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猫池罵詈雑言雑記帳
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 ウッカリ失念していたが、上海万博をめぐって目を惹いた記事があった。
 上海万博会場で日本が出展したパビリオン「日本館」において、“日の丸”の掲出が見送られたという雑報である。これは5月1日にヨミウリが配信したもので(※http://news.www.infoseek.co.jp/topics/world/n_expo2010__20100501_11/story/20100501_yol_oyt1t00433/…ただしすでにリンク切れ)、記事によれば(担当者レベルで?)「反日感情に配慮した措置と見られ」ているという。

 こうした会場での“国旗”掲出がスタンダードなのかどうかはわかりかねるが、同記事に「多くの国のパビリオンが国旗を掲げる中」とあることから、おそらくは掲出されるほうが一般的なのであろう。しかし仮にそうでなかったとしても、こうした「掲出の自粛」そのものは、わが国のスタンダードとして、きわめて異例かつ異常な事態といえるのではないだろうか?

 個人的には、“日の丸”そのものにはなんら感慨は湧かず、諸行事において「国旗掲揚」があっても無視を決め込んでいる(邪魔をするつもりもないが)。祖国に対する愛着なら、もっとほかで感じるさ。逆に、日の丸を尊ぶのも個人の自由というものだが、いずれに立場にあろうとも、この旗をめぐって意見が対立しているのを否定することはできないだろう。断っておくが、中国など外国との話ではなく日本国内での事実である。
 ところが、わが国におけるさまざまな行事の場において、日の丸の掲揚と君が代の斉唱はなかば強制されている。とりわけ学校教育の場が顕著で、たとえ反対の意志があろうとも国家権力やあるいは陰湿な締め出しの類によって、その弾圧がより強化されつつあり、その関心を集めている状況ではないか。あえて意志を通そうとすれば、なんのかんのといいがかりをつけられた挙げ句に失職、それを司法に訴えたところで、なんら解決にならないというのが日本という“民主国家”なのである。日の丸(および君が代)に国家的権威を持たせたい側による一方的な強制。それも巧妙に強制を合法化しながら逆の立場を封じこめているのだから、なんともタチが悪いといえるだろう。

 これほどの強制を、ほかならぬ自国内、自国民に施していながら、なぜ上海での日の丸掲出自粛に対する「おとがめ」の類がないのか? わが国の首都で反対意見の弾圧を指揮している石原のおとっつぁんだのがどのように思っているかはわからないが、どうにもバランスが取れないではないか、自国民に対するそれとの。ヨミウリが憶測しているとおり「反日感情に配慮した措置」ならばそれはそれで結構だが、ではなぜ国内における「反日の丸感情」に配慮しない?
 誤解されては困るが、なにも万博会場で日の丸を揚げよと言っているのではない。そこであえて揚げなかったセンスを、どうして自国民に対して持てないのかということを指摘したいのである。さらには、「(中国では)、日の丸が軍国主義の象徴と受け止められる傾向が強い」とあっさり片づけ、しかも「中国では抗日戦争を題材にしたテレビ番組が頻繁に放映されており」と、あたかも反日感情の原因が中国こそにあるかのごとき理由をづけをしたうえで背景とするヨミウリの神経も疑いたくなる。中国における反日プロパガンダの類が盛んなのは事実かもしれないが、彼らの反日・抗日感情の背景がそんなレベルで説明できるハズはないではないか(仮に、ここに「なぜ胸を張って掲揚しない!」とでもぶってあれば、いかにもヨミウリらしい視点としてほめてあげたいところではあったが。ついでにいえば、従米プロパガンダも盛んですな。ヨミウリを筆頭とするわが国のマスメディアでは)。

 興味深いのは、「政治にかかわることがないよう展示内容には気を使った」と同記事が伝える「日本産業館」スタッフのコメントであろう。そう、国旗掲揚やそれをめぐる問題はきわめて政治的なのだ。したがって、いやしくも民主主義の先進国なのであれば、対立する意見の片方だけを国家が擁護する日本の国は、なんとも逆立ちした国家だといわざるをえないのである。単なる「配慮」で済む問題ではない。
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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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