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猫池罵詈雑言雑記帳
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「東京新聞」2月17日の1面は、「減収企業ランク」を報じている。
 同紙によれば、この調査は(株)東京商工リサーチが実施したもので、同社のデータベースから東京23区内に本社を置く年間売り上げ1億円以上の企業(8万4467社)の経営動向を分析したものであるという。その結果、IT(情報通信)関連企業が苦戦、製造業の健闘傾向がみられたというのである。

 データ集計のひとつとして各区ごとの「減収企業率」が掲載されており、それによれば渋谷区の32.34%がワースト1、以下、北区(32.9%)、中野区(32.75%)と続き、台東区の23.0%を筆頭に荒川区(24.04%)、大田区(24.42%)らが健闘していることがみてとれる。こうした傾向は、苦戦区内にIT関連や研究開発企業が多いことや、逆に健闘区内に小規模製造業が多いことから金融危機をめぐりその影響の度合いが実態に反映していると分析されているようで、東京商工リサーチは「一般的な見方とは異なる(中略)意外な姿が浮かんだ」(同紙)としているという。

 面白いなと思った。あくまでダイジェスト記事だけからの所感に過ぎないが、結局はモノをつくるなり、より現実的な商売をコツコツと続けているひとびとこそが実態としては強いのだとここから読みとることもできるのではないかと思うからだ。言い換えれば、バーチャルよりもリアリティである。記事には大企業などがIT投資や研究開発費を絞っており、それがこうした傾向を生み出していることを示唆しているが、乱暴を承知で言えば、そうしたところが実売収入よりも投資流入をアテにしているという図式があるとはいえないだろうか。実際の顧客よりも金主こそがお客さまという業態である(研究開発については直接的に「客」や「実売」に換算をすることは困難かもしれないが)。
 誤解されては困るが、通信産業にしても各種の研究にしても重要な分野であることに変わりはなく、そうした業界そのものを批判しようとかそういうことではない。ただ、はたしてここに顕われた傾向は、リーマンショックがどうのとか、不景気がどうのとか、そうした常套区的現象に、どこまで帰すことができるのだろうかと思ったのである。記事には金融機関についてが触れられていないが、その実態が気になるところではある。

 さて、日銀が発表した「金融市場リポート」に、昨今の食料品や原油などの価格高騰の背景に投機マネーの流入があることが指摘されている。大雑把にいえば、カネをコネくり回している連中が、より幅の広い利益を求めてそうした先物市場などに着目、そこに巨額のカネが動き回っているわけだ。しかしそうしたカネは実需とはほとんど無縁の“カジノチップ”である。現物にはこれっぽっちの用もない連中が、単にカネ転がしの材料として市場を利用し、そのあおりを受けて価格が暴騰する。「実需とはほとんど無縁」と記した「ほどんど」の意味は、彼らが「実需」をみているとすれば、それがバクチのオッズと同義に過ぎず、生産側にも消費側にもそういう視点でしか興味がないということだが、それはすなわちそうした連中のカネ転がしが生産側にとっても消費側にとってもなんらプラスいならないことを示しているといえるだろう(念のためつけ加えておけば、価格変動のすべてが彼らの仕業ではなく、生産側・消費側双方の事情が需給バランスとして関係することは事実である。だが、今般の暴騰ひとつをとっても、はたしてそうした“基本”そのものがその主因と言い切れるだろうか?)。

 ひるがえって、TPP問題である。
 当ブログでもなんどかこの問題について触れてきたが、アメリカ合州国が仕掛けているこのシステムの正体がひとえにアメリカ合州国のみのためにあることを否定する材料をオレは持たない。しかし、もっとえぐり出せば、アメリカ合州国という国家、あるいは国民のためなどではなく、そこの巣食う投機家こそが利を得る仕組みだということがいえる。カネを余らせている連中のバクチの材料として国際的な食料(食糧)取引が利用され、ひいてはほかのざまざまな分野にまで波及してゆく。おそろしいのは、いったん加盟したらば最後、その参加国の主権が賭場を握っている連中によって踏みにじられかねないということである。仮になんらかの事情でTPPの契約が果たせない状況になったとしても、元締めたるアメリカ合州国を除く参加国にその主権を主張する権利がないからだ。ヘタをすれば契約違反として訴訟騒動すら起こりうる。主権国家を相手に博徒が仕掛ける合法手続きだ。それこそがTPPの本質であり、まさに21世紀型売国(アメリカ合州国側からは侵略)制度といえよう。
 ひとつ蛇足をすれば、バクチは基本的にはその元締めのみが儲かる仕組みになってはいるが、ここでのバクチもまた巨大な元締めにのみ利益が集まるようになっているハズ。もっとも強いのは巨大資本こそであり、そんな賭場に“個人投資家”を気取って小金を差し出したところで、結果はパチンコなり競馬なりと同じであろう。おそらくは額も違うだろうし、パチンコや競馬などのようにゲームやスポーツ観戦としての一面を含む趣味にもならず、より殺伐としている点でも両者は異なる部分もあるのだろうが……。

 あえて極論すれば、カネをコネ繰り回している一部の連中など、あるいはほかに能力や才能の類が一切なく、単にカネ、それもバーチャルマネーをいじくることがせいぜいの連中など、人間のクズ・ゴミ・カスの類である。もちろん投資のすべてが悪いとはいわないし、逆に投資があるからこそ経済が活性化することは否定しないが(オレ自身だって、もしそれ相応のカネがあれば投資の類をする可能性だってある。ただし証券売買で利益を得ようとかそんなコバクチではなく、自分自身が「これだ!」と惚れた事業に対する後押しとしてだ。こんなのはシロウトのたわごとかもしれないが)、投資や投機の類がそれだけでないことは、ほかならぬやっているひとびとこそが理解しているのではないか?
 取引上の地位差を悪用して取引企業に投機を強要する銀行もそのクチだ。たとえば「為替デリバティブ」の購入を強要して、結果として優良企業を倒産に導く銀行という実態(*注)。FXなどという、その道のプロでさえ先読みのままならない金融取引をシロウトに斡旋する“賭場企業”(コレも儲かるのは元締めである。ほかの諸バクチと同様、ごく例外的にはそのテの才能だか運だかに恵まれた個人がいたとしても)。実態の生産や消費活動に寄与するどころか、てめぇらの利益のためだけのために足を引っ張っているカネ屋。それどころか、官民こぞって“金融商品”のススメを推進し、ややもすれば小学生にまで投資だの投機だののレクチャーに打って出る。そこにあるのは、未来ある子どもたちに自らの才能を伸ばしたり努力をしたり、あるいはコツコツとひとつひとつ仕事をなし得てゆくことを否定させ、よりラクにカネを稼げればいいではないかという退廃教育だ。いや、直接的にそうしたレクチャーなどしなくても、テレビなネットなどを利用して、子どものうちから「こうすればラクができますよ」とそそのかす。子どもだけではなく、おとなにたいしてもそれは同じかもしれない。それと同時進行的に働けない社会をつくってしまった。働きたくても働けない。マトモな手段ではとうてい収入が得られない。そうして半ば騙されたひとびとからカネを巻き上げるカネ持ち(サラ金も類もまさにそれなのだが、いまだに気づいていないひとも多いようだ。金主にとっては寝てるうちにカネモウケしているようなものなのだが)。まさにドツボであり、そんな国にはたして未来はあるのかとすら思えてしまう。そういうのを助長し、悪用する連中に対し、クズ・ゴミ・カス以外のたとえようがあろうか。

*注:
 こうした点について、その責任は末端にいたるまでの社員にもまたあると最近は考えるようになってきた。おそらくは上役の命令によってセールスなり押し売りなりをしているに違いないとはいえ、彼らが所属している銀行なりを看板にして仕事をし所得を得ている以上、限度はあるかもしれないが責任という点において会社と一心同体だからである。命令だから仕方がない? それが仕事だから? あるいはなんら疑問の類を感じる感性すら喪失して(させられて?)いるムキもあろうけれど、自らの責任についてサラリーマンといえどもひとりひとりがもっと自覚すべきである。そんな他人を陥れて手にしたカネのどこがそんなにうれしいか? まっ、そんなことを考えるようだと銀行員(すべての銀行マンなりがそんなだとは言わない。その勤務先はいざ知らず)やらサラ金やらに勤める気にはならないのかもしれないが……。
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 ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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