9月7日に起きた中国漁船事件。久場島(尖閣諸島:沖縄県)の沖合15キロの海上で起きたもので、中国のトロール漁船が、違法操業を監視していた日本の海上保安庁の巡視船を振り切ろうとして同船と衝突、船長らが公務執行妨害で海保に逮捕されたというものだ。
付近はわが国が実効支配しているのと同時に中国と台湾が領有権を主張している海域である。海保は、件の中国の漁船が日本の領海上で漁をしていたことから捜査手続きに入ろうとしていたものだが、中国側の見解は、中国領海内で操業中だったにも拘わらず、自国漁船が日本側に摘発されたということのようだ。
この海域は、漁業のほかにも地下資源開発などをめぐり国際的な駆け引きが展開し、微妙な状態が続いてきた。そんななか起きた今回の事件は、わが国による“実効支配”の事実があるなかである種グレーゾーン的ともいえる扱いをされてきたところに、日中双方があらためて領有権を主張する契機となる可能性がある。かなり生臭い状況だが、ここで語ってみたいのはそのことそのものについてではない。
テレビニュースなどでは、中国各地で起きている抗議デモの類がしかつめらしく伝えられている。日本大使館などを取り囲むプラカードや罵声の数々。伝えられるなかには常軌を逸した暴力行為もあったようで、正直かなりの怒りを禁じ得ないが、大半は正常な抗議行動の域に留まっており、大きな混乱はいまのところ起きていないという(*注1)。
さて、ここで問題としたいのは、そうした映像をみて、われわれ日本人がなにをどう感じているのかということである。
考えてみてほしい。アタマにくれば怒るのがあたりまえではないか。その怒りの意志を集団で訴える。きわめて正常な感覚と行動だし、これはなにも中国人に限ったことではない。その前提に立って双方のリアクションをみてみるとどうなるだろうか。
いみじくも、日本では米軍駐留をめぐって数万人規模のデモが繰り広げられたばかり。あの場合は、アメリカ合州国とともに自国政府に対する抗議ではあったけれど、庶民の怒りという点で、中国大衆のそれと重なる部分がありはしないだろうか(直接的な背景は大きく異なるが、ここでは「怒り・抗議」という点にのみしぼっている)。同じく米軍がらみでいえば、多発する犯罪に対する抗議行動もわが国にはある。古くは日米安保条約締結に抗議する大規模行動もあった。これらはごくあたりまえの怒りであり抗議であり行動である。
では、いままさに中国で起きているデモのニュースをみて、日本の大衆はなにを感じているのだろうか。ふざけるなっ、だろうか。バカなヤツらだと思っているだろうか。こうしたことは“痴漢掲示板”の類(*注2)でもみればいくらでもサンプルがありそうだが、それはまさに他国のさまをみて己の姿を知ることでもあるのだ。あるいは、米軍に対するわが国の抗議デモをみた米国人はどういうふうに受取り、考えているのだろうか。「バカな黄色い家畜どもが!」ぐらいに思っていればいいほうで、案外そのレベルにさえ達していない可能性もあるけれど、それもまた中国人の抗議デモをみているわれわれ日本人を映す鏡なのである。
翻って、われわれ日本大衆の怒りはいずこへ?
*注1:
もっとも、以前にも触れたように、たとえばサッカーの国際試合時に起きた破壊行動(小は日本選手団バスへの落書きから大は試合中での暴力行為など)の類などになると、100パーセント容認する気にはなれない。たとえ部分的な事実にすぎないにせよ。また、事件のきっかけとなった漁船に対しては、事実を明らかにしたうえで、わが国の法にのっとりきちんと対処すべきだと考える。前原氏あたりがあれこれしゃしゃりでると、余計にややこしくなるような気もするなァ……。
*注2:
匿名による無秩序掲示板の類をこう呼んでいる。投稿の大半が自らの正体をさらさないことを前提とした放言であり、ときにそれは満員電車などでの痴漢となんら変わらない卑怯極まる行為となっているからだ。掲示板はやや衰退の傾向にもあるようだが、芸能人などのブログがそれにとって代わられ、匿名であるのといいことに、好き放題に個人攻撃が繰り返されている(本質的には「炎上」も同じだと考える。もちろん例外はあるが、やりたければ自分のブログなりHPなりでどうぞ、である)。これが痴漢でなくてなんだというのだろう?
ネット上をはじめとして、「匿名性」のよさは多々あると考えている。権力側による過剰反応の虞れがある告発などはその際たるものだし、他愛のない世間話なども匿名で大いに結構。きわどいエロ談義などは、匿名だからこそまったりと楽しめるに違いない。しかし……、である(この件はいずれあらためて触れます)。
*おまけ:
コレをアップする前にネットのヘッドラインをみてみたら、菅内閣の支持率が急上昇したとか。悪いけど、ニッポンジンってのは底抜けのバカなのかと思ったヨ。そもそも、まだな〜んにも仕事してないじゃないか。それでどうして「支持」しようってんだい(笑)。しかも、やろうとしていることときたら大企業向け法人税の減税と、その代替財源としての消費税増税やらなにやらときている(法人税減税が経済回復になるとかなんとか方便されているけど、一部大もうけの企業の内部留保をみられよ。な〜んにも社会に還元されず、テメエの懐にしまい込まれたママだ。アホか)。したがって、オレ個人としてはそれだけでも支持などのしようがないばかりか、明確に「不支持」である。「支持」と答えたひとびとが、なにを考えてるのかさっぱりわからんがね。もっとも、そんな質問(世論調査)をするほうもするほうで、むしろそちらのほうが問題だといえそうだが(笑)。
この海域は、漁業のほかにも地下資源開発などをめぐり国際的な駆け引きが展開し、微妙な状態が続いてきた。そんななか起きた今回の事件は、わが国による“実効支配”の事実があるなかである種グレーゾーン的ともいえる扱いをされてきたところに、日中双方があらためて領有権を主張する契機となる可能性がある。かなり生臭い状況だが、ここで語ってみたいのはそのことそのものについてではない。
テレビニュースなどでは、中国各地で起きている抗議デモの類がしかつめらしく伝えられている。日本大使館などを取り囲むプラカードや罵声の数々。伝えられるなかには常軌を逸した暴力行為もあったようで、正直かなりの怒りを禁じ得ないが、大半は正常な抗議行動の域に留まっており、大きな混乱はいまのところ起きていないという(*注1)。
さて、ここで問題としたいのは、そうした映像をみて、われわれ日本人がなにをどう感じているのかということである。
考えてみてほしい。アタマにくれば怒るのがあたりまえではないか。その怒りの意志を集団で訴える。きわめて正常な感覚と行動だし、これはなにも中国人に限ったことではない。その前提に立って双方のリアクションをみてみるとどうなるだろうか。
いみじくも、日本では米軍駐留をめぐって数万人規模のデモが繰り広げられたばかり。あの場合は、アメリカ合州国とともに自国政府に対する抗議ではあったけれど、庶民の怒りという点で、中国大衆のそれと重なる部分がありはしないだろうか(直接的な背景は大きく異なるが、ここでは「怒り・抗議」という点にのみしぼっている)。同じく米軍がらみでいえば、多発する犯罪に対する抗議行動もわが国にはある。古くは日米安保条約締結に抗議する大規模行動もあった。これらはごくあたりまえの怒りであり抗議であり行動である。
では、いままさに中国で起きているデモのニュースをみて、日本の大衆はなにを感じているのだろうか。ふざけるなっ、だろうか。バカなヤツらだと思っているだろうか。こうしたことは“痴漢掲示板”の類(*注2)でもみればいくらでもサンプルがありそうだが、それはまさに他国のさまをみて己の姿を知ることでもあるのだ。あるいは、米軍に対するわが国の抗議デモをみた米国人はどういうふうに受取り、考えているのだろうか。「バカな黄色い家畜どもが!」ぐらいに思っていればいいほうで、案外そのレベルにさえ達していない可能性もあるけれど、それもまた中国人の抗議デモをみているわれわれ日本人を映す鏡なのである。
翻って、われわれ日本大衆の怒りはいずこへ?
*注1:
もっとも、以前にも触れたように、たとえばサッカーの国際試合時に起きた破壊行動(小は日本選手団バスへの落書きから大は試合中での暴力行為など)の類などになると、100パーセント容認する気にはなれない。たとえ部分的な事実にすぎないにせよ。また、事件のきっかけとなった漁船に対しては、事実を明らかにしたうえで、わが国の法にのっとりきちんと対処すべきだと考える。前原氏あたりがあれこれしゃしゃりでると、余計にややこしくなるような気もするなァ……。
*注2:
匿名による無秩序掲示板の類をこう呼んでいる。投稿の大半が自らの正体をさらさないことを前提とした放言であり、ときにそれは満員電車などでの痴漢となんら変わらない卑怯極まる行為となっているからだ。掲示板はやや衰退の傾向にもあるようだが、芸能人などのブログがそれにとって代わられ、匿名であるのといいことに、好き放題に個人攻撃が繰り返されている(本質的には「炎上」も同じだと考える。もちろん例外はあるが、やりたければ自分のブログなりHPなりでどうぞ、である)。これが痴漢でなくてなんだというのだろう?
ネット上をはじめとして、「匿名性」のよさは多々あると考えている。権力側による過剰反応の虞れがある告発などはその際たるものだし、他愛のない世間話なども匿名で大いに結構。きわどいエロ談義などは、匿名だからこそまったりと楽しめるに違いない。しかし……、である(この件はいずれあらためて触れます)。
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コレをアップする前にネットのヘッドラインをみてみたら、菅内閣の支持率が急上昇したとか。悪いけど、ニッポンジンってのは底抜けのバカなのかと思ったヨ。そもそも、まだな〜んにも仕事してないじゃないか。それでどうして「支持」しようってんだい(笑)。しかも、やろうとしていることときたら大企業向け法人税の減税と、その代替財源としての消費税増税やらなにやらときている(法人税減税が経済回復になるとかなんとか方便されているけど、一部大もうけの企業の内部留保をみられよ。な〜んにも社会に還元されず、テメエの懐にしまい込まれたママだ。アホか)。したがって、オレ個人としてはそれだけでも支持などのしようがないばかりか、明確に「不支持」である。「支持」と答えたひとびとが、なにを考えてるのかさっぱりわからんがね。もっとも、そんな質問(世論調査)をするほうもするほうで、むしろそちらのほうが問題だといえそうだが(笑)。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
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