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猫池罵詈雑言雑記帳
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 サッカー日本代表チームのイビチャ=オシム監督が急性脳硬塞倒れた。単にサッカーということだけではなく同監督のファンとしては、今後の経過が非常に心配である。なんとしてもこれ以上の大事に至らなければいいが……。
 ここで気になったのは、倒れてから救援を依頼するまでに相当のタイムラグがあったと伝えられていることだ。報道によれば、倒れてから病院に着くまでに要した時間がおよそ1時間20分。このなかには自宅からの搬出に手間取った時間も含まれるというが、日本語の通じない息子のアマル氏(ジェフ千葉監督)がフランス人の知人やジェフの関係者らに連絡をとらざるをえなかった状況からすると、はたして監督と契約を結んでいる日本サッカー協会の危機管理はどのようになっていたのかと思わざるをえない。
 そもそもがオシム監督に身体に関する不安があったともいわれるなか、こうした緊急時の連絡方法はきちんと確立されていたのだろうか。日本語がきちんと通じないことは承知のうえであるハズだし、とすれば24時間を通じて即座に連絡をとれるスタッフを本部なりに常駐させるべきではないかと思うのだが、果たして実際はどうなのだろう? アマル氏がジェフの関係者に連絡をとったという事実からすると、どうにも不備が臭ってくるのだが実際はどうだったのか……。

 閑話休題。
 今日の話題は混合診療についてである。  


 15日、政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が、第二次答申(12月)の重点項目として、保険診療と保険外診療を組み合わせる「混合診療」の全面解禁を盛り込む方針を固めたことを明らかにした。混合診療についてはこのブログの前身である「日々是雑感」でも触れたことがあるが、大雑把にいえば「公的医療保険が適用される治療と、適用外の治療とを組み合わせる診療方法」をさす。現在では、一部に例外はあるものの、保険外治療(自由診療)を受けた場合には保険適用の治療(保険診療)ぶんまで患者の自己負担となるきまりがあり、7日にはこの点の法的根拠を争った裁判の判決が東京地裁から出されている(判決は「法的根拠なし」とした)。
 答申はこの判決を受けてのものだとみられ、混合診療の全面的解禁に向けて国との交渉を進めるとしている。

 たしかに、件の裁判における原告(ガン治療で自由診療を合わせて受けたところ保険診療ぶんまで請求されていた)の立場をみると、混合診療解禁という動きは合理的にも思える。しかし、わが国における皆保険制度のもと実施されてきた医療制度を部分的にせよ破壊する可能性もあり、一概に解禁賛成とは言い切れないことを知っておく必要はある。
 すなわち、混合診療制度では、自由診療について負担できる患者とそうでない患者とが顕在化することにつながり、簡単にいえば「医療の格差」が名目ともに生じることにつながってくるのである。もちろん、保険診療ぶんをレベルアップし、かつ最高度の医療を自由診療として選択できるというのであれば、前進とみることも不可能ではないかもしれない。だが、保険診療の範囲はここでは明らかにされておらず、公費負担を大幅縮小につながる可能性がある。ようは、自由診療を受けるだけの財力がなければ満足な診療を受けられなくなる可能性があるのだ。たとえば、治療を受けていて、「あっ、ここから先の治療には保険がきかなくなりますけど、どうしましょうか?」と宣告されるケースも考えられる。「さらに高度な治療を受けたいので」という“ランクアップ”ではなく、ストップだ。
 また、いまでさえ、公的保険料すら満足に払えず、かつ治療費負担ができないことから医療機関での診察・治療を先延ばしにしているひとが、あるていど以上の層をつくっていることが指摘されている。このままいけば、医療的弱者層が拡大してゆくことは明らかであろう(いまひとつの問題として、自由診療ぶんに対する安全性への疑問を指摘する声もある)。

 ところで、混合診療の旗ふり役に宮内義彦オリックス会長(「規制改革・民間開放推進会議」現・規制改革会議の議長を務めていた)がいる点に、制度解禁の本当の狙いがみえてこないだろうか? たとえば、自由診療ぶんを補填する民間保険商品は、どれだけの需要と売り上げとが見込まれるだろうか? 十二分な財力のある一部の富裕層はまだしも、国民の大半を占めるそれ以外のひとびとにとって、仮に保険診療ぶんに不安を感じれば、こぞってプラスαの保険に飛びつくことになるであろう(そうなったさいに不払いラッシュにならないことを祈る・笑)。また、ストップを宣告された患者や家族が、そのころ商品化されている「医療融資」とやらに走ることになるかもしれない。きっとべらぼうな利率なのであろうが。
 そんなこんなで、さしずめオリックスあたりはおそらくたいへんな儲けになるのではないかと思うが、そんなビジネス受益者が規制改革会議などというしかつめらしい会合を取り仕切ってきたことの愚劣さ。混合診療解禁の狙いは、あくまでカネモウケであり、さらにいえばアメリカ合州国財界の傀儡であろうことは容易に想像できるというものだ。たしかに、“おこぼれ”として優良な治療を受けられるケースはママあろうが、立法に対する姿勢に遡り、真に国民のための医療制度とはどういうものなのかということについて、それぞれに検証する必要がある。



*参考:
 本館の「アトリエ猫池」にリンクしている医師・色平哲郎氏のサイト「混合診療解禁でおこる患者の悲劇」をぜひご参照ください。
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