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猫池罵詈雑言雑記帳
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 サッカーJリーグの試合会場において、外国人選手に対しサポーターからの差別的中傷発言があったらしいという報道があった。
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/sports/n_jleague__20100518_8/story/20100518_yol_oyt1t00868/

 リンク記事(ヨミウリ・5月18日配信)によれば、15日に開催されたJ1・仙台—浦和戦(宮城)で、試合終了後に浦和のサポーターが仙台の選手に対して国籍に関する中傷をしたとみられると仙台のクラブ関係者がJリーグに報告したという。これを受けたJリーグ側は、中傷した人物の特定を求めるとともに、「中身によっては、それなりの処置をしなければならない」(鬼武健二チェアマン)と厳罰を臭わせているらしい。
 いうまでもなく、国際サッカー連盟(FIFA)では人種や民族、国籍などに関する差別に対し厳しい対処をとっており、こうした疑いが生じたさいには念入りな調査が実施され、事実が認められれば試合会場への立ち入り禁止など相応の処罰を下している。逆にいえば、いまなおそうした差別がはびこっていることを示すともいえそうだが、これはサッカーの世界のみの話ではもちろんない。だが、そうしたひとつひとつの差別を見逃さずに対処してゆくという姿勢からは、とにもかくにも「差別はいかんのだ」という意志が伝わってくる。
 今回のケースに拘わらず、“差別発言”をした側にしても、あるいは「ついうっかり」口をついてしまったのであり、顕著な差別意識が必ずしもない可能性はあるかもしれない。しかし、仮にそうだとしても事実の証明と厳罰は至極当然である。あからさまな悪意があればもちろんだが、発言者本人が確固たる差別意識を自覚していないとしても同様だ。むしろ自覚なき差別のほうがより深刻な問題ともいえるだろう。差別された側にとっての差別という問題もあるが、自覚の薄い差別の裏側には、より根強い差別意識が健在しているともみられるからだ。口がすべったの類で済む問題ではない。

 このJリーグの事件がどのように収拾されるかは今後の報道を待ちたいが、報道に接していみじくも連想されたのが毎度おなじみの石原慎太郎大先生である。つい先ごろ公式の場で(毎度のごとく)ぶった国籍差別発言については、当ブログですでに触れた(「続・永久追放を求めますっ!!の巻」)。Jリーグで問題にされているものと同種の差別発言事件である(今回の件についてはまだ詳らかにはなっていないが、人種・民族・国籍に絡む差別としてはひとならびにできるだろう)。ところが、方やJリーグが事実関係の調査および事実であった場合の厳罰を示唆しているのに対し、東京都ときたら、いちおうは追求が形としてはされたものの、発言者・石原慎太郎を罰するという気配ひとつないのだからわけがわからない。
 石原慎太郎という男の差別意識および自己を中心とする根拠なき優越意識(裸の王様あるいは斉藤貴男氏が指摘する「小皇帝」的センス)についてはいまさら述べるまでもないと思うが、そのテの人間ならどこの世界にも山ほどいることも事実であろう。そのうえでのより大きな問題は、彼が東京都知事というれっきとした公人であり、そんな立場にある者がたびたびのように問題発言(発言だけならいいが、なまじ権力を手にしているばかりに実行に出るあたりにも害悪がある)を繰り返し、にも拘わらずなんら処分されずに済むという日本のセンスである。処分どころか、いったいぜんたい、あの男が何年にわたって都知事という要職にあるのか……。JリーグやFIFAは任意組織に過ぎないが、そうした民間組織が組織を挙げて差別撲滅に取組んでいるというのに、このていたらくはなんと説明できるというのだろう。ひとりのサッカー選手、あるいはファンと比べても仕方のないことだが(差別される側からは同等だという意味において)、それにしたってどちらのほうが差別発言者としてより悪質かつ影響を持つかということはいえるのではないだろうか。

 ところで、こんな発言も騒ぎになっているようだ。
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/business/n_softbank__20100518_4/story/18fujizak20100518017/

 すごいですね。大企業の社長(ソフトバンク・孫正義社長)が公の場で脅迫発言とは……。
 なんでも、総務省が携帯電話向けにある種の規制を検討しているのに対し、
「フィルタリングによってツイッターを18歳未満の人が使えなくなるなんて言うのは、人々のコミュニケーション革命や神に対するぼうとくだ。そんなことを政府がするなら、私は総務省にガソリンを持って行って火をつけます。犯罪予告です」(孫社長・リンク記事)
 とぶったというのだから穏やかではない(この規制そのものについては別の機会にゆずる)。当然のごとく問題発言として騒ぎを呼び起こし、社長自らが「完全な冗談です。不適切発言お詫びします」とネット上で「つぶやいた」という。バカな男もいたもんだ。

 さて、こうしたネット上での問題発言に対し、それ相応に厳しい対処を警察がとっているのはよく知られていることであろう。掲示板などでの「いたずら」の類であろうとも、発信者を念入りに追跡し摘発している。今回の場合はどうか。なにしろ発言者自らが「犯罪予告」ですと断じているのだ。それも放火である。仮に実行され、死者のひとりでも出た日には死刑の前例すらある凶悪犯罪になってしまうが、そんなおそろしいことを「犯罪予告」した男に対し、脅迫罪や威力妨害の類が適用されないとはとても思えず、数々の前例や慣例に従うならば、早々に逮捕・立件しなければ、ほかの事件とのバランスを著しく欠くことになってしまう。総務省側は、なにをさておいても被害届を出すべきであろう(あるいは公判中の事件があれば、これをタテに被告を弁護したってよさそうだ)。仮に出さない、あるいは警察としても放置するようなことがあれば、双方ともその納得できる理由を示すべきだが、そのためにも草の根からこうしたこの発言を弾劾すべきではないだろうかとも思う。

 石原某にしろ孫某にしろ、もし彼らがこのまま糾弾されることがないとしたらどうか。ひとつの見方としては、権力を手にしさえすればたいていのことが許されるということになりはしないか。そうして、そんなセンスを前例として積み重ねてゆくのが日本という国なのかもしれない。こういう社会的な矛盾というのは、子ども(や若者)たちにはどのように映っているのかな? ひとことでいえば、とても教育によろしくないと思うのだが……。
 
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