ときおり疑問に感じることのひとつに、わが国(だけじゃないかもしれないが)における経済事犯に対する法的な甘さというものがある。これはコソドロの類をさすのではなく、小は詐欺から大は合法的投資の失敗、あるいは巨大企業の破綻に関する経営責任といったところである。
AIJなる“投資顧問”とやらが1000億円を超える資金を消失させた事件は、近ごろ世間を騒がせている経済事件のひとつだが、いまのところその経営責任がどこまで問われるかについて不透明な段階にあるといえよう。破綻がみえているのを承知のうえで新たな資金集めをしていたとも伝えられているが、これが事実であれば詐欺ないし詐欺スレスレの確信的行為にほかならず、相応の社会的責任が問われるのが当然である。しかし、冒頭にボヤいたようにわが国における経済事犯は本質的に責任が問われない傾向が強い。おそらくは、被害者にとっては巻き上げられ損でおわり、一説には10億円規模の年収を手にしているともいわれるAIJの浅川和彦社長やその“一味”が十全に裁かれる可能性がどれだけあるのかと思う。仮に裁判に持ち込まれ、かつ有罪と判定されたとしても、ややもすれば執行猶予つきであり、それも1〜3年ていどの短期刑であり、稼ぎに対してはほとんど手をつけられないままに温存されるのが関の山である。
そんなことをつらつら想像していたところ、インサイダー取引のニュースが流れた。
これは、中央三井アセット信託銀行が国際石開帝石が公募増資をするとの情報を公表前に主幹事証券から入手、同社の株式を売却したのち公表後の下落局面で買い戻すという手口で利益を計上していたというものだ。明らかなインサイダー取引である(もっとも、こんなものは過去から現在にいたるまで氷山の一角というヤツかもしれないが)。
さて、「前例をみない非常に重大な事案」というのは同事件に対する証券取引等監視委員会の弁だそうだが、そこまで強烈に評価しておきながら出された勧告は「追徴金5万円」(笑)。バカバカしい。いくら違法利益を出したかまでは調べていないが、ややもすれば道路交通法の罰金にも及ばないはしたガネで済ませようというスウィティ〜♪ こんなんじゃ、まったくもってやったも勝ちではないか。せいぜいがほかにならって記者会見の類でオツムを下げるマネをすれば表向きはいいんじゃないかという話であり(裏では監督省庁などに相応の対処がなされているのではあろうが)、そんなもの世間的にはひと月もしないうちに忘却の彼方であろう。当事者らに反省を促すところか、抑止力の類にもさっぱりなりはしないに違いない。
すべてがとまではいわないが、とりわけ確信犯ないしそれに類する経済事犯の当事者にとって、はしたガネの追徴金やら執行猶予の有無に関わらず有罪判決(あるいは前科)など痛くも痒くもないというのが実態なのではないのか。ようはカネ。すべてがカネ。引き算嫌いが本質の彼らである。逆にいえば、肝心のモウケにさえ手をつけられなければなんだって構わないということであろう(暴力団も同様のセンスであろう)。
ということは、インサイダー取引にせよ、詐欺事犯にせよ、本質的な抑止力ということに重きを置くのであれば、彼らがもっとも痛手を負う種類の罰則を設けるほかはない。たとえば全財産没収による強制的な破産勧告などはいかがだろうか。あるいは、検挙の種類によっては今後二度と同種の職業(企業・個人を問わず経営はもちろん、被雇用者も含まれる)に就けないという法だってあっていいかもしれない。これらは、確信的な経済事犯はもちろんだが、一般的な意味での経営責任というところにも範囲を広げる部分があってもいい。経営や投資にはリスクがつきものだが、それを承知のうえで事業を展開しているのである。したがって理由はどうあれ失策にすぎなくともその責任をカネをもって果たすというのが筋だと思うだがいかがなものだろうか。すべてを杓子定規にせよとはいわないが、目下のところでは、東京電力の経営陣はその筆頭にあたいする。違いますか?
ところで、AIJ事件に関連し、一部で同業種に対する規制強化が取り沙汰されているようだ。当然のこととして業界からは異論が噴出しているワケだが、だったら今般のような事件にさいしては相応の責任をとる覚悟があるのだろうなと訊いてみたくなる。規制もイヤだ、(故意にせよ過失にせよ)経営破綻や失策の責任も問われたくないなんて、そんなアマアマな言い分がそもそもナンセンスなのだ。
しかし、だからといってあらたまることを日本という国家と社会とに期待するほうが甘いってことなのかもしれないなァ……。厳しくいえば、ちゃっかり者や卑怯者の類が「ルール違反ではない」だのとウソぶきながらわが世の春を享受するようなおとなの社会をみて子どもが育つ日本。そこには倫理だの正義だのは介在しえない。経済活動というのは人間社会にとってきわめて重要なのにである。しかし、その成れの果てがどうなるのかについて、いまのおとなたちは責任を負わなければならないと思うのだが……。
そんなことをつらつら想像していたところ、インサイダー取引のニュースが流れた。
これは、中央三井アセット信託銀行が国際石開帝石が公募増資をするとの情報を公表前に主幹事証券から入手、同社の株式を売却したのち公表後の下落局面で買い戻すという手口で利益を計上していたというものだ。明らかなインサイダー取引である(もっとも、こんなものは過去から現在にいたるまで氷山の一角というヤツかもしれないが)。
さて、「前例をみない非常に重大な事案」というのは同事件に対する証券取引等監視委員会の弁だそうだが、そこまで強烈に評価しておきながら出された勧告は「追徴金5万円」(笑)。バカバカしい。いくら違法利益を出したかまでは調べていないが、ややもすれば道路交通法の罰金にも及ばないはしたガネで済ませようというスウィティ〜♪ こんなんじゃ、まったくもってやったも勝ちではないか。せいぜいがほかにならって記者会見の類でオツムを下げるマネをすれば表向きはいいんじゃないかという話であり(裏では監督省庁などに相応の対処がなされているのではあろうが)、そんなもの世間的にはひと月もしないうちに忘却の彼方であろう。当事者らに反省を促すところか、抑止力の類にもさっぱりなりはしないに違いない。
すべてがとまではいわないが、とりわけ確信犯ないしそれに類する経済事犯の当事者にとって、はしたガネの追徴金やら執行猶予の有無に関わらず有罪判決(あるいは前科)など痛くも痒くもないというのが実態なのではないのか。ようはカネ。すべてがカネ。引き算嫌いが本質の彼らである。逆にいえば、肝心のモウケにさえ手をつけられなければなんだって構わないということであろう(暴力団も同様のセンスであろう)。
ということは、インサイダー取引にせよ、詐欺事犯にせよ、本質的な抑止力ということに重きを置くのであれば、彼らがもっとも痛手を負う種類の罰則を設けるほかはない。たとえば全財産没収による強制的な破産勧告などはいかがだろうか。あるいは、検挙の種類によっては今後二度と同種の職業(企業・個人を問わず経営はもちろん、被雇用者も含まれる)に就けないという法だってあっていいかもしれない。これらは、確信的な経済事犯はもちろんだが、一般的な意味での経営責任というところにも範囲を広げる部分があってもいい。経営や投資にはリスクがつきものだが、それを承知のうえで事業を展開しているのである。したがって理由はどうあれ失策にすぎなくともその責任をカネをもって果たすというのが筋だと思うだがいかがなものだろうか。すべてを杓子定規にせよとはいわないが、目下のところでは、東京電力の経営陣はその筆頭にあたいする。違いますか?
ところで、AIJ事件に関連し、一部で同業種に対する規制強化が取り沙汰されているようだ。当然のこととして業界からは異論が噴出しているワケだが、だったら今般のような事件にさいしては相応の責任をとる覚悟があるのだろうなと訊いてみたくなる。規制もイヤだ、(故意にせよ過失にせよ)経営破綻や失策の責任も問われたくないなんて、そんなアマアマな言い分がそもそもナンセンスなのだ。
しかし、だからといってあらたまることを日本という国家と社会とに期待するほうが甘いってことなのかもしれないなァ……。厳しくいえば、ちゃっかり者や卑怯者の類が「ルール違反ではない」だのとウソぶきながらわが世の春を享受するようなおとなの社会をみて子どもが育つ日本。そこには倫理だの正義だのは介在しえない。経済活動というのは人間社会にとってきわめて重要なのにである。しかし、その成れの果てがどうなるのかについて、いまのおとなたちは責任を負わなければならないと思うのだが……。
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ここではおもに時事ネタを中心に独断と偏見にて雑感を記してゆきます。本館サイトアトリエ猫池ともどもお楽しみください。
なお、トラックバックおよび「コメント」は受けつけない設定にしております(当面はBBSへどうぞ!)。
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