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猫池罵詈雑言雑記帳
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 もはや理解の範疇を超えていると思った。
 北朝鮮当局による一連の挑発行為。そしてそれを指揮する金正恩そのものがである。

 金正恩が常軌を逸しているのは疑いようもないと考えるが、ここにきて、一連の行為については、その度合はともかく、なんらかの“出来レース”的な力が働いているのではないかと疑いを持ちたくなってきた。
 推理小説ではないが、この騒ぎで「もっとも利益を得ているのは何者なのか?」という疑問がアタマから離れないのである。

 そんななか興味深いのは、「敵」として北朝鮮から公言されているアメリカ合州国が意外と思えるほどに冷静な態度を見せていることだ。“大将”トランプこそ威勢のいい出任せを放言していたりするものの、母体となる共和党内部や財界からさえ、それをたしなめる様子が窺える。これは、イラクをはじめとする中東問題などと比べると異例ともいえる冷静さであり、だからこそそこになんらかの狙いがあるのではないかという疑念が生じてくる。

金日成・金正日父子体制の崩壊もまた必定である。(中略)今年(八九年)七十七歳で金日成が死亡し、息子正日に権力が移されたときが危機の始まりというのは、専門家のほぼ一致した見方である。(中略)
 しかし、そうかんたんでないことをさとったのは、一九九〇年九月二十八日のことである。この日、自民党の金丸信、社会党の田辺誠、朝鮮労働党の金日成の三氏による三党共同声明が発表されたのである。
 このニュースを私は滞在中のワシントンできいた。そのとき直観したのは、溺れる金日成に浮袋を投げ与えたということだった。そして、これで金日成政権の崩壊はさしあたりない、と判断した。日本の支配者たちは、朝鮮半島の危機のさいにはきわめす素早く動くということもまた目のあたりにした思いだった。(中略)
 かつて韓国の政情が危機的だった一九六一年ごろ、朴軍事政権を助けるために日本は、日韓条約の締結のためにす早く動いた。こんどは北の崩壊をくいとめるためのテコ入れである。朝鮮半島は分断してくれていれ日本は安泰ということか。(『ソウルと平壌』萩原遼・文春文庫/292~293ページ。太線は当ブログ筆者による)

 ちょっと長い引用をしたが、久々に本書を読み返してみて、わが国のセンスになんら進歩がないという実感を得た。
 引用箇所では触れられていないが、アメリカ合州国もまた同じ穴のムジナ・・・というより、むしろ実質的な主役であろう。もちろん中華人民共和国やロシアを無視するわけにはいかないにせよ、それぞれが「安泰」を狙ってきたからこそ、昨今の事態へと発展しているという見方は穿ちすぎであろうか?

 そんななか、わが国ではこんな事態になっている。
過去最大の軍事費 来年度概算要求 「ミサイル防衛」大幅増(「しんぶん赤旗」2017年9月1日)

 いわゆる軍需産業にはわが国の企業も関わっているが、最大のセールス元はアメリカ合州国である。この軍事費大幅増のタテマエが北朝鮮対策とだけはいわないが、少なくとも軍需産業にとっては「ウハウハ」であり、もっといえば「北朝鮮様様」といったところであろう(いうまでもなく、沖縄をはじめとするわが国への米軍の駐留や韓国への駐留および軍需セールスに対するこのうえない材料となっている)。

 逆にいえば、北朝鮮の現体制が(アメリカ合州国およびその子分による軍事行動なしに)崩壊してしまえば、軍需産業にとってはイベントリスク的な打撃を受けることにもなりかねないのではないか? 言い換えると、北朝鮮がああした特殊な国家として成立し、小競り合いにもならないイベントを繰り返してくれているほうが、彼らにとっては利益になるということになろう。アメリカ合州国の冷静さの裏には、そんなホンネがあると見る。

 一部の報道によれば、「予告なし」と大々的に報じられた今回のミサイル発射について、安倍真理教本部および教祖・安倍尊師がつかんでいたという話もある。北朝鮮当局を擁護するつもりはまったくないが、わが国の為政者らが本気でこの問題を危機として捉えているのだろうかという疑念が、どうしてもぬぐえないのである(この点での危機意識の欠如は、先代の防衛大臣にあのくだらない女史を据えていたことからも窺えよう)。


■おまけ1:
 こんなネット記事も目に留まった。
島田雅彦のツイッターが「大炎上」 「金正恩に小遣いやって日本を射程から外してもらう」
(J-CASTニュース / 2017年9月1日)

 リンク記事によれば、小説家の島田雅彦氏がツイッターにこんな投稿としたという。

PAC3に116億、Jアラートに92億を払うより、金正恩に小遣いやって懐柔し、日本を射程から外してもらう方が安上がりで確実なミサイル防衛になったりして。

 これがいわゆる“炎上”を巻き起こしたというのだが、そんな個人(著名人とはいえ)の「つぶやき」の揚げ足を取っているヒマがあるのであれば、これまで日本政府が北朝鮮とどう相対してきたのかをお勉強しなさいといいたい。
 わが国政府なりが金正恩に「小遣い」をくれてやっているかどうかはいざしらず、それに類する“援助”はすでに積み重ねているではないか。先に挙げた『ソウルと平壌』でも、そのあたりに触れられているし、引用部分からして「小遣い」以上のものを北朝鮮に進呈しているのである。
(それはそれとして、リンクしたJ-CASTニュースだが、小泉政権時代にはわりとキレのある記事が多かったような印象を持っていたが、アベ政権になったころから(?)その応援隊的な配信が目立つようになった気がする。リンク記事でも、ちょっと見に公平を装いつつも、内容はまったくの島田批判になっている。)

■おまけ2:
 アメリカ合州国軍需産業のセールス品のひとつに、あの「オスプレイ」がある。当初から墜落を繰り返すなど欠陥が指摘され、いずれ致命的な事件を起こすのではないかと個人的に観察しているが(あっては困るけれども)、セールス側はもとより、わが国政府も安全だと強弁している。だが、つぎの指摘はどうだろうか? オレはまったくもって正論だと思うのだが。

オスプレイについてアメリカや日本の関係者は、しきりと機体には異常がなく、過去の数件の事故はパイロットの操作ミスや追い風が原因だったとしているが、パイロットの立場からいわせてもらうと、パイロットにとって操縦が難しい機体は、そもそもそれ自体の安全性に問題があるといわざる得ない。(『危ういハイテク機とLCCの真実』杉江弘・扶桑社)


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