繰り返すが、今回の衆議院選挙のテーマは「ストップ the 安倍」である。このフレーズは弁護士・白川勝彦氏によるものだが、選挙の争点に置き換えるとつぎのようになる。
イ:安倍政権のすべてを信任する
ロ:安倍政権のすべてを否定する
ハ:安倍政権の一部を支持する
上記のうち、「イ」はいうまでもなく安倍政権を支持するということが、問題は「ハ」である。すなわち、「ハ」という意思で安倍政権に対する信任票を与える(自民・公明のほか、極右系烏合の衆)ということは、受け手である政権側にとっては「イ」ということになってしまうからだ。
たとえば有権者が、
「集団的自衛権や憲法問題については支持できないけど、経済政策には期待したい」
といったセンスで「自公」に票を投じる。有権者側は、政権政策のごく一部に期待をかけているわけだが、とうの政権側の解釈では、つぎのようになってしまうだろう。
「これでわれわれの政策、そのすべてが信任された。いよいよ憲法改定! 国民の基本的人権も制限することができる!」
そうはいっても、
「議会制主義なんだ。政権の政策に問題があれば、議会で抑制するだろう」
という“正論”はあるかもしれない。
しかし、そんな正論が通用しないことは、現政権下ですでに証明されているではないか。御用マスコミが流布している「自民単独で300議席超」? そうなったら議会そのものが形骸化し、仮にそのような状態が続いていけば、「議会など必要ない」という極論にさえ達する可能性だってある(悪い例にばかりたとえて失礼は承知だが、たとえば北朝鮮にも形として議会はあるが、その実態がどうであるかはいまや常識であろう)。しかも、野党の面々のうち、共産と社民、それと民主党内の一部を除けば、その正体は自民とほとんど変わらず、なかには安倍政権顔負けの極右までがのさばりつつあるというおそるべき事態にある。こんな先進国、世界中を探してほかにあるだろうか。たとえば韓国を笑いものにしている諸君よ、むしろ自分の祖国が外国からどう見られているのかについて、少しでも思いをめぐらせてみたらどうだ? 中国人がカネに汚い? 「エコノミックアニマル」というのがどこの国と国民とをたとえた言葉だったか?
ちょっと話がそれた。つまり、現政権に対しいくばくかの不安や不満があるのであれば、今回の選挙にあたっては「全否定」で臨むべきなのである。たとえ支持できる一面があったとしても全否定。言い換えると、自民・公明に票を投じたいのであれば、上の「イ」であることを自らが自覚しなければならない(それが意思であるならば尊重にあたいする。同意はできないけれども)。今回の選挙は、それほどに深刻な岐路である。やや大袈裟にいえば、祖国とわれわれ日本国民の存亡にすら関わっていると思う。
以前、当ブログで自民・公明が理想とするのは「北朝鮮型社会」であるとの持論を記したことがある。その確信はますます深まっているが、大学教授の内田樹氏がまさに同じことを発言しているのが目に止まった。
Link:内田樹が語る「戦争について真剣に考えていない国が『戦争のできる国』になろうとしている現実」-?週プレNEWS(2014年12月9日)
<安倍さんが目指しているのは、北朝鮮とシンガポールを合わせたような国だと思います。政治的には北朝鮮がモデルです。市民に政治的自由がなく、強権的な支配体制で、自前の核戦力があって国際社会に対して強面(こわもて)に出られる国になりたい。経済的な理想はシンガポールでしょう。国家目標が経済成長で、あらゆる社会制度が金儲けしやすいように設計されている国。>(リンク記事)
シンガポールという点にはこれまで気づかなかったが、十分に納得できる見方だ。
詳しくはリンク記事をお読みいただきたいが、上記引用の直後には、以下のとおりの不気味な見解が示されている。
<仮にこれから日中が戦争になって、そのとき米軍が出動しなければ、日本はこれまでの対米従属の反動で、間違いなく極端な「反米」路線に走るでしょう。安保条約即時廃棄、米軍基地即時撤去となれば、日本はアメリカ、中国、韓国、ロシア、すべてを仮想敵国と見なすハリネズミのように好戦的な「先軍主義」の国になるしかない。先の世界大戦前と同じです。そういう北朝鮮のような国になることを無意識的に願っている日本人は少なくないと僕は思っています。>(同)
くわえてつぎの指摘(類似の論は白川勝彦氏も繰り返している)。
<もともとの自民党はイデオロギー政党ではありません。党内に極右からリベラルまで含んだ「国民政党」でした。国民の生活実感をくみ上げることで長期政権を保ってきたのです。(中略)自民党が国民政党からイデオロギー政党に変質した(後略)>(同)
いまだかつての自民党の幻影に惑わされている善良な有権者よ、この内田氏の発言を真っ向から否定できますか?
さて、プレ北朝鮮たるわが国。国を左右する総選挙のさなかにあって、たとえばテレビをつけていても選挙中を実感できるケースがごく限られている。さすがにNHKでは政見放送にそれなりの枠が取られているが、その時間帯たるやおおまかに9~17時。大半の勤労者(パートタイマーなどを含む)が勤務中であり、学生は授業中である。そんな時間帯に偏らせて、いったいだれに向けての放送なのだろうか。これではほとんどアリバイ的に流しているだけにも思えるのだが。
繰り返すけれど、今回の選挙のキモは「安倍晋三のすべてを支持するかすべてを否定するか」その1点である。
オレ?
現状でもっとも自由主義的な(リベラルな主張を持つ)政党に投ずることに決めた。それも、自・公明政権がもっともイヤがるであろう勢力をね。
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