報道によれば、韓国の大韓赤十字社が北朝鮮に向け米5000トンやセメント25万袋など救援物資の提供を決めたという。その額はおよそ100億ウォンといわれるが、なぜ商取引きに基づく供給ではなく支援になってしまうのかと、いつもながらの感想を抱いた。今回の場合は、大韓赤十字社という外国の組織による善意の話なので多言は避けたいが、“金王朝”に対する基本的姿勢にも関わってくる問題なので、少しだけ言及しておきたい。
対北朝鮮という点で、支援をすべきでないという意見を拙ブログでは述べてきた。これは、善意の支援がほかならぬ“金王朝”を延命させているからであることがまずひとつ。さらにせっかくの支援物資が本当に苦しんでいる北朝鮮市民の手に渡っているのか甚だ疑問であることもある。
2点目については補足しておけば、“金王朝”が核心層と呼ばれるひとびとのみを人民ないし人間として扱っているという事実を忘れてはならないだろう。市民に供給されているのかと問えば、彼らは供給していると答えるに違いないが、その陰にはハナっから市民どころか人間としてすら認知されていないひとびとがいるわけだ。その数は人口の3分の2ともいわれるが、そういうセンスのもと救援や支援を外国に求めているのである。つまりは、本当に困窮しているひとびとに対してはなんら手立てにならない可能性が高い。したがって、何歩か譲って物資の支援をするとすれば、救援者自身が直接現地に赴けることなどを必要条件にすべきであろう。この点はひとつめの理由にも結びつくことだ。
いまひとつ指摘しておきたいのは、なぜ「救援」かつ「提供」なのかということである。
今回のケースでは、北朝鮮側が提案してきたという離散家族再会のための話し合いを実現するための提案を韓国側が含んでいるらしく、そういう意味ではいくばくかの取引が交わされてはいるのであろう。しかし、こうした救援の類は相手側が本当に困っているさいになされる性質のものなのではないか? 言い換えれば、北朝鮮という国家は、そうした支援に頼らなければ立ちゆかないところにまで困窮しているのだろうかと思うのだ。
残念ながら、あの国についてはあまりにも情報が少ない。街中での写真撮影ひとつ、あるいは市民との立ち話ひとつままならなかったという報告がある一方で、平壌市内で通りがかりの市民とごくふつうに話をすることができたという話もある(後者については21世紀になってからの話である)など、錯綜した情報が余計に実態をわからなくしている。しかし、国民の多くが貧困かつ困窮のさなかにあるというのは事実なのであろう。自然災害がそれに拍車をかけているのも本当のことに違いない。
だが、だとしても「救援」はおかしいのである。なぜか? もっとも重要な事実は、あの国がことさら軍事に力を注いでいることである。一説にGNP比25%を超すともいわれるそのカネがあるならば、まずはそれを市民の困窮対策に回すべきではないのか(わが国政府もアメリカ合州国の軍隊なんぞに恵んでやってるカネを社会保障にでも回してほしいものだが)。そのカネで米などの食料や生活基盤に欠かせない物資を購入すればいい。これなら正常な貿易であり商取引きである。なにも軍事物資やハイテク技術を売ろうというのではないのだ。やれ制裁などとエッらそうなコトを抜かしているアメリカ合州国だって口を挟むところではなくなるかもしれないのである。「北朝鮮の脅威」がどうしたなどと騒いでいる日本にとっても、その“脅威”の一角を平和的に取り崩せるのだからきわめて好都合ではないか。そうした駆け引きをしないで「救援」だのとしているのは、ひょっとすると「北朝鮮の脅威」をあくまで利用した連中が力を握っていて、そのためには“金王朝”が堅持されるほうが都合がいいのではないかと推理のひとつでもしたくなってくる。
カネはあるのだ。まずは商取引きでの“支援”を目指せ。急場しのぎの対症療法も考えものだということである。
*補足:
誤解されては困るが、人道的な面からの支援そのものは必要だし、大いにすべきことだと考えている。国内にもみられる身近な例でいえば、大規模災害などにより家屋を含む被害を受け、収入どころか通常の生活すらままならない状態のひとびとに対する救援。あるいは正当な事情により収入の手段を得られないひとびとに対する急場の支援。年齢的問題や健康上の事情などから収入が得られないひとびともいれば、財産どころか暮らす場所さえままならないひとだっている。そういうケースに対する支援は大切な社会保障といえるだろう(このいま健康で気力もあり、収入手段をはじめ生活になんら不自由がないと思うひともいるだろう。しかし、いま実感できないとしても、そうした社会保障が自分自身にとっても目にみえない“ヘッジ”として存在していることを考えてみるべきだ)。
なぜこんなあたりまえのことを補足するかといえば、北朝鮮に対するそれと生活保護の類とが混同されかねないのを避けたいからである。繰り返すが、あの国の市民を救援するためにはそれが確実に遂行されるという保証が必須であり、いまひとつはあの国家がまずは身銭を切って国民を助けるための物資の購入を急ぐべきだということである。そのカネがないとはいわせないがゆえ。
2点目については補足しておけば、“金王朝”が核心層と呼ばれるひとびとのみを人民ないし人間として扱っているという事実を忘れてはならないだろう。市民に供給されているのかと問えば、彼らは供給していると答えるに違いないが、その陰にはハナっから市民どころか人間としてすら認知されていないひとびとがいるわけだ。その数は人口の3分の2ともいわれるが、そういうセンスのもと救援や支援を外国に求めているのである。つまりは、本当に困窮しているひとびとに対してはなんら手立てにならない可能性が高い。したがって、何歩か譲って物資の支援をするとすれば、救援者自身が直接現地に赴けることなどを必要条件にすべきであろう。この点はひとつめの理由にも結びつくことだ。
いまひとつ指摘しておきたいのは、なぜ「救援」かつ「提供」なのかということである。
今回のケースでは、北朝鮮側が提案してきたという離散家族再会のための話し合いを実現するための提案を韓国側が含んでいるらしく、そういう意味ではいくばくかの取引が交わされてはいるのであろう。しかし、こうした救援の類は相手側が本当に困っているさいになされる性質のものなのではないか? 言い換えれば、北朝鮮という国家は、そうした支援に頼らなければ立ちゆかないところにまで困窮しているのだろうかと思うのだ。
残念ながら、あの国についてはあまりにも情報が少ない。街中での写真撮影ひとつ、あるいは市民との立ち話ひとつままならなかったという報告がある一方で、平壌市内で通りがかりの市民とごくふつうに話をすることができたという話もある(後者については21世紀になってからの話である)など、錯綜した情報が余計に実態をわからなくしている。しかし、国民の多くが貧困かつ困窮のさなかにあるというのは事実なのであろう。自然災害がそれに拍車をかけているのも本当のことに違いない。
だが、だとしても「救援」はおかしいのである。なぜか? もっとも重要な事実は、あの国がことさら軍事に力を注いでいることである。一説にGNP比25%を超すともいわれるそのカネがあるならば、まずはそれを市民の困窮対策に回すべきではないのか(わが国政府もアメリカ合州国の軍隊なんぞに恵んでやってるカネを社会保障にでも回してほしいものだが)。そのカネで米などの食料や生活基盤に欠かせない物資を購入すればいい。これなら正常な貿易であり商取引きである。なにも軍事物資やハイテク技術を売ろうというのではないのだ。やれ制裁などとエッらそうなコトを抜かしているアメリカ合州国だって口を挟むところではなくなるかもしれないのである。「北朝鮮の脅威」がどうしたなどと騒いでいる日本にとっても、その“脅威”の一角を平和的に取り崩せるのだからきわめて好都合ではないか。そうした駆け引きをしないで「救援」だのとしているのは、ひょっとすると「北朝鮮の脅威」をあくまで利用した連中が力を握っていて、そのためには“金王朝”が堅持されるほうが都合がいいのではないかと推理のひとつでもしたくなってくる。
カネはあるのだ。まずは商取引きでの“支援”を目指せ。急場しのぎの対症療法も考えものだということである。
*補足:
誤解されては困るが、人道的な面からの支援そのものは必要だし、大いにすべきことだと考えている。国内にもみられる身近な例でいえば、大規模災害などにより家屋を含む被害を受け、収入どころか通常の生活すらままならない状態のひとびとに対する救援。あるいは正当な事情により収入の手段を得られないひとびとに対する急場の支援。年齢的問題や健康上の事情などから収入が得られないひとびともいれば、財産どころか暮らす場所さえままならないひとだっている。そういうケースに対する支援は大切な社会保障といえるだろう(このいま健康で気力もあり、収入手段をはじめ生活になんら不自由がないと思うひともいるだろう。しかし、いま実感できないとしても、そうした社会保障が自分自身にとっても目にみえない“ヘッジ”として存在していることを考えてみるべきだ)。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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