2012Jun/17 ある顛末．．．の巻。数を与えた側の意識はどうか？

　勝手にしろ。──さしあたり思いつくのはそんなところか。
　いうまでもなく、わが国の政治についてである。原発再稼働。消費税大増税（大企業減税）談合。自民・民主という同類項に力を与えすぎた顛末がコレだ。一方的に責任をとらされるのは、彼らではなく与えた側、すなわち国民の側でしかないのだが。

　話は単純なのである。有権者によって権力を与えられた彼らが、はたしてどこを向いているか。それがとうの有権者の側でないことは、もはや多くのひとびとが気づいているハズだ。彼らが代弁する本当の権力。日米財界であり、その傀儡である日米両政府であり、そのコマである官僚たち……。いうなれば、自民だの民主だのといった連中（そのすべてがとまではいわない）は、基本的にはそうした権力構造の下部に位置する傀儡であり、奴隷監視人にすぎない存在なのではないのか。だからこそ「生命をかけて」の大増税であり、「責任をとって」の原発再稼働なのである。そんなモノにまんまと騙されてきたわけのである。有権者の側が。今般の茶番は、まさにそうした筋書きに沿っただけの話であり、騙されたことのツケを払わされているというふうにも思うのだが、はたしてこれは筋違いといえるだろうか。

　そんななかにも光明はある。たとえば超党派による反増税集会。沖縄県議選を舞台とした反発。草の根で広がる反原発行動。テレビをはじめとする大手メディアは、オウム事件の過剰報道や誘導的ニュース解説などを用いて大衆の目を攪乱しているが、もはやそんなことさえ通用しない層が拡大していることは、ネット上の話題をみてゆくだけでも窺えてくる。だが、実際問題として、いまのこの状況はかなり危ない。いかに傀儡の傀儡によるゴリ押しであろうとも、法として成立してしまったが最後、覆すのは極めて困難だからだ。

　しかし、以前の自創連合による圧倒的多数（あくまで議員数だが）による独裁へのアンチテーゼという意味合いが多少はあったに違いない民主党による政権交代だが、個人的に当初から懸念していたとおりの議席占有による暴走が繰り返されたことは、きちんと指摘しておかなければならない。しかも、対抗馬であるべき最大野党もまた、向いている方向は与党となんらかわらないというのが現実なのである。彼らはここでさらに比例区削減をもって自らが持つ数の権力を固持しようと画策しているが、その先にあるのが、ある種の一党独裁政治（大小の派閥──民主党が自民党の一派閥的存在にすぎないことは、なんどか考えを述べてきた──こそあれど）であることを、いままさに認識しなければ、事態はますます悪化してゆくだろう。われわれ庶民の側にとっては。

　おそらく、彼らはあくまでトップダウン型による経済の流れを是としているのだろう。寄らば大樹の陰ではないが、大企業が潤えばやがて最下層（一般庶民）の暮らしも（それなりに）向上するという考えだ。ある時点までは正当性があったかもしれない考え方だが、しかしバブル経済崩壊からこのかた、はたしてそのとおりになっているだろうか。政府はざまざまな手をこらして大企業を優遇してきたが、それで経済は上向いているのですか？　もはや失敗をみとめ、別の策をとるというのがあるべき姿なのではないですか？
　これはシロウトの想像にすぎないが、トップダウン型を前提とした場合、経済崩壊が起こるのは逆にボトムの側からということはないのだろうか。われわれ庶民の暮らしが立ち行かなくなり、それに逆行する政策がとられる。しかしそれは消費を大幅に滞らせることになり、ひいては物流から生産、やがては金融という具合にそのツケを払わされることになるのだ。「強きを助け、弱きをくじく」政策の結果、気がつけば強き側の屋台骨もまたスカスカとなっていた……というわけだ。大げさではなく、祖国の崩壊すら想像してしまうのだが、どうなのだろう？

　さて、そんな空想をめぐらしていたら、ひとつの懸念が浮かんできた。共謀罪である。この法案については当ブログでもなんどか触れてきたが、ひょっとしたら法案を通したい側がいまを絶好の機会ととらえている可能性があるのではないか？　次回アップでは、そのあたりについて考察してみたいと思う。