大阪のダブル選挙結果についてはスルーするつもりであった。選挙結果は選挙結果。どうであろうとそれが“民意”であることは否定できないであろうからだ。これには、イヌやネコに文句を言ったところで仕方がないというのとほぼ同じセンスをも含まれるが、しかし、その結果が生み出す結果についてを慮ると、黙っているのもどうかという気がしないでもない。
橋下派の主張のなかには、見方によっては斬新なものがないわけではないし、条件つきにせよいくばくかの賛意を示せる部分がないわけでもない。しかも若いうえに“実行力”があることも認めないわけにはいかないだろう。だが、橋下流の実行とは暴走と紙一重であり、大いなる危険性をはらむとみる。加えて、今般の選挙で集められた“民意”の正体こそがじつはまやかしにすぎないことを指摘しておくべきであろう。
橋下流の実行術。これはある意味、石原のおとっつぁんすらしのぐ独裁であり、およそ寛容性とかけ離れているあたりは北朝鮮当局のそれと極めて近い。自らの意に反する者を容赦なく粛正するあたりはさしづめミニジョンイルといったところだが、厄介なのは、たくみに弁を弄して大衆を見方につけているところにある。つまり、大衆の不平不満とそこに漂うある種の錯覚を利用し、その矛先を橋下自らの敵対者に向けさせているのである。言い換えれば“敵”のでっちあげだ。すべてがそうとまではいえないにせよ、その手法は北朝鮮金王朝のやりくちに極めて近い。
これについては当ブログの「東がコレなら西はアレの巻」でも触れたが、いまいちどその比較のためにも同書『ソウルと平壌』から別の個所を引用してみよう。
あるいは以下のような報告はどうか。
はたせるかな、われらが橋下サンは当選後の記者会見でこうぶちあげた。
「民意を無視する職員は市役所から去ってもらう」
「東京新聞」はこれを「宣戦布告」と表現したが、問題はここでいう“民意”というのがそのままイコールで橋下思想でしかないところにある。強制収容所送りや死罪にしないだけの話で、その思想は金王朝そのまんまではないか。
加えて、前項で「厄介なのは」と記したのは、金王朝がはなから軍を背景とした強圧政治で民衆をおさえつけたのに対し、橋下流のそれがその話術を含む演出によって大衆を誘導したからである。つまり、思想の本流は金王朝に親和性を持つが、実行に至る手腕は同じ独裁者でもヒトラーおよびナチスのそれに準じているといえるだろう。本当は“敵”かどうかもわからない者をまんまと敵として仕立て上げ、大衆の関心を誘う。しかも出口のみえない不況下にあって、そうした手腕が当時のドイツと同様に極めて有効に働いたのだ。大阪府民やその他の橋下支持者がいつ“我に返る”かはわからないが、やがてその失敗を顧みる事態にならないことを祈るばかりである。
それにしても残念というか仰天したのが、かつてコイズミスネオ政権と真っ向から対峙した天木直人氏が橋下派に「期待を寄せて」いることである。氏のブログを読むと、橋下流のマスコミ誘導術にまんまと騙されたのかとも感じられるが、あんなものに感心できるのであればコイズミスネオにだって感心できたハズである。期待を寄せることができたハズである。両者の手法は極めて近いうえに、その寛容なき独裁ぶりや右翼思想もまたしかりだからだ。天木氏は憲法第9条の遵守などを橋下派に求めているが、これはいかに橋下派の本質から目を背けているかの証明である(「橋下は公務員や労働組合とどんなに激しく闘っても構わない」などとも記しているが、これこそが橋下流誘導術に騙された好例となろう。ついでにいえば、橋下派が圧倒的権力をもったいま、激しかろうかそうでなかろうか、もはや民主的・公平な「闘い」などはありえない)。天木氏に対してはリスペクトする部分も多々あるだけに残念だというほかはない(とはいえ、それが危ういものであることはとうのむかしに見抜いていたからこそ、当ブログでもほんとんど引用や紹介をしなくなっていた)。
一方、コイズミスネオとの比較という点で、森田実氏がつぎのような論評を発している点が目を惹いた。
引用した森田氏の論評には、偶然にして「東京新聞」の記事が引用されている。それはそれとして、注目すべき見方だとはいえないだろうか。また、別日には「政党が自己改革できなければ、極端な「向こうみず」にリードされる無党派層が国政を変える大潮流になるおそれがある。「極端」から「極端」へと時代は動く。
私は、政治において独裁主義的傾向をもったヒトラー型のカリスマ的指導者とマスコミとの結託ほど危険なものはないと考えている。ヒトラー型カリスマ的リーダーとマスコミが結託すれば、無党派層は極端に向かって動く。」
とも警告を発している。そういう意味においても、今般の合法的大阪クーデターは、わが国全体が内包する崩壊への危険性を垣間見せているようにも思うのである。楽観は危険だ。
橋下流の実行術。これはある意味、石原のおとっつぁんすらしのぐ独裁であり、およそ寛容性とかけ離れているあたりは北朝鮮当局のそれと極めて近い。自らの意に反する者を容赦なく粛正するあたりはさしづめミニジョンイルといったところだが、厄介なのは、たくみに弁を弄して大衆を見方につけているところにある。つまり、大衆の不平不満とそこに漂うある種の錯覚を利用し、その矛先を橋下自らの敵対者に向けさせているのである。言い換えれば“敵”のでっちあげだ。すべてがそうとまではいえないにせよ、その手法は北朝鮮金王朝のやりくちに極めて近い。
これについては当ブログの「東がコレなら西はアレの巻」でも触れたが、いまいちどその比較のためにも同書『ソウルと平壌』から別の個所を引用してみよう。
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あるいは以下のような報告はどうか。
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はたせるかな、われらが橋下サンは当選後の記者会見でこうぶちあげた。
「民意を無視する職員は市役所から去ってもらう」
「東京新聞」はこれを「宣戦布告」と表現したが、問題はここでいう“民意”というのがそのままイコールで橋下思想でしかないところにある。強制収容所送りや死罪にしないだけの話で、その思想は金王朝そのまんまではないか。
加えて、前項で「厄介なのは」と記したのは、金王朝がはなから軍を背景とした強圧政治で民衆をおさえつけたのに対し、橋下流のそれがその話術を含む演出によって大衆を誘導したからである。つまり、思想の本流は金王朝に親和性を持つが、実行に至る手腕は同じ独裁者でもヒトラーおよびナチスのそれに準じているといえるだろう。本当は“敵”かどうかもわからない者をまんまと敵として仕立て上げ、大衆の関心を誘う。しかも出口のみえない不況下にあって、そうした手腕が当時のドイツと同様に極めて有効に働いたのだ。大阪府民やその他の橋下支持者がいつ“我に返る”かはわからないが、やがてその失敗を顧みる事態にならないことを祈るばかりである。
それにしても残念というか仰天したのが、かつてコイズミスネオ政権と真っ向から対峙した天木直人氏が橋下派に「期待を寄せて」いることである。氏のブログを読むと、橋下流のマスコミ誘導術にまんまと騙されたのかとも感じられるが、あんなものに感心できるのであればコイズミスネオにだって感心できたハズである。期待を寄せることができたハズである。両者の手法は極めて近いうえに、その寛容なき独裁ぶりや右翼思想もまたしかりだからだ。天木氏は憲法第9条の遵守などを橋下派に求めているが、これはいかに橋下派の本質から目を背けているかの証明である(「橋下は公務員や労働組合とどんなに激しく闘っても構わない」などとも記しているが、これこそが橋下流誘導術に騙された好例となろう。ついでにいえば、橋下派が圧倒的権力をもったいま、激しかろうかそうでなかろうか、もはや民主的・公平な「闘い」などはありえない)。天木氏に対してはリスペクトする部分も多々あるだけに残念だというほかはない(とはいえ、それが危ういものであることはとうのむかしに見抜いていたからこそ、当ブログでもほんとんど引用や紹介をしなくなっていた)。
一方、コイズミスネオとの比較という点で、森田実氏がつぎのような論評を発している点が目を惹いた。
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引用した森田氏の論評には、偶然にして「東京新聞」の記事が引用されている。それはそれとして、注目すべき見方だとはいえないだろうか。また、別日には「政党が自己改革できなければ、極端な「向こうみず」にリードされる無党派層が国政を変える大潮流になるおそれがある。「極端」から「極端」へと時代は動く。
私は、政治において独裁主義的傾向をもったヒトラー型のカリスマ的指導者とマスコミとの結託ほど危険なものはないと考えている。ヒトラー型カリスマ的リーダーとマスコミが結託すれば、無党派層は極端に向かって動く。」
とも警告を発している。そういう意味においても、今般の合法的大阪クーデターは、わが国全体が内包する崩壊への危険性を垣間見せているようにも思うのである。楽観は危険だ。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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