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猫池罵詈雑言雑記帳
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 東京電力がらみの動きで、同社に徹底したリストラを求めるという声が伝えられている。たとえば、政府の閣僚会議において、東電が負うべき賠償を進めるにあたり新機構を設立、ただし前提としてリストラの徹底を求めるべきではないかとの協議がなされているというのである。

「ぁあ、やはりな……」
 とまず思った。同社の負担が具体的にどこまで膨れ上がるかはわからないが、おそらくは正常な事業の継続だけによって賄える規模を超えるに違いない。国策会社であり、国民生活のインフラに必須の事業である以上、政府としてもなんらかの介入なり支援なりをしてゆかなけなければウソである。形としては私企業の失態に対して税金を投入する是非という問題もあろうけれど、だとすれば、電気なりガスなり通信なり鉄道なり道路なり、インフラの根幹をなす事業体が民間にゆだねられている事実そのものがそもそもの誤りであることの議論に発展すべきだとも言えるだろう(私鉄のような例も古くからあるし、すべてを否定するという意味ではない。しかし電気は水道と並び生活の底辺を支える分野であり、ここに並列させたなかではとりわけ重要度が高い。また、事実上は公平な競争や正常な需給によって価格の決定すらできない石油関連についても、はたして民間主導でいいのかという気もする。震災にさいして、ガソリンや灯油はどのように扱われたか?)。

 さて、ここで問題としたいのは「リストラの徹底」についてである。政府の考えているリストラ、あるいは東京電力の考えているリストラとはどのようなものなのだろうか。
 それについて具体的な案が浮上している段階ではないと思うが、あえて戒めたいのは、現場に近い、あるいは末端の労働者に矛先を向けるなということである。簡単にいえば弱いところをトカゲのシッポよろしく切り捨てるのを止めよということであり、言い換えればトップおよびより経営に近い部分からこそリストラの対象にせよということである。
 たとえば、役員報酬の全額カット(つまりタダ働きに近い奉仕を要求せよ)。経営トップの会長だの社長だのについては、これまで支払われたカネを毎月毎月働きながらかつ返金させよ。管理職の高額な(?)賞与など出せる場合ではないだろう(なにしろ赤字必至なのだ)。加えて、管理職以上に対しては退職金も保留である。そのうえで、働く場からの追放(クビ)は実施しない。もちろん一般社員についても同様だが、賞与については保留されたとしても、一連の失態を口実にした解雇などもってのほかである。まずは責任者から順に文字どおりの責任をとれということだ。もとより東京電力に限った原則論ではないが(ついでながら、国是として原発を推進してきた自民党だのの責任もお忘れなく)。

 とはいえ、たとえば原発の現場(被災復旧だけでなく、通常業務の範囲内においても)にどのような立場のひとびとが狩り出されているかを考えると、はたして「プロパー」としての同社社員というのが、どこまで“保護”されるべきなのかという疑問もある。原発に拘わらず、通常の検針や電線など設備点検と補修の類、あるいは受けつけ電話を含む顧客への直接的窓口のスタッフ……。あるいは「プロパー」があたっているのかもしれないけれど、公務員同様に学歴差別などによって不等に弱い立場に立たされているケースもママあるのではないか? いわんや下請けの類であれば……?
 なぜこんなことを記すかといえば、今後考えられるリストラにおいて、“お飾り同然”の連中よりも、現場の原動力を切り捨てることがあってはならないと考えるからだ。なかには東電スタッフとみるや罵声の類を飛ばす輩もいるようだが、(まぁ、なかには罵声のひとつでも浴びせないとどうしようもないような現場スタッフもいますがね。東電に限らず)失態の本丸がそんなところにないことを冷静に捉えてもいいのではないだろうか。

*補足:
 しかしながら……。「プロパー」と「下請け」あるいは「最前線」。そこに巣食う「階級」的差別の実態。こういう事実を知ると、社内内輪の「階級」差など取るに足らない可能性すら窺えてくるというものだ。

日当4〜50万円は大ウソーー命懸けの福島原発作業代は6650円(証拠資料アリ): 情報紙「ストレイ・ドッグ」

 あるいはまた、「ダンプ運転手」と偽って労働者を募集、福島第1原発に送り込まれている実態が明らかにされた。これは「あいりん地区」とも呼ばれる大阪西成で起きたもので、「スポーツ報知」(9日8時配信)によれば、同地の労働者が騙されて原発作業に(日当1万2000円)で放り出されていたというのである。ソース記事には「立場の弱い日雇い労働者をだまして危険な場所に送り込む行為で、許されない」というNPO法人・釜ケ崎支援機構のコメントが引用されているが、こうした労働者の危険作業を前提に「安全」だのとデッチアゲられているのが原発の正体ともいえるだろう。危険作業そのものはいまにはじまったことではないのだ。
 それにしても。これもまた「階級」的差別の実態といえる。方やのうのうと高給やら退職金稼ぎをしている連中がいるかと思えば、その搾取の源泉の実態はかくのごとしなのである。
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