似したニオイを嗅ぎとることはできるかもしれない。これは、それが犯罪組織の関係者だからとかそういうレベルではなく、いついかなるときにも応用される可能性があることに気をつけるべきなのである。そのなかには思想的差別の萌芽が含まれている可能性だってあるのだからなおさらだ。
ケースはやや異なるが、日教組の総会を「反対者による妨害があるから」と締め出したホテルや、同じく「妨害の恐れ」をタテマエに映画の上映を締め出す施設。ここでいう「妨害」には暴力的行為が大いに含まれるのであるが、暴力者そのものではなく、“推定被害者”を切り捨てるという逆立ちがまかり通っている。場所貸し側には、あるいは切実な心配があるのかもしれないが、はたしてそれがすべての理由といえるのだろうか。
大袈裟に思われるムキもあろうけれど、日本相撲協会流の「暴力団お断り」を認め、あるいは歓迎するということは、ひいてはそうしたタテマエを悪用した言論統制につながるリスクを伴うと考える。コトは暴力団云々で済む問題ではないのである。
また、大量の(?)警官までが配置されたありさまをみるにつけ、そこに集団ヒステリー的いじめ、あるいはスケープゴートづくりをみる思いだ。日本大相撲協会をめぐる一連の“不祥事”の主体を、はたして暴力団だけに求めることができるのかという問題もあろう。穿った見方をすれば、「暴力団排除」のスローガンで“暴力団を利用する”ことにより、もっと大きななにかを隠蔽したいのではいかという気さえしてくる。それも官民挙げて。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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