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猫池罵詈雑言雑記帳
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“大変な世の中”になっているという。
 ひとつ景気の問題でいえば、いくつかの“報道”の類でその回復が伝えられるようになって久しい一方で、社会的格差の実態が既成事実としてクローズアップされてきた。わが国の代表し、優良とされる企業のなかに違法就労を勤務者に強いている事実も明らかにされている。正社員>準社員(?)>派遣社員>請負いおよびパート・アルバイト・・・のように働くものの間にある種の身分制度のような構図が築かれつつあるのを感じているひとも少なくないだろう(さらに勤務先の優劣がその底辺にある)。際限のないリストラ競争にあって、現在の地位からのドロップアウトをしようものなら、収入は大幅に減り厳しい生活を余儀なくされる。しかもいったん“ランク”を下げられようものなら、もとの生活を取り戻すのは極めて困難になってきた面もあり、いまマトモな生活をしているひとなかには、必要以上に畏縮させられストレスをためこんでいるひとも多いのではないか。こうした実態は深化こそすれ、抜本的な解決に向けて国や財界が動いているとは思えず、出口のみえない迷宮に閉じ込められているかのような感じすらある。  



 そして国際的には、おもにアメリカ合州国やその傀儡を標的としたテロがあり、イラクの状況は(伝えられるだけでも)ますますドロ沼化し、中国では一部少数民族に対する弾圧があり、北朝鮮にいたってはミサイルを日本海に向けてぶっぱなすなかで“核実験”の実施を表明すらする無法ぶりだ。そして、そうしたことを背景に取り込む形で、政権主導による憲法改定に向かう手続きが着々と進められつつある。おおっぴらに戦争に参加できるようにするための準備が。

 こうしてみると、本当に大変な世の中なのは間違いのない事実だ。冒頭の経済の面でいえば、いままさにレールから降ろされてしまったひとびとにとってはより深刻だといっていい。現在から近い将来に対して明るい展望を感じているひとは案外少ないのではないかとすら思う。だが、こうした大変さがなにに起因するかということを考えると、実際にはどうなのだろうかという気もしてくるのだ。民主党は嵐に巻き込まれた帆船をイメージして、同党幹部3人の奮闘ぶりをCMとして描き出したが、そもそもなぜそんな“嵐”にこの国が巻き込まれているのだろうか。あるいは、日本という国が、あるいは国民の暮らしが嵐に飲み込まれているというよりも、この国を動かしている一部の層が率先して起こしているのが、その嵐の正体なのではないか? 本来はそう大きくないほころびを、わざと大きく拡げてあおってみてはいないのか? もっというのなら、じつは嵐なんていうのはまやかしなのではないか?

 考えてもみてほしい。一例として現在進められている労使交渉をみると、一部の企業で莫大な利益が伝えられながら、それに見合った十分な回答が示されているとはいえない。企業側の言い分はこうだ。
「人件費の高騰を招き、国際的競争力が失なわれる」
 一見しかつめらしい理由だが、とうの企業が得ている利益はそんなレベルなのだろうか? 空前ともいわれる利益だそうだが、だとすればどれだけの利益を挙げれば企業として満足し、働く側に還元できるというのだろう。しかもこの場合の回答には、派遣や請負いなどの低賃金労働者は含まれていないのだ。すなわち、十二分に安い労働力を確保してなお、それよりは待遇がいいらしい正社員に対しても値切ろうという魂胆なのである。そんな企業方針を、現政権はさまざまに後押ししているのだ。
 しかもここでいわれる“国際的競争”の正体はその大半が日本の傀儡たるアメリカ合州国の大資本が相手であり、そもそもそんな競争に巻き込まれるようになったのはわが国がとった規制緩和および市場開放政策がある(それだけが理由とまではいわないが)。「グローバル化」などは、アメリカ合州国というローカルが勝手に打ち出した経済的侵略法にすぎないだろう。国際間の活発な交流は必要だが、ある特定の国だけの都合によってはならないのはあたりまえの話だ。
 そして、そうした論理のもと、働くものの間に格差が持ち込まれ、しかもその格差を縮めるどころか「弱きをくじき強きを助ける」かのような政策が進められているのである。そして嵐に巻き込まれる国民。こういうのをマッチポンプといわないだろうか。

 憲法改定にしても、そもそもが持ち主である日本国民の側が言い出したのではない。部分的にそういう考えがあったことは否定しないが、いまここで急激に進められている動きは、為政者と財界、そしてアメリカ合州国という外国がやりだしたことである。
 自衛隊の戦地派遣にしても、あれは日本の都合ではけっしてない。イラクやアフガニスタンがわが国に攻めてきたというのならまだしも、アメリカ合州国があれこれ口実をつけて侵略に及び、そのためのコマとして利用されているというのが実態だ。また、仮に日本国内で関連するテロ事件が起きたとしても、それはアメリカ合州国に追随するがゆえの攻撃であり、本来は標的にすらなりえないものだとみることも可能だろう。
 北朝鮮はどうか。あの国の金政権はたしかに問題だし、日本に対する敵意を示しているのも事実だ。だが、それに対してわが国の側は十分な外交で臨んでいるといえるのだろうか。部分的には(あの尻切れトンボに終わった)コイズミスネオの訪朝などはあったにせよ、これもまたアメリカ合州国を中心とする外国頼みだというのが実態ではないのか。そのアメリカ合州国にしても、「核を持っているに違いない」とのいいがかりをイランに対してする一方で、核実験実施まで表明している北朝鮮に対して同様の動きをみせないのは、日本をめぐる地域に軍事的緊張を維持することが、自国の利益に結びつくからにほかならないのだろう。日本の改憲はそうした路線のなかにある。

 さて、今宵のたわごとは、ここからが本題。
 3月10日のアップで触れた従軍慰安婦にからむ首相および閣僚の発言問題。アメリカ合州国のメディアが批判的に報じていることを記したが、ウッカリ書き落としてしまったことに米下院における「慰安婦決議案」がある。
 従軍慰安婦問題で日本政府に対して正式な謝罪を求める決議は昨年から取り上げられていたが、ここにきて決議案の共同提案議員に名乗りを挙げる議員が続出しているという。従米傀儡政権としてはアタマの痛い問題であろう。
 同決議案を支持し請願活動を展開するなかには「コリアン・アメリカン有権者協議会」といった在米韓国人を含むグループもあり、日本の一部メディアやインターネット掲示板の類では韓国政府の介入を取り沙汰し、それをもって対韓批判をするむきもあるが、これはお門違いというものであろう。“被害者側”が声を挙げることは、むしろ当然だといえるからだ。しかし、ここでアメリカ合州国の国会までがこの問題に対して強硬ともいえる姿勢をみせていることについては若干の興味が湧く。すなわち、日本と周辺各国との間における戦時中の犯罪行為に対する謝罪問題という点で、あの国がどうしていまこのタイミングで問題提起しなければならないのかと疑問に思うのである。本来的にはアメリカ合州国の問題ではなければ、あの国がたびたび口にする“国益”の類にもにわかには結びつかないような印象を受けるからだ。それとも、本当の意味での人道的な動きなのだろうか。
 これが、ここで慰安婦問題に関するある種の精算を日本政府にさせることが、じつはアメリカ合州国の国益に関係するとしたらどうだろう。あくまで個人的な直感にすぎないけれど、慰安婦問題を含めた戦前からの遺恨で、日本と韓国をはじめとする周辺諸国との間に軋轢があっては困るのだ。そして、それは現在進められている改憲問題と深く関わっているとオレはみる。

 このブログの前身である「日々是雑感」でなんどか記したことだが、アメリカ合州国は世界における軍事的支配を強化するなかで、東アジア地域では日本と韓国に対する外部委託をはかっていると個人的に考えている。理由のひとつにはあの国の経済的な問題がある。イラクでの疲弊ぶりをみれば想像できるものだけれど、人的にも資金的にも、現在のようなやり方ではその力を維持できないのではないか。そのために自国軍の派遣を削減あるいは他地域へと移管する一方、その後の手足として「日本軍」が必要であり、そのためには現9条など邪魔なだけなのだ(そもそも、わが国にとっての“軍事的防衛”といったら、現状の自衛隊の戦力でなんの不足があろうか?)。
 韓国ではどうか。これはもっとわかりやすく、現在米軍が持っている韓国軍の指揮権を2012年をもって韓国に移管することが両国間で合意されている。一見すると韓国から自軍を引き上げるような印象があるが、“同盟関係”を別の形で強化することによって、協力者として影響力を維持することはできる。北朝鮮や中国を含めた緊張が高まっているというのが日本に流布されている現状のさなかであっても、そうするだけの環境が整うとみているのであろう。
 そうした思惑のなか、肝心の日本と韓国とが仲たがいされては困るのというのが、アメリカ合州国の本音なのではないだろうか。

 こんな見方はあくまでシロウトの想像力にすぎないけれど、このていどは疑ってみてもいいんじゃないかという気もするという今宵の話DESITA。

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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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