2012Jun/11 報道の軽重．．．の巻。オウム残兵と消費税大増税

　なんら意外性のない展開。民自公３党による“談合”は、おそらくは大方の国民がその裏切りぶりを予想していたとおり、消費税大増税で合意した。弁護士の白川勝彦氏は彼らをさして“ジミンミンという化け物”と称しているが、まさにふさわしいたとえであり展開であるといえよう（個人的には、基本的に同じ連中の傀儡にすぎない自民党とそのウィ○○が民主党にドロを被らせて増税を成立させたのちに解散総選挙に持ち込み、まんまと漁父の利を得ようという筋書きを思い描いていたりする。つまりは成立ないしなんらかの理由で廃案にならないかぎり解散はないとみる）。

　消費税倍増および大増税の根拠として、相変わらず社会保障云々が取り沙汰されている。社会保障制度が楽観できない状況にあることそのものにウソはないと思う。だが、消費税の増税がすなわち社会保障のためというのは、単純すぎるまやかしではないのか？
　社会保障云々といいはじめてこのかた、消費税の歳入と反比例するかのように減じてきた法人税。言い換えると、減税ぶんの穴埋めとして機能してきたという一面を否定できるのかと思うが、その“恩恵”を享受しているのはあくまで（例外はあろうが）大企業が中心だ。そしてここにきて消費税大増税ということになれば、消費者はもとより、生産者としての大企業下請けが打撃を被るであろうことが予測されている。生産の流れのなかで容易に下請けに対する値引きや税の転嫁ができうる大企業に対し、それを受ける下請け企業こそが本当の消費税納税者だからだ（もっとも、家電業界などの生産業については、販売との力関係で大企業といえども増税分の転嫁に反故をきたすかもしれないが）。現実にどのような状況が生まれてくるのかは、シロウトには予測しえないけれど、生産も消費もそれ相応の打撃を受け、ややもすると大いなる転落がわが国に待ち受けているのかもしれない（ついでに、社会保障云々に加えて、国際社会からの視線云々と言い逃れ出した民主党のザマをみられよ）。

　さて、今日の主題。件の“談合”の今日の経過について、たとえば時事通信社が13時17分に配信（リンク切れ御免）した。“談合”のおおまかあるいは詳細については報道各社が報じているので省略するが、個人的にはその報道をネット上で知ることとなった。繰り返すが13時17分の配信である。
　夕方のＮＨＫニュース（18時〜）をみた。トップがオウム真理教関連事件容疑者の話題であった。全国ニュースとしてどれほどの緊急性かつ重要性があると判断されたのかは知るよしもないが、はたしてトップに据える必要があるのだろうか。あるいは（そうとは明言しないだけで）視聴者らに容疑者の身柄確保への協力でもあおぐといった意図があるのかもしれないが、こう言ってはわるいけれど、カバンがどうしたとか上着がどうしたなどというのは一般庶民にとってはどうでもいい話であろう。
　オウム真理教に関連する事件は、たしかに社会的に重大かつ注目を集めうるものだ。そこまでを否定しようとは思わないし、現にいまなお後遺症に苦しんでいたり被害を引きずっているひとびとが少なからずいる。したがって、報じることそのものを取り沙汰しているのではないが、これはちょっと騒ぎすぎとはいえないのだろうかと思う。ああした“残兵”逃亡の途中経過をトップニュースとすることの意味。裏で消されたニュースはどうか。ややもすれば明日の首つりすら誘因しかねない消費税増税の問題は、容疑者逃亡よりも軽い案件なのか。ＴＰＰはどうか。原発をめぐって、今日の動きはどうだったのか。むしろ、そうした広くかつ重大なニュースを奈落に隠すためにかくのごとしのトップニュースだったということはないのか。

　もとより、大半が権力者側によってばかりの消費税増税やＴＰＰ問題や原発報道である（もちろん例外はあるが）。公平を装いながらそんなものをタレ流されるよりは……というのはタチのよくない冗談だが。