4月24〜29日の日程で韓国取材に出向いてきた。よほどの大事件でもない限り、ふだんならこうした旅先で日本でのできごとに注目することはしないのだが、今回ばかりはその動向を気にせずにはいられなかった。衆院山口2区補選とガソリン税問題である。これらはそれほどの大事件なのだ。
補選は有権者の良識が示される結果となってまずはホっとさせられた。ご存じのとおり、平岡秀夫氏(民主党前職)と山本繁太郎氏(元国土交通審議官。自創推薦)との一騎討ちだった選挙戦は平岡氏が11万6348票(得票率55.2%)を獲得して制した。山本陣営は「地域活性化」を掲げて自民支持団体や創価学会を中心に選挙戦に臨んだものの、有権者の審判は手厳しかったということである。岩国のときと同様に国を挙げての兵糧作戦まで展開していたといわれるなか、“国家との争い”に住民側が勝利したのだ。300ある議席のたったひとつに過ぎないけれど、すでに死に体と化したともいえる福田政権をさらに追い込んだといっても大袈裟ではないだろう。
しかし、ここで重要政策のひとつとして無視できなかったガソリン税の暫定税率問題は自公側が再可決を強行、彼らがいかに世論を無視しているかが明らかになっている。よく口だけ木偶の福田首相をさいして「KY(空気を読めない)首相」などと揶揄されるムキがあるけれど、再三繰り返すように、こんなものは「KY」でもなんでもなく、単なる民主主義の否定であり、あえて歩調をあわせるならば「MM(民意無視)」というほうがいくらかふさわしい。なるほど、たしかにきまりごととしては憲法59条2項および4項に示されるとおりのルールに沿っているのかもしれないが、これが現・日本国憲法を破棄したい側の連中に悪用されるあたりが、この国のマヌケきわまる実態を如実に示している。まぁ、その名称とは裏腹に自由主義にも民主主義にもなんとも関係のない自由民主党にこそふさわしい遣り口とはいえるが。
ひとつの見方として、きたる洞爺湖サミットへの出席があの木偶の重大な関心事だともいわれている。したがって内閣総辞職はそれまではありえないというわけだ。なかには総辞職を通り越して解散総選挙になだれ込むというムキも推理されているようではあるが、どうあがいたところで自創政権の見通しは暗いだろう。彼らは墓穴を拡げているのである。しかし、葬る側の有権者が埋葬の手続きを依頼する組織がどうにも覚束なくみえる。現状では民主党がこれにあたる最大の力なのだろうが、たとえば白川勝彦氏のコラムを読むと、こんなレベルの対応しかできない政党がその頼みの綱なのかと思うとなんとも気が重い(「暫定税率は即日公布・施行!?」)こんなことでは、たとえつぎの総選挙で政権交替が実現したとしても、早晩元の木阿弥になってしまうのが目にみえている。さしあたり、いまはそれどころではない最悪の状態であるのだが。
ところで、韓国でもホテルによってはNHKなど日本のテレビ放送が受信できるし、安いモーテルの類でもインターネットが使えるところもあるので、こうした日本の情報を得ることはできる。しかし、山口での動向に関わらず29日ないし30日に強行再可決をすると表明されていたガソリン税関連のニュースでは奇妙な状況がみられて混乱させられた。
帰国前夜はソウル市内のビジネスホテルに部屋を取りNHKニュースをみたが、その内容は「ガソリンはいつから値上げされるか」というものであった。
「んっ? すでに裁決が強行されたのか? まだ28日じゃないか?」
そんな錯覚に陥ってしまった。
ようは再可決を前提としてそのまま受け入れたのがこうした報道だったのである。30日の「東京新聞」朝刊の1面も同様で、大見出しは「暫定税率あす復活」。しかしこれは正しくは「東京スポーツ」流に「暫定税率あす復活 か?」であり、せいぜいが「暫定税率あす復活へ」とすべきであろう。あの自創悪辣コンビのやることである。事実としてはもはや「暫定税率復活」は避けられなかったのかもしれないが、こんなささいなところからもわが国のマスメディアに欠けているものが窺えてくるようである。
たしかに、現実の問題として暫定税率が復活した場合にいつからガソリンの値上げがあるのかということは庶民レベルでも重大事のひとつである。だが、あまりにも批判精神が足りないように思える。前出の白川氏のようなアプローチはそんなマスメディアとは大きく異なる。氏はジャーナリストではなく弁護士である。この比較は、日本のジャーナリズムに対する素朴な絶望感なのだ。
ガソリン税の先にはさらに悪辣な政策が共謀中なのだが、これについては別の機会に触れてみたいと思う。
*補足:
なんでも、強行可決を「苦しい判断だった」とウソぶく木偶が、「便乗値上げがないよう監視していく」などととんでも発言をしたという(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080430-00000037-yom-pol)。ガソリンスタンド経営者のみなさんは本気で怒りをぶつけるべきであろう。これでは被害者をドロボウ呼ばわりするのとなんら変わりはない。
しかし、ここで重要政策のひとつとして無視できなかったガソリン税の暫定税率問題は自公側が再可決を強行、彼らがいかに世論を無視しているかが明らかになっている。よく口だけ木偶の福田首相をさいして「KY(空気を読めない)首相」などと揶揄されるムキがあるけれど、再三繰り返すように、こんなものは「KY」でもなんでもなく、単なる民主主義の否定であり、あえて歩調をあわせるならば「MM(民意無視)」というほうがいくらかふさわしい。なるほど、たしかにきまりごととしては憲法59条2項および4項に示されるとおりのルールに沿っているのかもしれないが、これが現・日本国憲法を破棄したい側の連中に悪用されるあたりが、この国のマヌケきわまる実態を如実に示している。まぁ、その名称とは裏腹に自由主義にも民主主義にもなんとも関係のない自由民主党にこそふさわしい遣り口とはいえるが。
ひとつの見方として、きたる洞爺湖サミットへの出席があの木偶の重大な関心事だともいわれている。したがって内閣総辞職はそれまではありえないというわけだ。なかには総辞職を通り越して解散総選挙になだれ込むというムキも推理されているようではあるが、どうあがいたところで自創政権の見通しは暗いだろう。彼らは墓穴を拡げているのである。しかし、葬る側の有権者が埋葬の手続きを依頼する組織がどうにも覚束なくみえる。現状では民主党がこれにあたる最大の力なのだろうが、たとえば白川勝彦氏のコラムを読むと、こんなレベルの対応しかできない政党がその頼みの綱なのかと思うとなんとも気が重い(「暫定税率は即日公布・施行!?」)こんなことでは、たとえつぎの総選挙で政権交替が実現したとしても、早晩元の木阿弥になってしまうのが目にみえている。さしあたり、いまはそれどころではない最悪の状態であるのだが。
ところで、韓国でもホテルによってはNHKなど日本のテレビ放送が受信できるし、安いモーテルの類でもインターネットが使えるところもあるので、こうした日本の情報を得ることはできる。しかし、山口での動向に関わらず29日ないし30日に強行再可決をすると表明されていたガソリン税関連のニュースでは奇妙な状況がみられて混乱させられた。
帰国前夜はソウル市内のビジネスホテルに部屋を取りNHKニュースをみたが、その内容は「ガソリンはいつから値上げされるか」というものであった。
「んっ? すでに裁決が強行されたのか? まだ28日じゃないか?」
そんな錯覚に陥ってしまった。
ようは再可決を前提としてそのまま受け入れたのがこうした報道だったのである。30日の「東京新聞」朝刊の1面も同様で、大見出しは「暫定税率あす復活」。しかしこれは正しくは「東京スポーツ」流に「暫定税率あす復活 か?」であり、せいぜいが「暫定税率あす復活へ」とすべきであろう。あの自創悪辣コンビのやることである。事実としてはもはや「暫定税率復活」は避けられなかったのかもしれないが、こんなささいなところからもわが国のマスメディアに欠けているものが窺えてくるようである。
たしかに、現実の問題として暫定税率が復活した場合にいつからガソリンの値上げがあるのかということは庶民レベルでも重大事のひとつである。だが、あまりにも批判精神が足りないように思える。前出の白川氏のようなアプローチはそんなマスメディアとは大きく異なる。氏はジャーナリストではなく弁護士である。この比較は、日本のジャーナリズムに対する素朴な絶望感なのだ。
ガソリン税の先にはさらに悪辣な政策が共謀中なのだが、これについては別の機会に触れてみたいと思う。
*補足:
なんでも、強行可決を「苦しい判断だった」とウソぶく木偶が、「便乗値上げがないよう監視していく」などととんでも発言をしたという(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080430-00000037-yom-pol)。ガソリンスタンド経営者のみなさんは本気で怒りをぶつけるべきであろう。これでは被害者をドロボウ呼ばわりするのとなんら変わりはない。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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