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猫池罵詈雑言雑記帳
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 個人的な話、あまりよくないクセがあって、ベッドに寝転がって本を読むことがよくある。したがって、ベッドの枕元には本が山積み。内容はさまざまで、マンガから小説、ルポルタージュ、エッセイ集、それもジャンルわけができないほどにバラバラな傾向である。なかには繰り返し目を通している本もあれば、読んだままなんとなく放置されている場合もあるが、そうしたなかから気ままに手に取り直して再読するのもまた楽しいものである。当然ながら、再読することによって新たに気がついたり思い出したりすることも出てくるわけだ。
 昨夜はこんな記述が目に止まった。

『ニューヨーク=タイムズ』や『ワシントン=ポスト』は実に立派な報道をすることがある(たとえばキューバへの逆侵攻事件暴露など)けれど、アメリカ合州国の体制の根幹にかかわるような報道はしません。ベトナム戦争の舞台裏暴露や、ウォーター=ゲート事件でジョンソンやニクソンをいくら追いつめても、そうしった大統領個人の裏にある巨大財閥や多国籍企業(ロッキードよりもモルガンやロックフェラー)の戦争との関係を追求までは手を出さないのです。
──「地域新聞と地域体制の関係」(『職業としてのジャーナリスト』本多勝一/朝日文庫に所収)


 本多氏のこの一文の初出は1978年(「世界」78年3月号)である。それから35年近い年月が経っているが、ここで指摘されているマスコミの体質はいまなお強行に貫かれていることはいうまでもないだろう。もとより、こんなことはいくらかでもマトモにアタマを働かせればだれにもわかることであり、おそらくは当時よりはその正体を見抜いているひとの割合は多いに違いない。

 以前、当ブログの「東電は訴訟を起こせの巻」で、原発事故に関係するすべてについて、電力会社とともに原発メーカーもまた責任を逃れえないであろうことを指摘しておいた。原発関連報道(事故を起こした福島第1に限らない)では、いちおうは各電力会社がその矢面に置かれる形で、つぎに与党をはじめとする行政側の不手際などが俎上に挙げられがちだが、その一方で原発メーカーに対する責任問題が取り上げられている機会は驚くほど少ない。本多氏の指摘が、いままさにこうして引き継がれていることの証明とはいえないだろうか。
 ここにきて、はなはだ不十分かつ疑問だらけではあるにせよ、行政側が具体的な賠償・補償について提案をはじめた。現実に被災して物心ともに苦しているひとびとにとっては一刻を争う切実な問題だとは思うし、なんのかんのと言う前にまずは具体的な救済策を取らなければならないのはいうまでもない。だが、ここでもその“真犯人”あるいは“主犯格”の姿がみえてこないのはどういうワケなのだろう。
 カネとゴマカシをもって原発を強行に推進してきた国および高“給”官僚(*注)や政党らの責任の重大さはいうに及ばないが、ではさて、こうして提案されている賠償や補償の財源はいったいどこにあるというのか。つまりは、形としてはいちおうは行政側がその責任について歩み寄ったかのようにふるまっているけれど、そのじつ、“主犯一味”としての東京電力はともかく、その“共犯者”についてはなんら責任が求められていないのである。したがって、報道上には行政や東電、与党政治家らの名前こそ挙っても、事件の背景として無視できないハズの原発メーカーの姿が浮かび上がってこないことになる。

 以前の記事の繰り返しになるが、国策としての原発推進の真の受益者は原発メーカーである。電力会社は“共犯”には違いないとはいえ、主従関係からみれば手先にすぎないと強弁することもできるかもしれないが、そんな連中の利益のために、原発由来の電力を否応なしに使わされているのがわれわれ庶民だ。原発がなくなると電力が足らないなどと主張するムキはあるけれど、そもそもがわれわれの側が望んだワケではないのである。そういう図式だからこそ、原発輸出が国策として取りざたされているのではないのか(最近になって、韓国が新たな原発建設をスタートさせたことが報じられたが、そこでも「原発輸出」が国是として謳われている)。事件報道の裏でほくそ笑んでいる連中を見逃してはならない。

 興味を惹くのは、たとえば「東京新聞」は比較的積極的に原発関連報道を繰り広げており、一部ではそのために広告収入に悪影響が出ているとのウワサもあるほどなのだが(事実はどうかはわからないが)、その反面、原発メーカーに対しての矛先がほとんどみえてこないことである。これなどは、さきに引用した本多氏の弁がそのままあてはまりはしまいか? 公共放送としてのNHKも然りだが、ほかの大手マスコミについては推して知るべしであろう。

■注:
 さきごろ、橋下政権下の大阪市で、市営バスの運転手が800万円もの月給をもらっているのがケシカランのごとくの報道がみられた。庶民的感覚からすれば「ずいぶんとうらやましい給料」ではあるし、公務員として妥当な給与なのかどうかという疑問が起きてくるのもわからないではない。だが、気になったのはこの800万円が事実だとして、それは本当に大問題だろうかということである。こうした騒ぎの陰には、いじめの論理とそれを利用する橋下流デッチアゲ術があるとみているが、あえてハッキリ記せば、騒いでいるひとびとのなかに「たかがバスの運転手風情が」という奢り高ぶりがないと言い切れるのだろうかと思う。もちろん、公務員の給料として不適正であれば正すのは常識だし納税者の権利ではあるが、どうにもスケーブコートのニオイがプンプンと漂ってくる。敵をでっちあげて大衆を煽動するというファシストの論理。そうした騒ぎが、本丸に届けばそれはそれでいい。しかし、バスの運転手などとはケタ違いのカネを濡れ手に粟している連中(たとえば高“給”官僚の年収はいかほどか? あるいは退職金は? それもヘタをすれば1年おきにでも手中に収めてゆく退職金とはなんぞや?)にまではけっして累が及ばないのがこのテの煽動であり、それどころかそれこそがその狙いなのである。
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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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