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猫池罵詈雑言雑記帳
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 ふと気がついたら表が「バチバチ」とうるさい。大粒の雨が叩いているような、されどそれともちょっと異なる音がなりやまないのだ。やや風のある日。隣の畑にあるビニールハウスが風に煽られており、「あぁ、これか」といったんは納得してみたものの違和感もある。そのうち消防車の音が近づいてきて、近所からもうもうとした煙がたちのぼっているのがハッキリとみえた。
 火事である。
 300メートルは離れていると思うけれど、窓を開けていると燻られた臭いが部屋にも流れ込んでくる。すぐに締めはしたものの、しばらく身体にしみついてしまったほどだ。かなりの勢いで燃えているように窺えたが、家主やその家族はいかなる気持ちであったろうか。さみだれ式に到着する消防車群のサイレンは、ほぼ鎮火したと思われるころまで続いた。
 火事場見物などをする趣味はないのでわざわざ現場に出向いたりはしながった。しかし当事者の悲劇は想像したりもする。考えてみると、これは日常だれにでもあり得る火災だったが、戦火というのはさらに悲惨なものなのではないか? 大切な家が破壊され燃やされ、ひとが死ぬ。こんなところから戦争というものを考えてみることもできるのではないか。これはなにも自分たちの身だけの問題ではない。戦争をしたがっている連中は、火災をまぢかにして想像力を働かせてみることだ。

■節度を推しはかる
 日本郵政公社のリストラ計画の具体化が進められている。すでに昨年秋ごろから集配業務の廃止(郵便物の集配達および郵便貯金と簡易保険に関する外務営業の廃止)がはじめられているが、それだけでなく簡易郵便局の閉鎖も増え、全国一律だった郵便サービスに地域格差が生まれつつある状況だ。リストラのタテマエはそれぞれの“事業所”の赤字である。簡易郵便局の閉鎖に関しては赤字理由による一方的な委託契約破棄に加えて、金融分野拡大による業務の煩雑さに伴う負担から受託側が消極的にならざるを得ないという状況も指摘されているが、いずれにしても効率化の御旗のもと切り捨てが進められていくことは否定できないであろう。


 郵政公社側は集配の縮小や外務業務の移管に関して「収集はこれまでどおり、サービスの質は落とさない」としているが、単体での収益をはかりづらい過疎地域を手はじめに業務の放棄が深化する可能性はあり、やがてじわじわとその“効果”が明らかになっていくに違いない。公社発足以来の一時閉鎖局は3月時点ですでに320を超える。地域によっては簡易局の比率が高いところもあるが、気がついてみたら不便を蒙るようになっていたということになりかねないのではないかという感じがする。

 20日の発表によれば、郵便物の集配業務をしている全国4696郵便局のうち、不採算の1048局で集配を取りやめる「無集配局化」計画を10月1日の民営化までに予定通り完了させるつもりだという。この発表には局の閉鎖が含まれていないようだが、モウカラナイから捨ててしまえという方針が十分に明らかにされているといっていいだろう。
 しかし、不採算だからといって、しかも単体でとらえた数字だけを根拠に廃止していいほど郵便業務というのは軽いモノなのだろうか(明らかなムダを正すというのはここでは別問題)。郵便問題に限らず、赤字だからというのは一見するともっともらしい理由にされがちだが、企業(広義には事業)の責任というのは数字だけではないハズだ。ましてや郵便というより公共性の高い分野である。もちろん、サービスの維持を表向きは主張している以上、利用者を負担にさせないような施策はとることにしているのかもしれないけれど、これを皮切りにしてリストラという名の放棄が急速化する可能性は十分にある。「ああそうですか」だけでは済まされない状況なのではないだろうか。

 郵便以外の分野では、郵便局の現金自動預払機(ATM)の撤去も進められているという。なんでも郵便局外2564カ所のATMうちおよそ3割を撤去する方針だというのだから影響を受ける利用者も少なくないハズだ。撤去の理由は「利用件数が少ない」という、これまた表面的な数字のみによる判断らしい。便利な郵便局が遠い過去の常識になるのは案外近いことはもしれない。
 都会や周辺地域では銀行やその出先施設もあるし、近ごろではコンビニのATMも普及してきた。しかしそれすらないという地域は案外多く、その面でも郵便局が果たす役割は大きい。業務の一部であった保険を含め、すでに民間が放棄あるいはそれに近い状態にしてきた地域が、郵便局の撤退によってさらに不便になるどころか完全な空白になっていく可能性はある。

 そうして既存の本業を縮小あるいは整理する一方、日本郵政公社はなにを目論んでいるか? そのひとつがサラ金業界への参入だというのだから仰天だ。ようは金融部門の拡充ということになるのだろうが、住宅ローンなどへを含む個人向け融資への参入である。そのなかには個人向けカードローンもあり、より収益性の高い“高利系個人融資”を取り入れて儲けたいということであろう。むろん、企業である以上、利益を出すということは正当化されるかもしれないが、この事実を知ったとき、「やっていいことと悪いこととがある」と思ったものだ。恥じるべき最低レベルのカネ貸し業。それをこともあろうか大本業である郵便業務の切り捨てを進めると同時にとりかかるとは……。
 実際問題、郵政民営化の狙いは金融であり、背後にアメリカ合州国の大資本がいることはいまさらいうまでもないことだが、たとえばそこで出す利益を不採算だけれど地域にとって役割を棄てられない郵便業務を守るために回すというのならとにかく、そんな公益を守ろうなどという考えはおそらくはないだろう。

 で、思ったものだ。立派な本業がありながらサラ金のまねごとなどに奔走する郵政公社など、今後は利用を減らすことにしよう。取材の礼状や掲載誌紙の進呈などで郵便を利用することも多いけれど、別の宅配会社を利用することもできる。とはいえいまのところ安価でかつ配達状況が安定している(ほかの宅配業者が安定していないというわけではないが、一部の輸送形態については不十分なものがある)郵便の利用価値は高いので、そのていどのものであればさしあたり変更するつもりはない。しかしたとえば年賀状のような独占分野に関しては来年をメドに大幅縮小してもいい。年賀状という風習そのものは悪くないと思っているし、儀礼的な意味合いも捨て難いのでゼロにはしないけれど、こんな企業の売り上げにダラダラと貢献するのはゴメンである。


■おしらせ



 いささか舌鋒が鈍る(?)が、ステキな絵葉書セットをご紹介。



 写真家・秋月岩魚氏による「輪廻転生」である。



 奥只見銀山平を流れる北ノ岐川の秋を写した12枚組の写真集で、サクラマスなどの遡上や産卵のシーンが捉えられている。



 どちらかというと抽象的な表現の多い同氏の作品だが、本作では具象的に各シーンを描写。解説および問い合わせ先は以下をご参照ください。



*同封の説明書より転載*

「輪廻転生」
秋月岩魚・写真
保護水面の秋
私たちは日本の魚です。
日本のきれいな水に棲んでいます。
私たちが住む島国の内水面は、亜寒帯から亜熱帯までの幅広い豊かな生物多様性をもっています。
これは地球上でもほかに類例のないもので、この独特の生態系に育まれた文化こそ、私たちのアイデンティティと言えるでしょう。
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日本列島はガラパゴスなのです。
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このカードの売り上げは全国ブラックバス防除市民ネットワークの基金として、内水面の生き物の保護や公報活動に使われます。
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お申し込み先 全国ブラックバス防除市民ネットワーク
〒103-0006
東京都中央区日本橋富沢町5-10-802 水生生物保全研究会内
「全国ブラックバス防除市民ネットワーク」事務局
E-mail : no-bass@no-bass.net
URL : http://www.no-bass.net/

*なおこの情報は本館「アトリエ猫池」にもアップ予定しました。
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 レジャーライター=植村誠の別館ブログです。
 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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