このところほかの国の鉄道記事にかかりっきりだったこともあってウッカリ見落としていたが、さる2月11日に韓国高速鉄道KTXが脱線事故を起こしていた。
※「KTX事故、防ぐ機会はあったが…“総体的な見直しが必要”(1)」
事故はソウル近郊の光明駅で起きたもので、駅構内のポイントを通過するさいに実際の進路とポイント切り替えの行違いとともに信号の不具合が発生、10両編成中の後部6両が脱線したという。初動を含め事故の情報がいまひとつ不明確な面もあるのだが、どうやらポイントの誤作動やそれに対する処置の手抜きなどいくつかの要因が重なった顛末らしい。
呆れ返ったのは(むしろ「やはり」の感もあるが)KORAIL内部から漏れてくる組織の内状である。詳しくはリンク記事をお読みいただきたいが、事故を予兆させる現象が起きていたにも拘わらず結果として放置され、事故前日から当日にかけての路盤整備や点検も不十分、事故の可能性を見抜いていた社員がいても安全対策への手が打てなかったという因習……。さらに愚かしいのは、事故を起こした新型KTXサンチョン(写真上)が、デビューからわずか1年足らずの間に15件もの車両障害を起こしていたという事実が、その後の安全対策になんら反映されなかったということだ(KTXそのものについても、開業からわずか7年での大事故発生である)。日ごろから韓国や韓国鉄道の魅力を紹介している身からしても怒りを禁じ得ない愚行ぶりだと言わざるをえない。
ごく限られたソースや印象だけをもとにあれこれ論ずるのも気がひけるのだが、今回の事故はまさに“韓国人”気質のようなものを体現しているような感じもする(*注)。
「基本的に他人の言うことを聞かないわけですから」、あるいは「勤勉だけど工夫が足りない」といった観察をしたのは『定本(または「豪定本」)ディープ・コリア』(幻の名盤解放同盟著/青林堂・ブルース・インターアクションズ刊)だが、たとえばリンク記事の以下の記述はどうか?
▲車内アコモデーションが大幅に改善された新型KTXだが……。
当ブログでは、安全に対しマニュアル&システム頼みで、それすら使えない人材の集まりになりつつあるJRについてなんどか記してきたが、KORAILもまたJRとは異なる病根を抱えているのかもしれない。不幸中の幸いといおうか、どうやらいまのところは致命的な状況にまでは陥っていないようだが、ややもするとそうした場面を遠からず演じる可能性だって棄て切れず、そうならないためにも因習的組織気質からの脱皮をはかることを期待するほかはない(ただしこれは外国内部のこと。動かしてゆくのはあくまでそこで暮らす国民の責任、権利であり、したがってわが国のJRなどに対するそれほどのこだわりがオレにあるわけでもない)。
さて、韓国ということで近ごろ注目しているのがその経済状況である。経済そのものについてはまったくの門外漢であるし、あまり上段に構えたような知ったかぶりをしてはならないが、あの国が早々に決定した関税撤廃については、わが国がいま進めつつある政策とからめてみてゆく必要があるのではないかと思うのだ。
あれこれ感じるところはあるけれど、ひとつだけ例を挙げつつ述べると、韓国でいまなお盛んな在来市場がある。ご存じの方も多いとは思うが、韓国では多くの街にむかしながらの市場があり、庶民の台所となっている。ソウルとて例外ではなく、観光市場としても有名な東大門・南大門市場のほかにも京東市場(写真)や鷲梁津水産市場(卸売りが主体だが小売りも盛ん)、千戸市場などがひとを呼び寄せ、そこで生活しているひとびとを支えている。一般的にはコンビニはややもすると日本以上に頻繁にあるし、大小のスーパーマーケットや巨大ショッピングセンターの類もあるのだが、それでもそうした市場が経済の底辺を担っていることは否定できないだろう。
そうした在来市場では肉や野菜、魚、惣菜などの食品はもちろん、衣服や日曜雑貨などあらゆるものが揃うが、例外はあるにせよ、主役となる生鮮食品の大半は国内産だと考えていい。地方に行けば、まさに地産地消の典型であり、しかも格安。だが、ひょっとするとそうした在来市場が壊滅的な状況に陥る可能性があるのではないかというのが、立ててみた仮説なのである。すなわち、関税ヌキの安い外国産がそれこそ大挙して押し寄せ国内の第1次産業を淘汰してゆく。外国産品の仕入れルートを在来市場のおばちゃんたちが持っているのかどうかはわからないが、当然ながら流通の“改革”を全土で迫られてゆくことになるだろう。その過程では外国(おもにアメリカ合州国)資本ないしはそれらの投資先としての国内財閥系統による小売店が在来市場を侵蝕してゆく。大資本のショッピングセンターなどはともかく、個人経営の零細スーパーも在来市場同様に駆逐されてゆく可能性だってある。儲からないとされた、あるいは儲からなかった土地では(日本と同様に)新たな流通システムから疎外され、やがて空洞化してしまう。そうしたなかで、在来市場を生活の糧としていたひとびとが職を失い、大量の失業者が生まれてくる。第1次産業だけでなく、第3次産業の屋台骨も外国資本の餌食にされてしまうわけだ。もっといえば“第3の国恥”になりかねないとすら思う。
こんなのはよその国を観察しながら浮かんできたシロウトの想像にすぎないが、ひるがえってわが国はどうなのかということこそが問題だ。クドクドと繰り返すようだが、現政権がやろうとしている売国政策。しかしいまならまだ間に合うのである。他山の石ではないが、昨今の貿易問題について「(韓国に)乗り遅れるな!」とアセる以前に、他国を見本としていまいちど冷静に状況を見据えてみてもいいのではないだろうか。個人的には、外国でのこととはいえ、ここで想像したとおりにならないことを祈ってはいるのだが……。
ということで(?)、21日より本年2度目の韓国取材に出かけてまいります。
*注:
とりあえず「〜人気質」としたが、ホンネの部分ではそんなあやふやな概念で国民や民族を語れるなどとはこれっぽちも思っていない。ただ、ごく大雑把にみても関東人と関西人とで異なるセンスがあるのと同程度の意味で、日本人気質や韓国人気質、ドイツ人気質、エジプト人気質……といったものはあるだろうし文化の違いもある。ここではそういうレベルで「韓国人気質」としてみた。とはいえ、「基本的に他人の言うことを聞かないわけですから」「勤勉だけど工夫が足りない」なんてのは、日本人にもいくらでもいるという話ではある(笑)。一方、以下の情景は日本ではあまりみられない類の大韓的センスといえるかもしれない(▼開業数カ月後の幸信駅新ホーム──駅名板の“ゆれ”が考慮されていない粗雑なつくり)。
なお、昨年4月に新型KTXに乗ったさい、駅到着前の減速時に鉄道車両であまり感じたことのない船のような揺れがあるのが気になったものだ。大事故前の15件の多くは、どうやら足周りの故障のようだが、ひょっとすると台車やその取りつけなどになんらかの欠陥(自動車と鉄道車両とを混同したとか)が潜んでいるのかもしれない。
※「新型参上の巻」の6段目を参照。
呆れ返ったのは(むしろ「やはり」の感もあるが)KORAIL内部から漏れてくる組織の内状である。詳しくはリンク記事をお読みいただきたいが、事故を予兆させる現象が起きていたにも拘わらず結果として放置され、事故前日から当日にかけての路盤整備や点検も不十分、事故の可能性を見抜いていた社員がいても安全対策への手が打てなかったという因習……。さらに愚かしいのは、事故を起こした新型KTXサンチョン(写真上)が、デビューからわずか1年足らずの間に15件もの車両障害を起こしていたという事実が、その後の安全対策になんら反映されなかったということだ(KTXそのものについても、開業からわずか7年での大事故発生である)。日ごろから韓国や韓国鉄道の魅力を紹介している身からしても怒りを禁じ得ない愚行ぶりだと言わざるをえない。
ごく限られたソースや印象だけをもとにあれこれ論ずるのも気がひけるのだが、今回の事故はまさに“韓国人”気質のようなものを体現しているような感じもする(*注)。
「基本的に他人の言うことを聞かないわけですから」、あるいは「勤勉だけど工夫が足りない」といった観察をしたのは『定本(または「豪定本」)ディープ・コリア』(幻の名盤解放同盟著/青林堂・ブルース・インターアクションズ刊)だが、たとえばリンク記事の以下の記述はどうか?
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▲車内アコモデーションが大幅に改善された新型KTXだが……。
当ブログでは、安全に対しマニュアル&システム頼みで、それすら使えない人材の集まりになりつつあるJRについてなんどか記してきたが、KORAILもまたJRとは異なる病根を抱えているのかもしれない。不幸中の幸いといおうか、どうやらいまのところは致命的な状況にまでは陥っていないようだが、ややもするとそうした場面を遠からず演じる可能性だって棄て切れず、そうならないためにも因習的組織気質からの脱皮をはかることを期待するほかはない(ただしこれは外国内部のこと。動かしてゆくのはあくまでそこで暮らす国民の責任、権利であり、したがってわが国のJRなどに対するそれほどのこだわりがオレにあるわけでもない)。
さて、韓国ということで近ごろ注目しているのがその経済状況である。経済そのものについてはまったくの門外漢であるし、あまり上段に構えたような知ったかぶりをしてはならないが、あの国が早々に決定した関税撤廃については、わが国がいま進めつつある政策とからめてみてゆく必要があるのではないかと思うのだ。
あれこれ感じるところはあるけれど、ひとつだけ例を挙げつつ述べると、韓国でいまなお盛んな在来市場がある。ご存じの方も多いとは思うが、韓国では多くの街にむかしながらの市場があり、庶民の台所となっている。ソウルとて例外ではなく、観光市場としても有名な東大門・南大門市場のほかにも京東市場(写真)や鷲梁津水産市場(卸売りが主体だが小売りも盛ん)、千戸市場などがひとを呼び寄せ、そこで生活しているひとびとを支えている。一般的にはコンビニはややもすると日本以上に頻繁にあるし、大小のスーパーマーケットや巨大ショッピングセンターの類もあるのだが、それでもそうした市場が経済の底辺を担っていることは否定できないだろう。
そうした在来市場では肉や野菜、魚、惣菜などの食品はもちろん、衣服や日曜雑貨などあらゆるものが揃うが、例外はあるにせよ、主役となる生鮮食品の大半は国内産だと考えていい。地方に行けば、まさに地産地消の典型であり、しかも格安。だが、ひょっとするとそうした在来市場が壊滅的な状況に陥る可能性があるのではないかというのが、立ててみた仮説なのである。すなわち、関税ヌキの安い外国産がそれこそ大挙して押し寄せ国内の第1次産業を淘汰してゆく。外国産品の仕入れルートを在来市場のおばちゃんたちが持っているのかどうかはわからないが、当然ながら流通の“改革”を全土で迫られてゆくことになるだろう。その過程では外国(おもにアメリカ合州国)資本ないしはそれらの投資先としての国内財閥系統による小売店が在来市場を侵蝕してゆく。大資本のショッピングセンターなどはともかく、個人経営の零細スーパーも在来市場同様に駆逐されてゆく可能性だってある。儲からないとされた、あるいは儲からなかった土地では(日本と同様に)新たな流通システムから疎外され、やがて空洞化してしまう。そうしたなかで、在来市場を生活の糧としていたひとびとが職を失い、大量の失業者が生まれてくる。第1次産業だけでなく、第3次産業の屋台骨も外国資本の餌食にされてしまうわけだ。もっといえば“第3の国恥”になりかねないとすら思う。
こんなのはよその国を観察しながら浮かんできたシロウトの想像にすぎないが、ひるがえってわが国はどうなのかということこそが問題だ。クドクドと繰り返すようだが、現政権がやろうとしている売国政策。しかしいまならまだ間に合うのである。他山の石ではないが、昨今の貿易問題について「(韓国に)乗り遅れるな!」とアセる以前に、他国を見本としていまいちど冷静に状況を見据えてみてもいいのではないだろうか。個人的には、外国でのこととはいえ、ここで想像したとおりにならないことを祈ってはいるのだが……。
ということで(?)、21日より本年2度目の韓国取材に出かけてまいります。
*注:
とりあえず「〜人気質」としたが、ホンネの部分ではそんなあやふやな概念で国民や民族を語れるなどとはこれっぽちも思っていない。ただ、ごく大雑把にみても関東人と関西人とで異なるセンスがあるのと同程度の意味で、日本人気質や韓国人気質、ドイツ人気質、エジプト人気質……といったものはあるだろうし文化の違いもある。ここではそういうレベルで「韓国人気質」としてみた。とはいえ、「基本的に他人の言うことを聞かないわけですから」「勤勉だけど工夫が足りない」なんてのは、日本人にもいくらでもいるという話ではある(笑)。一方、以下の情景は日本ではあまりみられない類の大韓的センスといえるかもしれない(▼開業数カ月後の幸信駅新ホーム──駅名板の“ゆれ”が考慮されていない粗雑なつくり)。
なお、昨年4月に新型KTXに乗ったさい、駅到着前の減速時に鉄道車両であまり感じたことのない船のような揺れがあるのが気になったものだ。大事故前の15件の多くは、どうやら足周りの故障のようだが、ひょっとすると台車やその取りつけなどになんらかの欠陥(自動車と鉄道車両とを混同したとか)が潜んでいるのかもしれない。
※「新型参上の巻」の6段目を参照。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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