2012May/18 原発事故をなくす方法．．．の巻。原子力施設の安否情報が日常になったその愚をあらためる

　地震がわが国にとって日常茶飯の自然現象のひとつであることは疑うようがないだろう。いわゆる大震災あるいは大地震規模になるとその頻度はぐっと下がるとはいえ、それだって確実に起きており、そういう意味では常に震災と隣り合わせにならざるをえない宿命といえるかもしれない。

　地震はときには大災害の引き金となる。さきの東日本大震災然り、阪神淡路大震災然り、ややもすれば数年にいちどは深刻な災害をもたらしているともいえるだろう。地震に対しては驕ることなく、きちんとした備えをしておいてしかるべきなのだが、地震報道という点において、近ごろ妙に気になっていることがある。

　ひとつは、微小というか、それこそ日常茶飯レベルの地震でさえ、大事件が起きたかのごとく報道されるという状況にである。テレビ番組をみていて突然流れるニュース速報。すわっ、大事件か!?　と思えば、どこそこで地震がありました。最大震度は２ですとくる。ラジオでは放送中の番組に割り込んで速報される（ＮＨＫ第１の場合）。ああした大震災があったばかりである。地震の危険性がイヤというほど叩き込まれたのである。そうでなくとも地震速報がムダだとまでは思わない。だが、かくのごとく杓子定規に報道することにどこまで意味があるのだろうかという気もするのだがいかがなものだろうか。
　テレビでもそうだが、たとえばラジオではたとえ全国放送中であっても、「ここで関東地方のみなさんには……」といった具合に地域ごとに異なる内容に切り替えられることも日常だ。したがって、地震速報の類でも地域ごとの対応などごく簡単なことだと思うのだが、たとえば東京地方にいて遥か東西に離れた地域の微小地震が速報されることにも違和感を覚えざるをえない。極論すれば、ごく軽微な交通事故までいちいち番組を中断してまで報道しているようなものではないのか。そういうセンでいえば、もっと報道すべきことがあるだろうにということにもつながるが。

　ふたつめ。本題はここからである。
　そうした日常的な微小地震であっても、それが原発地域での発生となると、必ずといっていいほど「どこどこの原発（あるいは原子力施設）によれば……」というひとことが加わる。ただし、そのほとんとが当該の施設からの発表ないし問い合わせに対する回答であり、それが事実であるかどうかまでは保障されていないのだが……。
　問題は、たとえ微小な地震であっても、そうした速報が必要だという事実である。事業者らがどう捉えているかはさておき、少なくとも地震速報に原子力施設の安否情報が加わるという点が重要なのである。言い換えると、原子力施設にとって地震は天敵なのだ。少なくともそうだと認めざるをえないのだ。だからこそたとえ微小な地震であってもかくのごとく速報されるということなのではないのか（ただし、ことに原子力施設の監視とその報道は重要だと考えているので、地震速報につけ加えられることを批判するものではありません）。つまりは、これが地震というものが日常茶飯事であるわが国のザマなのである。その前提でもって各地につくられた原発や関連施設……。そうしておいて、現実に猛毒をまき散らしている。仮に無事に“任務”をやりすごしたとしても、その後始末については空想に任せられている。こんな愚劣な政策がはたしてあるだろうか？

　かように、いまや常に原子力事故の不安と隣り合わせにさせられたわが国だが、じつは原子力事故を完全になくす方法があるのをご存知だろうか。やり方はいたって単純。すべての原子力施設を廃止してしまえばいいのである。あんなものがあるから原子力事故が現実に多発し、その処理のために莫大なカネと労力とが捨てられてゆくのだ。多数の人命もまた然り。違いますか？
　ただし、やり方は単純ではあるけれど、けっして簡単ではないのであろう。すでに山積みされているハズの核廃棄物や原子炉の無害化などの技術や知識を人類はいまだ手にしていないからだ（イ●カン●ルなんて星はこの世にはないのだ）。赤ん坊に刃物。いや、それ以下の愚行をしでかしている人類。それに気がついたのならば、せめていまからでも改めてゆくのがあるべき姿であり道とはいえないだろうか……。