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猫池罵詈雑言雑記帳
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「東京新聞」11月25日朝刊。総合面に「自民、参加前提に傾く」というカコミ記事があった。内容は、「次期衆院選で政権奪還」する場合を想定して、TPP参加を前提にした党内議論を再開するというものである(ついでながら、「東京」ではTPPを「環大平洋提携協定」と正しく邦訳している)。

 自民党とはなんぞやと問いかけるまでもなく、彼らがTPPに賛成するであろうことは、容易に理解できるというものだが、この記事が目に止まったのはその小見出しにある「現実路線」という句があったからだ。
 いわく「政権奪還にらみ現実路線」。
 本文とみると、「反対、反対と言っても必ず歴史は繰り返すので、同じようなことになる」という同党石原伸晃幹事長の弁を引き合いに出しつつ「交渉参加に向かう現状は容認せざるを得ないとの考えを強めている」としている。しかし「現実路線」、あるいはここで言う“現実”とはいったいなんなのか?

 アメリカ合州国による侵略がもはや防ぎようがないので、さっさと白旗を揚げて降参するしかないという敗北宣言こそを“現実”としているとしか思えないのだが、そういうのをまさに逆立ちした論理とはいわないだろうか。一外国だけの都合による一方的要求を飲む。そんな売国行為をさして“現実”だというのが自民党執行部の思想であり常識であり政策なのである。記事によれば「国益をどう守るかという観点で議論すべきだ」という谷垣禎一総裁の弁も引用されているが、まさに白を黒と言い含めるがごとしで、そんな低レベルの詭弁が通用すると勘違いしているところにも自民党の正体が顕われているともいえるだろう(逆にいえば、まさにそういうセンスで周辺諸国を侵略してきたのがかつての大日本帝国だった。祖国に対しても同様のセンスとは、したがって、戦後に続く諸外国の怒りなどを理解できるワケがないということになる)。
 記事では「現実路線」と「」づきにしていることから、その意味を汲んでいることを窺わせなくもないが、日本における“現実”とは、党派を超えてTPPに対する疑問や反対の声がわきおこっているということであり、アメリカ合州国の要求を飲むこととはまったくの正反対である。そんなことを咀嚼する能力すらない自民党。こんなのが「次期衆院選で政権奪還」を目論んでいるとは、わが国にとって滅亡への入口がいよいよ“現実”味を帯びてきたということかもしれない。だがまだ妄想の段階である。なにが現実なのかを骨の髄まで思い知らせてやるためにも、われわれ庶民こそがまず自らの現実を見つめ、誇りを持つべきではないだろうか。

 ところで、同日の同紙には、もうひとつ逆立ちした現実がリポートされていて面白い。最終面に掲載された「首都騒然!? 地名ローマ字バラバラ」がそれで、ようはヘボン式と日本式、訓令式それぞれが街中の地名表記に混在しているという報告である。
 この話題。友人の作曲家Tと会うと必ずといっていいほど飛び出すのだが、つまりは「し」が「si」なのか「shi」なのか、あるいは「つ」が「tu」なのか「tsu」なのかといった類の話であり、いうまでもなくわが国の役所や鉄道会社などはヘボン式の「shin」や「tsu」をもっぱら採用している。しかし、はたして日本語の「つ」に「S」の要素はあるのか。あるいは「し」に「H」は必要なのか。「たちつてと」の「ち」をヘボン式では「chi」と現わすけれど、なぜ「ti」ではいけないのか。そんな疑問にとらわれることはないだろうか?

 ごく簡単にいえば、ヘボン式というのはイギリス人のヘボンさんがイギリス語を母語とするひとにとって発音しやすいようにつくった日本語のローマ字表記である。たとえば「hu」は英語を母語とする「ヒュー」になりかねず、「ふ」に対しては「fu」のほうが発音しやすいらしい(しかし日本語の「ふ」と英語の「fu」とでは母音も子音も大きく異なる)。だが、そうしたヘボン式で書かれている日本語は、たとえばフランス人にとっては発音しやすいのだろうか。イタリア人にとってはどうか、ハンガリー人にとっては、中国人にとっては、韓国人にとっては……と常々疑問に思っているのだが、考えようによってはこれほど植民地根性にまみれた逆立ち表記もないといえるだろう。
 中国ではもちろん中国式のローマ字があてられているし、韓国でも自国の公用語に沿った表記がいちおうは採用されている。たとえば地名であれば、「釜山(プサン)」は「Busan」であり、英語を母語とすれば「ブサン」としか読みようがない。ほかにも「大邱(テグ)」の「Daegu」、「済州(チェジュ)」の「Jeju」などいくらでもある。これは韓国語の発音習慣と表記とのギャップも関係しているのだが、それにしたって知らなければ「デグ」や「ジェジュ」としか発音しないに違いない。それで不便があるのかどうかまではわからないが、指摘しておきたいのは、あくまで自国方式を踏襲しているという点なのである(一方で、古くからあった独自のローマ字表記──釜山・Pusanなど──をパソコンの普及に合わせて改変したということもあったが)。なぜ日本は一外国語である米英語のみを優遇するのだろうか。国際的つきあいということからすれば、まさに逆立ち中の逆立ちといえるのではないかと思うのだが。

 ちなみにいえば、小学校のときローマ字の授業では日本式が取り入れられていた。ところが街をみればヘボン式が幅を利かせており、しかも子どもゴコロに「カッコよく」みえたものだから、オレ自身はヘボン式を率先して覚えたものだった。なにしろCやJなど授業とは異なる文字や表記があって、そんなあたりの興味もわく。が、長じてからは基本的に日本式に戻してしまった。唯一の例外は、パソコンのキーボードを打つときの「ちょ」を「tyo」ではなく「cho」とするあたりだけだが、これは単にキーの位置などから後者のほうがやりやすいという理由による(ついでながら、「つ」を「tsu」とタイプするひとがいるのを知って仰天したことがある。馴れの問題が大きいとしても、わざわざ作業を増やしていることに気がつかないのだろうか?)。

 ところで、友人Tとの間には、たとえば「つ」は母音「う」をきちんと発音した「つ」なのだろうかといった話題がのぼる。ひとつひとつ区切って「た・ち・つ・て・と」とゆっくり発音すればたしかに母音が強調されはするけれど、日常的会話の「つ」ということになるとはたしてどうかとTが言うのである。さらにここではいわゆる“標準語”を取り上げているが、全国各地の生活語(一般的にいう方言)がどこもかしこもあてはまるという保障もない(*注)。したがって、いかにローマ字化しようともどこかにギャップがあってもおかしくはないともいえそうだが、ということであればなおのこと米英語のみを優遇する必要はない。

 件の記事ではそこまは踏み込んでいないが、ひとつ疑問に感じられたのは国立国語研究所の山田貞雄氏によるつぎのコメントである。
「日本語が持つあいまいさを許す文化が(以下略)」
 たしかにさまざま混在しているのは「あいまい」かもしれないが、それは日本語だからといえる現象だろうか? 日本語には「あいまい」な表現はあるだろうけれど、では英語ではどうか? いちいち例を挙げないが、そんな「あいまい」さなど諸言語それぞれにあるハズだ。そんな印象批評的「あいまい」な論を研究者(?)ともあろうお方が述べてはならないと思うのだが、これもまたある種の逆立ち現象なのであろう……。

■注
 最近になって興味を惹いたのは、ハングル文字の「つ」である。一般的に韓国人は「たちつてと」の発音が苦手だといわれるが、たしかに「つ」の表記には若干の工夫がみられる。「츠」と「쯔」のおおむね2種類で、前者はスポーツ(스포츠)などの表記でみられ、後者は日本語の松「마쯔」のような表記にあてられている。現地で双方を発音してもらったところ、後者のほうが日本語の「つ」により近い感じはしたが、それだって全国一律にそうだとは言い切れないだろう。しかし面白いのは、その母音「ㅡ」なのである。韓国語の「う」にあたる母音は「ㅜ」「ㅡ」があるが、たとえば牛が「우시」であるように原則としては「ㅜ」が用いられている。ところが「つ」では「쯔」であり、友人Tの説ががぜん説得力を増してくる。ちなみにローマ字転記すると、「우」は「U」、「으」は「EU」である。
 ほかにも「ん」に対する「ㄴ(N)」や「ㅇ(NG)」の日本語の対比などもあり興味を惹いているところなので、この話題はいずれまた取り上げてみたい。
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